いおちゃんの宅建٩( ᐛ )و

自分の勉強用ブログ 間違ってるところがあるかもしれませんのであしからず

民法等2−9 弁済と相殺

 
債権の消滅の種類

 

契約の取り消し

 

 

契約の解除

 

 

時効

債権は消滅時効にかかるので、時効によっても消滅する

 

弁済

債務の履行が完了し、債権は目的を達成したので消滅する

 

代物弁済

債務の内容として指定されている給付の代わりに、他の給付をすることによって、債権を消滅させる行為

100万円の金銭債務を負っている債務者が、100万円の代わりに100万円相当の壷を債権者に給付することで弁済をするなど

 

供託

弁済者が、債権者のために、弁済の目的物を国家の一機関に寄託することによって、債務を免れる行為

 

更改

債権の要素である債権者・債務者・債権の目的物いずれかを変更することによって、

古い債権を消滅させ、同時に新たな債権を成立させる契約のこと

500万円の支払債権の目的物は500万円の金銭だが、

この目的物を500万円相当の壷に変更させることによって、

500万円の金銭債権を消滅させると同時に、

500万円相当の壷を引き渡してもらう債権を成立させる

※代物弁済→現実に代わりの給付が行われるの

※更改→内容を変えた新たな債権が成立するにとどまる

 

免除

債権者が、債務者のために、何の見返りもなく債権を消滅させる行為のこと

免除は、債務者の承諾を得ることなく単独で行うことができる

 

混同

債権と債務が同一人に帰属することで、両者を存続させておく必要がなくなり、債権・債務がともに消滅すること

500万円の債権者Aが債務者Bの父であり、後にAが死亡し、Bが唯一の相続人としてAの地位を相続した場合、Bは自己の債権者ともなり、自分に対して請求して自分に対して払うという状態になるので、債権と債務を存続させておく必要がなくなり、債権と債務は消滅する

 

相殺

二人が互いに同種の債権を有している場合において、その2つの債権を対当額において消滅させる意思表示のこと 

 

弁済

 

弁済→債務の履行と同じ
お金を借りた者が「借りたお金を返すこと」は弁済
土地の売買契約をした売主が「土地を引渡すこと」も弁済

 

 

弁済できる人

本来は債務者がするもの

しかし、債務者以外の第三者でも弁済は可能

 

・第三者の弁済が認められない場合

1 債務の性質が、第三者の弁済を許さない場合(歌手のコンサートなど)

2 当事者間で第三者の弁済は不可の特約がある場合

3 弁済することにつき、正当な利益を有しない第三者による弁済で、一定の場合

 

・弁済することにつき、正当な利益を有しない第三者による弁済で、一定の場合とは

 正当な利益を有しない第三者 →    友人や親族など

 

1 債務者の意思に反するとき

(債務者の意思に反すると、債権者が知らなかった場合、その弁済は有効)

 

2 債権者の意思に反するとき

(第三者が債務者から委託を受けて弁済をする場合、そのことを債権者が知っていたときは、その弁済は有効)

 

※債権者には拒絶権がある

見ず知らずの他人からの弁済を拒絶したい人もいるので、認められている

債務者の友人や親族が弁済をする場合は、債権者が承諾すればOK

 

(例)

債権者Aは債務者Bに100万円を貸している

 

??正当な利益を有しない第三者Cが債務者Bの代わりに100万円を弁済できるか??

⬇︎

債務者Bの意思に反する場合は、Cは弁済をできない

 

 

??Cによる弁済が、債務者Bの意思に反していると知らずに、債権者AがCからの弁済を受領した場合、この弁済はどうなるか??

⬇︎

債権者Aがそれを知らずに受領した場合、弁済は有効

 

 

??抵当権が設定されている不動産を買った第三取得者は、正当な利益を有する第三者と言えるか??

⬇︎

言える

債務を弁済すれば、抵当権は付従性によって消滅し、抵当権は実行されないため

(物上保証人、後順位抵当権者なども正当な権利を有する第三者

(借地上に借地権者が建てた建物を借りている人も、家主が支払うべき敷地のちだいの弁済については、正当な利益/旧法上の利害関係があるとされている)

 

 

弁済の相手方

・受領権者

弁済を受ける、返してもらう側の人

債権者やその代理人など

法令の規定または当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者

 

・受領権者が弁済を受けたら

当然に債権は消滅する

 

・受領権者としての外観を有する者に対する弁済

受領権者としての外観を有する者とは、、、

受領権者ではないが、社会通念に照らしてそう見える者

(他人の印鑑と通帳をを持っている)

(受領証書/領収書を持っている)

 

そうした者に対して弁済がなされたとき、その弁済をした者が善意無過失であれば、その弁済は有効

 

(具体例)

債権者Aの通帳と印鑑を持参したC

債務者B銀行からお金を引き出した

このときB銀行が善意無過失の場合は、その弁済は有効

B銀行は債権者Aに対して二重に弁済する必要は無い

 

 

弁済の提供

弁済の提供とは、、、
債務者が自分の債務を履行するために必要な準備をして 債務者に対してその協力を求めること

 

(例)

不動産の売買の場合

・売主は土地を「引き渡す義務」と「所有権移転手続きを行う義務」を負う
・買主は「代金を支払う義務」を負う
・買主が売主に対して、「お金を用意したから受け取ってくれっ」とお金を持参して 売主の家まで行って言った場合、売主がお金を受け取らなくても 買主は弁済を提供したことになる

 


弁済の提供の方法2種類

1 現実の提供(債務に従って、現実に提供すること)

持参債務の場合、債務者は目的物を準備し、 それを持参して債権者の所に赴く必要がある

金銭債務は持参債務(持参しなければならない)

弁済は債務の本旨に従ったものでなければならず、一部の提供では弁済の提供にはならない

※自分振り出しの小切手→支払いの確実性がないため不可(現実の提供にはならない)

 

2 口頭の提供(弁済の準備をして受領を催告すること)

この口頭の提供ができるのは、
① 債権者が予め受領を拒んでいる場合
② 債務の履行について債権者の行為を要する場

 

 

弁済の充当

数個の金銭債権がある場合に、債務者からその 全額に足りない支払がなされた場合、どの債権について弁済がなされたものとするかが、弁済の充当の問題

 

(例)

債権者A

債務者B

・BはAから1000万円借りている(貸金債務を負っている)

・BはAに500万円の代金支払い債務を負っている

 

??Bが800万円を弁済したとき、この800万円はどちらの債務の弁済になるか??

⬇︎

・合意充当(AとBの合意によって充当)

当事者があらかじめどのように充当するのかを契約で定めていれば、それに従って充当される

合意充当が最優先

 

・指定充当

当事者間に合意がない場合、民法は両当事者の立場を考慮して公平の観点から、当事者の指定による充当(民法488条)を定めている

弁済者Bまたは弁済受領者Aの指定により、充当先を決める

※充当する順番は「費用→利息→元本」

 

・法定充当

民法は、当事者の指定による充当もない場合に備えて、法定充当(民法489条) を定めている

法律の定めに従った充当方法

※充当する順番は「費用→利息→元本」

 

 

弁済による代位

弁済による代位とは、、、

保証人Cが債権者Aに弁済した場合、保証人Cは主たる債務者Bに対して求償できる

保証人の求償権を実行可能なものにするために、弁済をした保証人Cが債権者Aに取って代わる(保証人Cが債権者Aと同じ位置に立つ)こと

債務者Bのために弁済をしたものは、債権者Aの承諾なしに債権者に代位する

債権者Aが債務者Bに対して有していた債権や抵当権などを、保証人Cが実行できるようになる

 

1 正当な利益を有する者が弁済した場合

債権者に代位し、債務者に対して権利を実行できる

保証人は、弁済をしないと自身が強制執行などを受ける可能性があり、弁済をするについて正当な利益を有しているので、代位する

 

2 正当な利益を有する者以外の者が弁済した場合

この場合も、第三者は債権者に代位する

ただし、債権者から債務者への通知か、債務者の承諾がなければ、債務者に対抗できない

代位する人がいる旨を債務者に知らせなければならない

 

 

弁済する場所

契約(特約)で定めれば、その場所が弁済場所になる

弁済の場所の定めがない場合で「特定物の引渡し」の場合は、債権が発生した場所が弁済場所となる


特定物とは、、、
「特定の絵」などが特定物に当たる
この場合、契約場所まで取りに行くことになる

 

「特定物の引渡し以外」の場合、、、

当事者に別段の意思表示がないときは、債権者の現在の住所で行う
借りたお金を返す場合、債権者の現住所まで届けるのが原則

 

相殺

 

二人が互いに同種の債権を有している場合において、その2つの債権を対当額において消滅させる意思表示のこと

 

(例) 

AはBに1000万円を貸している(AはBに対して1000万円の貸金債権を有している)

BはAに自己所有の家を売却し、その代金1000万円の代金債権を有している

 

??BはAに1000万円、AはBに1000万円、それぞれ現実に支払わなければならない??

⬇︎

お互いの持つ貸金債務と代金債務を帳消しにすれば、現実に1000万円を提供しなくても良い

帳消しにした方が簡便なため、相殺が認められている

 

 

自動債権と受動債権

上記の例でAからBに相殺を持ちかけた場合

AがBに対して持っている貸金債権は、自動債権となる

BがAに対して持っている代金債権は、受動債権となる

(誰が相殺するかによって自動債権か受動債権かが変わる)

 

 

相殺の要件

1 相殺適状にあること

自動債権と受動債権の両方が相殺できる状態(相殺適状)にあること

 

2 両者が対立した同種の目的の債務を負担していること

AがBに対して債権を持ち、逆にBもAに対して債権を持っていて、その両方の債権がどちらも金銭債権であること

 

3 それぞれの債権が有効に存在していること

時効が完成した債権でも、時効完成前に相殺適状になっていれば相殺できる

(例)

Aの債権の時効が完成した場合でも、Aとしては一旦は相殺適状の状態にあったのだから、自動的に帳消しになったと考えるのが自然

Aの期待を保護するため、例外的に、時効完成後の相殺が認められている

 


4 両方の債務が弁済期にあること
ただし、相殺しようとする者は自己の債務(受働債権)については期限の利益を放棄することができるため、自分が相手に対して持っている債務(自働債権)さえ弁済期にあれば問題ない
※期限の利益を放棄するとは、、、

相手が自分に対し、返済日がきていなくても返済を要求できるようになること

 


5 債務の性質が相殺を許すものであること

自動債権に抗弁権がついている場合は相殺できない

相殺を許すと、抗弁を主張できるという相手方の利益を奪うことになるため

 


5 当事者間に相殺禁止特約がないこと

相殺適状にあっても、相殺できない場合2つ

 

(1)受動債権が一定の不法行為等によって発生した債権である場合

・悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務

(損害を与える意欲がある悪意)

・人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務

不法行為だけでなく、債務不履行による損害賠償請求も含む)

 

(例)

AはBにお金を貸している

AはBを自動車ではねて怪我を負わせてしまった

AはBに借金を帳消しにするいといって、責任を逃れようとした

→被害者Bの救済を図るために、このような場合の相殺は禁じられている

 

 

(2)自働債権が受働債権の差し押さえ後に取得された債権である場合

差し押さえの実効性を確保するために相殺が禁止されている

差し押さえの前に取得された自働債権なら、相殺できる

※差し押さえ後に債権を取得した場合でも、それが差し押さえ前の原因に基づいて生じた債権である場合は、原則として相殺できる

 

 

相殺の方法と効力

・相殺には、条件や期限をつけることはできない

 

??なぜか??

⬇︎

相殺は、相手方に対する一方的な意思表示によって行われ、その効力は相殺適状になった時に遡って生じる

 

相殺は一方的な意思表示で行われるため、それに条件をつけてしまうと相手方の地位が不安定になってしまう

 

そもそも相殺の効果は相殺適状時に遡って生じるので、期限をつける意味がない

 

民法等2−8 債権譲渡

 

債権譲渡とは

 

人に対する権利を他人に譲ること

期限前の権利を現金に替えるために必要な場合がある

 

(例)

A 債権者→Bにお金を貸していて、その債権をCに売った →旧債権者になった(譲渡人)

B 債務者→Aからお金を借りている →債権者はAからCに変わった

C 新債権者→AからBに対する債権を買った →Bの新しい債権者になった(譲受人)


(具体例)

住宅ローンの支払いができなくなった場合など、銀行が債権回収会社へと住宅ローン債権を譲渡する

A  銀行→Bがローンを支払わないのでC債権回収会社に債権譲渡

B  A銀行のローンを借り入れている→ローンを支払う相手がAからCに変わる

C  債権回収会社→Aから債権を買取、Bから取り立てをする

 

債権譲渡の原則 

 

・債権譲渡自由の原則

原則として、債権は自由に譲渡できる

譲渡の時点ではまだ発生していない、将来発生する債権も譲渡することができる

譲受人は発生した債権を当然に取得できる

譲渡人と譲受人との間の合意によって成立する

 

・例外

1 性質上譲渡できない場合

 

 

2 当事者が譲渡禁止の特約をした場合

 

 

3 譲渡制限特約がついている場合

 譲渡制限特約→当事者の合意によって、譲渡を禁止し制限する特約のこと

この譲渡制限特約がある場合でも、原則、債権は移転する

(資金調達しやすいように緩和した)

 

※平成29年の民法改正により、債権譲渡の禁止特約の内容変更

改正前

譲渡人と債務者の間で譲渡禁止特約がある場合、債権譲渡は不可だった

また、仮に渡したとしても、債務者は弁済する必要はなかった

 

改正後

譲渡人と債務者の間で譲渡禁止特約があったとしても、債権の譲渡は可能になった

ただし譲受人が悪意または重過失の場合、譲受人から債務者が履行を請求されても、債務者は拒絶または、譲渡人に対して弁済することを主張することができる

 

(例)

A 債権者→Bにお金を貸していて、その債権をCに売った →旧債権者になった(譲渡人)

B 債務者→Aからお金を借りている →債権者はAからCに変わった

C 新債権者→AからBに対する債権を買った →Bの新しい債権者になった(譲受人)

 

AがCに債権譲渡をしたが、Cがその特約について悪意/重過失があった

→BはCに対して債務の履行を拒むことができる

→BはAに対して弁済等をすれば、そのことをCに対抗できる

 
債務者に対する対抗要件

 

通知か承諾のどちらかだけで足りる

 

・通知か承諾があれば、債務者のBは債権譲渡の事実を知っているので、AとCへの二重弁済を防ぐことができる

 

・通知や承諾は口頭でOK

 

1   債務者に対する通知

これは債権者=譲渡人しかできない

保証債務付きの債権譲渡は主たる債務者に通知すれば足り、保証人に通知する必要はない

 

・通知は譲渡人のAのみが行う

・CがAに代わって行う通知は認められない

※譲受人でも構わないとしてしまうと、譲り受けてもいない者が嘘の通知をする恐れがあるため

 

2   債務者の承諾

これは債権者=譲渡人・譲受人のどちらにしても良い

 

・承諾が譲渡人・譲受人のどちらにしても構わないのは、Bが今の債権者を認識していればOKだから、どちらに対して承諾しても足りる

 

 

三者に対する対抗要件

 次の1または2を満たせば足りる

  1. 譲渡人Aからの、確定日付のある通知
  2. 債務者Bからの、確定日付のある承諾

 

(例)

・AはBに対する債権1000万円を持っている(弁済期日9/1)

・Aはその債権をCに譲渡したあと、Dに対しても譲渡した(二重譲渡)

・弁済期日9/1が到来し、CとDはそれぞれ、Bに対して弁済を請求した

 

 

??CとDのどちらが、Bから弁済を受けることができるか??

⬇︎

CとDは第三者の関係となり、要件を満たしたほうが対抗できる

 

1 譲渡人Aからの、確定日付のある通知があれば対抗できる

2 債務者Bからの、確定日付のある承諾があれば対抗できる

 

・1か2を先に満たしている方が権利を主張できる

 

・通知や承諾によって、債務者Bは、AからCに債権譲渡が行われたと知ることができ、その後、DがBに問い合わせをすれば、二重に債権を譲り受けることは避けられる

 

・お互いが第三者に対して対抗するには、確定日付のある通知か承諾の証書(内容証明郵便など)が必要、これがない場合は対抗できない

 

※なぜ確定日付が必要か→後で譲り受けたDがAと共謀して、通知や承諾の前後を誤魔化す可能性があるため、これを防ぐために確定日付が必要

 

 

??CもDも確定日付のある証書による通知を得ている場合は??

⬇︎ 

 確定日付のある通知が先に到着している方が優先される

・CとDは確定日付のある通知をBに対して送付した

・Cの送付したものが、先にBの元に到着した

・Cが優先される

 

??CとDからの確定日付のある証書が、同時にBの元に届いた場合は??

⬇︎

・両者とも対抗要件を備えているので、両者とも債務者Bに対して請求することができる

・Bは、CかDのどちらかに支払いをすれば良い

 

債務者の抗弁権

 

通知と承諾の効果

 

・AはBに対する債権1000万円を持っている(弁済期日9/1)

・Aはその債権をCに譲渡したあと、Dに対しても譲渡した(二重譲渡)

・弁済期日9/1が到来し、CとDはそれぞれ、Bに対して弁済を請求した

 

・AがCやDに、この1000万円の債権を譲渡する前に

・債務者BはAに300万円を弁済していた(債務の一部を弁済していた)

 

この場合Bは、譲渡人Aからの通知を受けた場合や譲渡の事実を承諾した場合には、

通知を受けたり承諾をしたりするまでに(対抗要件が備わる前に)

譲渡人Aに対して主張できたこと(BがAに300万円弁済したこと)を

譲受人のCやDに対しても主張することができる

 

※BはCやDに対して700万円を支払えばそれで良い

 

債務者の抗弁権

 

債権譲渡における債務者の相殺権


・AはBに対する債権1000万円を持っている(弁済期日9/1)

・Aはその債権をCに譲渡したあと、Dに対しても譲渡した(二重譲渡)

・弁済期日9/1が到来し、CとDはそれぞれ、Bに対して弁済を請求した

 

・AがCやDに、この1000万円の債権を譲渡する前に

・債務者BはAに1000万円を弁済していた(債務の全てを弁済していた)

 

 Bは対抗要件を備えていれば、この相殺をCやDにも主張できる

 

異議なき承諾

 (異議を留めない承諾)

 

異議なき承諾とは、異議があるにも関わらず、その旨を相手に伝えずに承諾すること

 

譲渡した債権が存在しないような場合でも、

債務者が異議無き承諾をし、相手がそれを信じたような場合は、

債務者は弁済しなければならない

 

(例)

・AはBからお金を借りた(BはAに対する貸金債権を持つ)


・その後、AはBにお金を貸した(AはBに対する貸金債権(反対債権)を持つ)


・BはAに対する債権をCに譲渡した


・CはAに対して「Bから債権譲渡してもらった債権を支払いなさい」と言った

 

・Aは「反対債権を持っているのでAB間で相殺できる、払わない」と異議を言わずに、

「わかりました支払います」と支払いを承諾した

(異議なき承諾、異議をとどめない承諾をした)

 

※異議をとどめない承諾をしたとしても、

新債権者Cが対抗要件を備える前に、債務者Aが反対債権を取得していたのであれば、

債務者Aは相殺をすることができる

 

※旧民法では、、、

「異議をとどめない承諾をした場合、Aは相殺できない」というルールだった

改正民法ではこのルールがなくなった

 

債権譲渡登記制度

 

債権譲渡登記ファイルに記録することにより、債権者以外の第三者に対し対抗要件を備えることができる制度

確定日付のある証書による通知と同じ効果がある

この制度を活用することにより、簡単に第三者への対抗要件を備えることができる

ただし、譲渡人は法人のみ

 

債権譲渡の消滅時効

 

支払いを怠っていて債権が譲渡された場合でも、必ずしも弁済する必要はない

時効が成立していれば、支払い義務はなくなる

 

小切手債権、約束手形債権など  6ヶ月

飲食・宿泊代金、運送料など   1年

商品の売買代金など       2年

建築工事にかんする代金など   3年

商行為に関する債権       5年

個人間の債権            10年

 

 

 

民法等2−7 不動産登記法

登記の概要

 不動産登記法→ 不動産の対抗要件である登記について定めている法律

 

現在はコンピュータ管理システによる登記簿(登記記録)を導入

オンラインによる登記申請が可能

 

登記の仕組み

 

1 一不動産一登記の原則

登記記録、、、登記官が「登記簿」という帳簿に登記事項を記録したもの

一不動産一登記、、、一筆の土地、一個の建物ごとに登記記録を作成すること

 

2 登記機関

管轄登記所、、、不動産の所在地を管轄する法務局・地方法務局・支局・出張所

・管轄登記所に行けば、不動産の登記を見られる

・ある不動産が複数の登記所の管轄区域にまたがる場合、法務大臣・法務局長等が管轄登記所を指定する

 

3 登記記録の構成

表題部と権利部からなる

 

表題部(表示に関する登記)(表題登記)

表題部には「不動産を特定するための状況」が記載されている

※原則、対抗力はない

土地→所在・地目・地積

建物→所在・家屋番号・種類・構造・床面積・附属建物等

 

権利部(権利に関する登記)

権利部は甲区と乙区に分かれている

※原則、対抗力がある

 

・甲区

所有権についての記録

 

・乙区

所有権以外の権利(抵当権や地上権等)の記録

 

権利に関する登記の申請は義務ではない

所有権の登記をしない場合は表題部に氏名・住所を書き込むことになっている

この所有者を表題部所有者という

甲区に所有権登記がなされると表題部所有者の記録は抹消される

 

 

4 登記記録のサンプル

登記簿謄本(全部事項証明書) 

 

5 図面

登記所には、物件ごとの所在を明らかにするために、地図や物件所在図が備えられている 

 

 

6 順位番号と受付番号

権利部に記載する2つの番号のこと

 

登記記録 権利部 区の場合

・ 順位番号

登記記録の権利部甲区に記載されている、所有権を記録した順番の番号

 

登記記録 権利部 区の場合

・ 順位番号

登記記録の権利部甲区に記載されている、抵当権や地上権を記録した順番の番号

 

登記記録 権利部 甲区・乙区共通

 ・受付番号

登記所で登記の申請を受け付けた順に振られる番号

 

 ※登記した権利の優劣は、原則として登記の前後で決まる

順位番号を見れば、優先順位がわかる

区間の権利の優先順位は、順位番号の前後で決まる

 

?? 甲区に記載されている所有権、乙区に記載されている抵当権がある、抵当権の優劣はどこで判断できるか??

⬇︎

順位番号は同じ区内の中の記録の順番のため、違う区との優先順位はわからない

区間での権利の優先関係は、受付番号で登記の受付の順番を確認すれば良い 

 

登記の公開

 

登記記録は誰でも交付請求することができる

 

・手数料を納付する

原則として収入印紙、一定の場合は現金での納付も可

 

・登記事項証明書

登記記録に記載されている事項の一部or全部を証明した書面

全部の事項を証明するもの、現在効力を有する事項のみを証明するものなどがある

 

・登記事項要約書

登記記録に記録されている事項の概要を記載した書面

 

・送付を請求することもできる(郵送OK)

 

・電子情報処理組織を使用して請求することもできる(オンライン請求OK)

 

 

登記手続の原則→申請主義

 

申請主義の原則

・申請主義→登記をしたければ申請する

(登記は任意、当事者の自由意志による)

 

・所有権移転登記などの権利に関する登記

当事者の申請、官公庁の嘱託によって行われる

※申請する義務は無い

 

(例外)

表示に関する登記は例外にあたる

土地が新たに生じた場合や建物の新築や滅失した場合

所有権を取得した者は1ヶ月以内に、表示に関する登記の申請をしなければならない

 

・職権主義

登記官が職務として登記を行うことができる

 

・表示に関する登記は申請する義務がある

 

登記手続きの原則→共同申請

 

・共同申請の原則

登記義務者登記権利者が、共同で申請をしなければならない

 

登記義務者→登記をすることで所有権を失う者

登記権利者→登記をすることで所有権を得る者

 

※共同申請は嘘の登記を防ぐための仕組み

 

 

(例外)

・単独申請

1 登記手続きをすべきことを命ずる確定判決による登記

  (嘘の登記が行われる恐れがないので単独登記OK)

 

2 相続または合併による権利の移転の登記

  (共同で申請することができない場合)

 

3 登記名義人の氏名等の変更の登記または更生の登記

 

4 所有権保存の登記

  (共同で申請することができない場合)

 

5 仮登記義務者の承諾があるとき

  仮登記を命ずる処分があるときの仮登記

  (嘘の登記が行われる恐れがないので単独登記OK)

 

6 仮登記の抹消

  ・仮登記の登記名義人が行うもの

  ・仮登記の登記名義人の承諾により仮登記の登記上の利害関係人が単独で行うもの

 

7 起業者が行う不動産の収用による所有権の移転の登記

 

登記の申請情報、添付情報の提供

※登記の申請には、申請情報と添付情報を登記所に提供して登録する 

 

・申請情報

不動産を識別するために必要な事項

申請人の氏名または名称

登記の目的などの情報

 

・添付情報

申請情報と併せて提供することが必要な情報のこと

 

1 登記原因証明情報

・登記原因証明情報→売買契約の内容を書面にした売買契約書のこと

登記の原因となった法律行為(内容)が何なのかを表す

売買によって所有権移転登記を行う場合、「売買契約」が登記の原因

実際はこの売買契約書を「登記原因証明情報」という書面に転記して登記申請する

 

※権利の変動に関する登記原因について嘘の登記がされないようにしている

※所有権保存登記の場合は不要 

 

2 登記識別情報

登記義務者の本人確認ための書類

登記する際に添付する

登記権利者登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合に必ず必要


・売買契約の場合
売主A(登記義務者)が、本当に売主なのかを確認するための書類が登記識別情報

 

前売主B → 売主A → 買主C

という売買の流れにおいて
AB間の所有権移転登記で、新しい所有権者Aに登記識別情報が渡される

 

AがCに所有権を移転する場合に、Aは「自分が真なる所有権者です」と証明するために登記識別情報を登記所に提出する

 

 

 

3 その他の添付情報

代理人が登記の申請をするとき

代理人の権限を証する情報の提供が必要

 

・登記原因について第三者の許可・同意・承諾を要するとき

→許可などをしたことを証する情報の提供が必要

 

登記の受付と完了

 

・登記の受付

申請情報等が登記所に提供された場合、登記官は登記の申請を受理しなければならない

 

・登記の完了

登記が完了すると登記完了証が交付される

申請人自らが登記名義人となる場合、その登記が完了したときは、登記官はその申請人に対して、その登記にかかる登記識別情報を通知する

申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申し出をした場合は通知されない(登記識別情報不通知制度) 

 

登記の種類

 

1 登記の内容による分類

①所有権保存登記

所有権の登記のない不動産について、最初に行われる登記のこと

注文住宅を新築した場合・新築の建売住宅・新築マンションを購入した際に、所有権保存登記を行うことで、その建物の所有者が自分であると明示する

 

②所有権移転登記

既に所有権の登記がされている不動産について、所有権が売主から買主に移ったことを明確にするために行う登記

土地の購入(所有権のない土地はほぼない)や、中古住宅(一戸建て・マンション)を購入した場合の建物について行う

 

③変更登記

登記をした後に、登記された内容と実体との間に不一致が生じた場合に、それを変更する登記

 

④更正登記

登記されたときに、すでにその登記内容に錯誤や遺漏があった場合に、これを訂正する登記

 

⑤抹消登記

登記の記載を抹消する登記

抹消を申請する場合、その抹消について登記上利害関係を有する第三者がいるときは、その承諾がなければ申請できない

 

 

2 登記の形式による分類

・主登記

独立した順位番号を有する登記

 

・付記登記

独立した順位番号がない登記

主登記との同一性や順番を維持するために、主登記に付記して行われる

(登記名義人氏名等の変更の登記、買い戻し特約の登記など)

 

 

3 仮登記

・仮登記

所有権取得の順位を確保するためのもの

仮登記のままでは、原則として対抗力を持たない

(9/1に仮登記、10/1に本登記→9/1という日付の順位が維持される)

 

・1号仮登記

物権変動は生じているが、登記識別情報を提供できないなど、手続き上の条件がかけているときにする登記

 

・2号仮登記

物権変動が生じていなくてもできる登記

 

※仮登記の申請も原則として共同申請

※所有権に関する仮登記を本登記にする場合、登記上利害関係を有する第三者がいるときは、その承諾が必要

※ある人の本登記が完了すると、その他第三者の所有権移転登記は、登記官の職権で抹消される

 

(例外)

・仮登記義務者の承諾がある場合は単独申請可

・仮登記を命ずる処分がある場合は単独申請可

※処分→判決よりも簡易な裁判所の判断

 

 

 

4 土地の分筆・合筆の登記および建物の分割・合併の登記

 

①土地の分筆の登記

・分筆

1つの土地(一筆の土地)を複数の土地に分割し分けること

 

・分筆登記

分筆するために行う登記手続き

 

区画整理地・市街化調整区域など、どのような土地においても分筆登記は可能
※分筆登記を行うには、分筆を行う土地の境界が確定していることが前提条件
※土地の境界が確定していない土地は分筆登記を行うことができない
※昔に境界を確定した場合は、再度土地の境界確定を行う必要がある

 

・土地を分筆したら

分筆後の新しくできた土地には新たな『地番』が付される

その土地の登記記録が作成される

その土地の「地図又は地図に準ずる図面(公図)」に分筆された境界線が加筆される

 

 

・分筆を行う目的

・土地の一部を売るため

・共有(複数の所有者で所有)する土地を分筆し、それぞれの土地を単有(1人で所有)できるようにするため

・土地を相続する際に、土地を分筆し、相続人で分けて相続するため

・1つの土地の中で、土地の一部の地目が異なり現状に合わせた登記記録にするため

・融資を受ける際に、全ての土地が担保にとられないよう、分筆し、担保に取られる土地を制限するため

・固定資産税を節税するため

 

 

・分筆登記の申請人 

・所有権の登記がない不動産の表題部所有者
・所有権の登記名義人

 

??なぜ登記がない所有者も分筆登記できるようにしたのか??

⬇︎

もし「所有権の登記名義人」しか分筆できないとすれば所有権保存登記をしていない土地の所有者が分筆できなくなってしまうから

 

 

・分筆登記に必要な書類

分筆する土地に抵当権や地役権などが付着していた場合、登記で必要な書類が試験で問われる

 

・担保権(抵当権、質権、先取特権)のある土地の分筆

共同担保目録を添付しなければならない


共同担保目録
同一債権の担保として複数の不動産の上に設定された抵当権を設定するための書類

今回分筆することで、分割後の数筆の土地が同一の債権を担保することになる

 

 

・地役権のある土地の分筆

地役権証明情報を添付しなければならない


地役権証明情報
・地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報
・地役権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報

 

??なぜ必要か??

登記申請に地役権者が含まれていないので、地役権の存続などについて地役権者の意思確認を図るため

 

 

②土地の合筆の登記

・合筆

複数の土地を一筆の土地にまとめること

※合筆できないのはどのような場合かを重点的に覚える

 

・合筆の登記

登記記録上、数筆の土地を合併して1筆の土地にすること

 

・合筆の登記を申請できる人

合筆の登記の申請ができるのは、表題部所有者または所有権の登記名義人

(分筆の場合と同じ)

 

所有権の登記のある土地の合筆登記の申請は、合筆前のいずれか1筆の土地の、所有権の登記名義人の「登記識別情報」のみの添付で良い

(合筆の登記の意思確認は十分とされる)

 

 

・合筆の条件

1 土地が互いに接続していること

互いに接続していない土地同士は合筆できない

公図上(地図上)でも現地(実際)でも、土地と土地が接続していること

土地と土地の接続については、土地の境界線で接していなければならない

(境界の一点だけが接していてもダメ、線で接していること)

 


2 土地の所在(地番以外)と地目(ちもく)が同じであること

接続している土地でも、地番区域の異なる土地は合筆できない

接続している土地でも、地目の異なる土地は合筆できない

 

・土地の所在
その土地が所在する市区町村及び字(あざ)のこと
「〇〇市〇〇町字〇〇」といったもの

 

・土地の地目(ちもく)

土地の種類のこと
「宅地」「田」「畑」「山林」「雑種地」など

 

※土地の所在(地番以外)が全く同じで、地目も宅地と宅地といったように同じであれば、
合筆することができる

 

※地目で注意すべきこと
合筆したい土地のそれぞれの登記情報の地目が同じだけでなく、現地の地目も同じでなければならない

合筆したい2つの土地の登記上の地目が同じ宅地であっても、現地で、片方または両方の土地が宅地でないなら合筆することができないということになる

合筆しようとしている土地の登記上の地目が宅地なら、現地の地目も宅地でなければ合筆できない

 


3 土地の表題部の所有者又は所有権の登記名義人が同じであること

・土地の登記上の所有者の名義が同じでなければ合筆できない

合筆したい土地の所有者の登記上の住所氏名が全て同じで、現在の住所氏名とも同じでないと合筆することができない

もし、合筆しようとしている土地の所有者の登記上の住所と氏名が少しでも違っている場合は、合筆登記の前に所有者の住所や氏名の変更登記が必要

 

※合筆しようとしている土地が複数の所有者(共有)の場合も同じ

 

1筆の土地に所有者が混在すると混乱が生じるため、所有者が異なる土地は合筆できない

表題部所有者、所有権の登記名義人が相互に異なる土地は合筆できない

 


4 表題部の所有者又は所有権の登記名義人の持分が同じであること

・土地の所有者が複数(共有)の場合
Aの持分2分の1、Bの持分2分の1のように、それぞれの所有者(共有者)の持分が登記情報に記載されている

合筆しようとしている土地の所有者が複数(共有)の場合には、それぞれの土地の所有者(共有者)の持分が同じでないと合筆することはできない

 

・持分が同じである場合(合筆できる)

1番の土地についての持分

Aさん→2/3

Bさん→1/3

 

2番の土地についての持分

Aさん→2/3

Bさん→1/3

 

・持分が異なる場合(合筆できない

1番の土地についての持分

Aさん→2/3

Bさん→1/3

 

2番の土地についての持分

Aさん→1/2

Bさん→1/2 

 

※土地の所有者が1名の場合は持分は関係ない、1人しかいないので 

 


5 互いに所有権の登記がされていない土地か、所有権の登記がされていること

 

・所有権の登記がされていない土地
下記の登記情報の例のように、土地の登記情報の表題部という部分に、土地の所有者の住所と氏名等が記載されている土地のこと

表題部に記載された所有者の場合、所有権の登記はされていない

土地の所有者が誰なのかのみわかるようにしている状態

 

・所有権の登記がされている土地
下図の登記情報の例のように、土地の登記情報の権利部(甲区)という部分に、土地の所有者の住所と氏名等が記載されている土地のこと

権利部の甲区(所有権に関する事項)に記載された所有者は所有権の登記をしており、

土地の所有者は誰々ですということを第三者にも対抗することができる状態になっている

 

※土地を合筆するためには、、、

合筆しようとしている土地がすべて、所有権の登記のされていない土地である

or

合筆しようとしている土地がすべて、所有権の登記がされている土地である

 

※所有権の登記のない土地と、所有権の登記のある土地を合筆することことはできない

(1筆の土地の一部についてのみ、権利に関する登記がされていることは好ましくない)

 

 

??所有権の登記のされていない土地はどうすればいいのか??

⬇︎
先に所有権の登記をしてから、所有権の登記がされている土地と合筆することができる

 

 


6 所有権の登記及び承役地の地役権の登記以外の権利登記がされていないこと

複数の土地の所有者が同じでも、それぞれの土地に所有権以外の異なる権利に関する登記がある場合は、合筆の登記はできない

所有権「以外」の権利の「範囲」が不明になるため

 

(例外)

 ・承役地についてする地役権の登記がある場合は合筆の登記が可能

地役権がそもそも土地の一部についてでも成立するため、不都合が生じない)

 

※地役権

一定の目的の範囲で他人の土地(承役地)を自分の土地(要役地)のために利用する物権

(公道に出るための通路/用水路から水を引く水路など) 

 

・権利に関する登記の内で、先取特権、質権、抵当権、根抵当権の登記がある場合でも
それらの登記原因、登記の日付、登記の目的、受付番号が全て同じなら、土地の合筆をすることができる

 

先取特権、質権、抵当権の仮登記がある場合も、それらの登記原因、登記の日付、登記の目的、受付番号が全て同じなら、土地の合筆をすることができる

 (※根抵当権の仮登記がある場合は、どうしても受付番号が違ってくるため、合筆することはできない)

 

・合筆する両方の土地に、登記原因/登記の日付/目的/受付番号が同一である抵当権/質権

/先取特権の登記が設定されている場合は、合筆の登記が可能

 

・信託の登記であって、信託の登記特有の登記事項が同一の場合は合筆の登記ができる

 

 

土地の合筆をするには、上記の6つの条件をクリアしているかどうかを確認しなければならない

 

 

先取特権や質権、抵当権、根抵当権の確認

下図の登記情報の例のように、登記情報の乙区(所有権以外の権利に関する事項)の部分に記載されている


 

 

 

③建物の分割・合併の登記

 ・建物の分割登記 

二棟以上の建物が一個の建物として(主たる建物と附属建物として)登記されているときに、附属建物を独立した別個の建物とする場合に申請・登録するのが、建物分割登記

 

建物の分割の登記は、建物の現状には何らの変更も加えることなく、登記上の一個の建物を数個の建物に分ける登記で、所有者の意思に基づいて申請することができる

(申請義務はない)

 

建物の所有者が死亡し、相続による所有権移転登記の前提として建物分割登記をする場合は相続人から申請する

この場合、相続を証する書面(戸籍謄本や遺産分割協議書など)が必要

 

 

・建物の合併の登記

 建物の合併の登記は、建物の現状には何らの変更も加えることなく、登記上の数個の建物を1個の建物に合併する登記で、所有者の意思に基づいて申請することができる

(申請義務はない)

 

提出する登記識別情報はいずれか一方の建物のものでOK

 

※建物の合併の登記をすることができない場合
1 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の合併の登記


2 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる建物の合併の登記


3 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする建物の合併の登記


4 所有権の登記がない建物と所有権の登記がある建物との建物の合併の登記


5 所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物の合併の登記

(権利に関する登記であって、合併後の建物の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある建物を除く)

 

 

 

 

民法等2−6 対抗要件 二重譲渡

対抗要件とは

「対抗」→「主張する」

「要件」→「条件」を意味する

対抗要件とは、、、「主張するための条件」

  

二重譲渡

AがBとCの両名に同じ家を売った→二重譲渡 

 

二重譲渡は「民法」では認められているが、刑法上は犯罪(横領罪や背任罪にあたる)

  

誰に対して対抗するのか

(例)

AがB不動産から家を買った場合、所有権はAに移る

このとき、AとB不動産は当事者の関係になるため「対抗要件」なしで、所有権の有無を主張できる

 

??対抗要件が必要となるのは、誰に対して??

⬇︎

本人と第三者との間で対抗要件が必要 

 

対抗するために必要な条件

 

B不動産がAとCに同じ家を売っていた(二重譲渡)

 

??この時、AがCに「家は自分が買った」と主張するために必要な条件とは??

⬇︎

家などの不動産物権変動の場合は「登記」が必要

不動産においては、先に登記を備えたものが勝ちとされている

 

※AやCは、引渡と登記が無ければ自分の権利を主張することはできない

民法177条の「不動産に関する物権変動は、登記法の定めるところに従い、その登記をしなければ第三者に対抗することができない

 

不動産の場合

対抗要件 登記

・目的物 土地とその定着物

・原則 

 1 二重に譲り受けた人

 2 地上権、抵当権などの物権を取得した人

 3 賃借人

 4 悪意者

・例外

 1 不法占拠者

 2 不法行為

 3 背信的悪意者

公信力 あり

 

動産の場合

対抗要件 引渡し

・目的物 不動産以外のもの

・原則 

 1 二重に譲り受けた人

 2 地上権、抵当権などの物権を取得した人

 3 賃借人

 4 悪意者

・例外

 1 不法占拠者

 2 不法行為

 3 背信的悪意者

公信力 なし

  

公信力

物権変動の外形がある以上、それに対応する物権変動があったであろうと信頼して取引に入ったものに対して、その信頼通りの効果を認める力のこと

 

(例)

Aが真の所有者

BはAの所有物を横領した無権利者

CはBが無権利者だと知らずに、その所有物を買った

 

Bは無権利者のため、Cは有効に物を取得できないのが原則となる

しかし、それではCがかわいそうな場合があるので、動産と不動産においての扱いが決められている

 

・動産の場合

動産は頻繁に取引される
このような場合、Cが保護されないのではかわいそう

そこで、民法はCが物を取得できるものとした

これを引渡に公信力があるという

 

・不動産の場合

一般に高価なものが多く、取引も動産ほど頻繁ではない

単に登記を信頼したというだけでもとの所有者が不動産を失うのは酷

そこで、民法はCは不動産を取得できないものとした

これを登記に公信力がないという

 

※登記の効力は絶対ではない

鉛筆にA君と名前が書いてあれば、絶対にA君の鉛筆と認めるのが公信力

不動産では、その公信力が認められていない

 

C君がD君の鉛筆を盗み、名前にCと記載し、先生にこれは私の鉛筆ですといった

公信力があれば、その時点でその鉛筆はC君のものになってしまう

 

しかし、調査を行い、実はD君の鉛筆が一本なくなっていて、そして同じ種類の鉛筆をたくさん持っている等の証拠より、実際にはD君のものだと判明した場合、名前がC君と書いてあっても、D君のものと認める、ということを現在の不動産は行っている

 

登記は完全に絶対ではなく、もし盗まれた登記であれば、実際に証拠等で証明すれば、真の所有者に戻るという事になる

反証によって覆る

  

公示力

登記の公示力とは「今誰の物なのかをわからせるための制度」

 

・動産の場合

持っていることが公示になる

 

・不動産の場合

家や土地を持って歩くわけにはいかないので、代わりに、登記が公示になる

登記には公示力があるということになる

 

権利推定力

登記には公信力はないが、権利推定力はあるとされている

 

権利推定力とは、公式の機関である登記所が行った登記は、真に存在するものであると推定されること

 

ただし、推定は反証があれば覆る

 

  

対抗することができないとは、どういう意味か

民法177条の「登記をしなければ、第三者に対抗することができない」

登記をしなければ、当事者間で生じた物権変動の効果を、第三者に対して主張することができないということ

 

対抗要件を備えていないと、当事者から第三者へ対抗することができないが、

三者の側から登記が備わっていない物権変動の効果を認めることは可能

 

登記がなくても対抗することができる第三者

登記なくして対抗することができる第三者とは、「当事者及びその包括承継人以外の者であって、登記の欠缺(けんけつ=不存在)を主張する正統の利益を有する第三者」ではない者を言う(大判明41.12.15)

上記の者は、不動産に関する権利を主張したいと思ったときに、登記を備えていなくても対抗できる


 ・無権利の名義人、およびその譲受人・転得者

Aの家を買ったB、Bは何の権利も有していないが、

この家の名義人となっているCや、Cの登記名義を信頼してCから同じ家を買ったDに対して、登記がなくとも所有権を対抗することができる

CやDは何の権利も持っていない以上「登記の欠缺を主張する正統の利益を有する第三者」ではないから

 

不法行為者・不法占拠者

Aの家を買ったBは、所有権移転登記をしていなくても、不法にこの家を滅失毀損したCや不法に占拠するDに対して、損害賠償を請求して家の明け渡しを請求することができる

 

・転々移転した場合の前の持ち主・後の持ち主 

AからBへ、BからCへと所有権が移転した場合で、登記名義はまだAにあるとする

 

このときCはAに登記なくして所有権の取得を主張することができる

(CにとってAは「第三者」に該当しないため)

※Aは既に無権利者となっているので、Cが登記を備えていないことを主張しても意味を成さない主張となる

 

BはAから所有権移転登記を得ていなくても、Cに対して所有権の取得を対抗することができる(BにとってCは「第三者」に該当しないため)

※CはBの権利に基づいて権利を取得したので、Bが登記を備えていないことを主張しても、やはり意味を成さない主張となります。

 

 

・詐欺または脅迫によって登記の申請を妨げたもの

Aが家をBとCに二重に譲渡した

CがBを詐欺や強迫することによって、Bの登記の申請を妨げた場合、

BはCが所有権移転登記を受けたかどうかに関わらず、所有権の取得をCに対抗することができる

(このような場合にBがCに対抗できないとするのは不公平であり、信義則に反するため)

 

 

・他人のために登記を申請する義務のあるもの

Aが家をB法人に売ったとする

その所有権移転登記の前にさらにB法人がB法人の代表者Cに家を売った場合、B法人はCに対して、登記なくして所有権を対抗することができる

(CはB法人の代表者として登記を申請する義務を負っていながらそれをせず、自らが家を購入し、B法人が登記を備えていないことを主張できるとするのは背信行為であり、信義則に反する)

 

※ただしB法人とCが二重に譲渡を受けた場合であっても、Cが先に買い受けていたときは、先に所有権移転を受けた者が対抗することができる

 

※他人のために登記の申請をする義務がある者とは、、、

法人の代表者、未成年の子の法定代理人、不在者の財産管理人、遺言執行者等の法定代人の他、委任による代理人など

 

背信的悪意者

判例は「単なる悪意者は、民法177条のいう「第三者」に該当するので、この者に対しては登記なくして対抗できないとしている

しかし、他人が登記を備えていないことを主張することが信義則に反するような者に対してまで、登記が無ければその登記取得を対抗できないとするのは適当とは言えない

そこでこのような者を「背信的悪意者」として、背信的悪意者に対しては登記なくして権利の取得を対抗できるものとしている

 

 背信的悪意者とは

故意に人を苦しめるような悪だくみをしている人のこと

 

民法第177条 条文に規定

「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」

 

(例)

 Aは家を購入し、登記や引渡し全般をB不動産にお願いした
しかし、B不動産はA名義で登記をせず、その地位を利用して自分の名義で登記をした

 

このように、他人を苦しめるような目的の人が背信的悪意者

 

(問)

Aが甲土地をHとIとに対して二重に譲渡した場合において、Hが所有権移転登記を備えない間にIが甲土地を善意のJに譲渡してJが所有権移転登記を備えたときは、Iがいわゆる背信的悪意者であっても、Hは、Jに対して自らが所有者であることを主張することができない。

⬇︎

解説

背信的悪意者からの譲渡人であるJ(転得者)も有効に権利を取得することができる

よって、その者自身が背信的悪意者でない限り第177条にいう「第三者」に該当する

本問Hは登記を有していない

三者であるJに対して所有権を主張することはできない

 

 

 背信的悪意者の要件事実 

1 相手方の悪意

相手がわざと意地悪な気持ちを持って行動していることが第一条件となる

 

2 信頼を裏切ることをしたという事実があること

ただ悪意を持っているだけでは、特に問題にならない

その悪意を持って、何か他人に不利益が被るようなことをしたという事実があることが必要

 

以上2つの要件を満たす者が、背信的悪意者として認められる者となる

 

 

背信的悪意者排除論

「第三者」は悪意でも保護されるが、悪意者がもっぱら真の所有者の権利を害する目的でその登記の欠缺を主張する場合には、そのような主張は信義に反し、認められないとされる(最判昭和43年8月2日民集22-8-1571)

この判例がいわゆる背信的悪意者排除論の代表格

 

背信的悪意者排除論の論点は、第三者背信的悪意者として認められるかどうかという点

判例では、背信的悪意者は第三者として認められるとされている

 

(例)

家がAから第三者Cへ売られたことを知っているBが、その家を買った場合、

三者Cは登記をしないと所有権をBに対抗できない

信義則に反しない限りは、Bが知っていて(悪意で)二重譲渡をした場合でも保護されるということになる

 

 

背信的悪意者の類型 

多くの判例分析によれば,

(1)登記具備者が譲渡人の家族など近接した関係にある場合

 

(2)登記具備者が未登記の権利取得を承認し,これを前提とする行動をとりながら後に矛盾する主張をする場合

 

(3)登記具備者が加害目的や不当な利益取得目的で積極的に二重譲渡を教唆する場合

 

さらに、未登記権利者の占有や代金支払の有無, 未登記の理由,第2譲渡の無償性や対価の著しい低さなどが背信性認定の要素とされている

 

 

(疑問)

・不動産が二重売買された場合、相手方の片方が背信的悪意者であれば、背信的悪意者からの転得者は善意悪意に関わらず、保護されるのか?

⬇︎

 177条の第三者は善意悪意を問和ないので、背信的悪意者からの転得者は、その者が「背信的悪意者」でない限り保護される

 

 

・「Aが甲土地をHとIとに対して2重に譲渡した場合においてHが所有権移転登記を備えない間にIが甲土地を善意のJに譲渡してJが所有権移転登記を備えた時はIがいわゆる背信的悪意者であってもHはJに対して自らが所有者であることを主張することができない」の問題で、背信的悪意者は無権利でIから買ったので、Jも無権利者ではないのか?

⬇︎

背信的悪意者というのは無権利者ではない

登記を取得しても自己の権利を対抗できないという意味にすぎない

そのため、HとJは二重譲渡の関係となる

Jが登記を取得すれば勝ちとなる 

 

登記が必要な物権変動

 

1 解除と登記 (解除した者と解除後の第三者との関係)

(例)

Aは自己所有の土地をBに売却

さらにBはCへその土地を転売

BがAに代金を支払わないので、AはBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除した

この場合AはCに対して土地の所有権を主張できるか??

⬇︎

契約解除の前か後かで異なる

 

ケース①

AB間の売買→BからCへと転売→AB間の契約解除

この場合のCは解除の第三者

Cが保護されるには登記が必要

AとCは対抗問題とはならない

ここで必要とされる登記は、物権変動の対抗力を主張するためではない

Cの権利を保護するための登記、権利保護要件としての登記と言われる

Cが登記をしていれば、AはCに対して土地の所有権を主張できない

 

ケース②

AB間の売買→AB間の契約解除→BからCへと転売

この場合のCは解除の第三者

解除後の第三者との関係は対抗問題であるとされている

 

??なぜか??

・まずAB間の売買があり

・契約解除により所有権がBからAに戻り

・目的物はBからCへ売却され、所有権がCに移転した

⬇︎

これはBを起点に二重譲渡がされたことと同じ状況と考えられるから

 

※二重譲渡の場合の対抗要件は登記の有無

・Aは契約を解除した際に、BからAに登記を戻す機会がある

・CはBから目的物を買った時に、Cの名義に登記をする機会がある

公平に登記の機会があると考えられるので、主張できるかどうかは先に登記をしているかどうかで決まる

 

 

2 取り消しと登記 (取り消した者と取り消し後の第三者との関係)

(例)

AはBの詐欺により、A所有の土地をBに売却した

Bはさらにこの土地をCに売却した

AはBの詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消した

この場合、AはCに対して土地の所有権を主張することができるか??

⬇︎

前出の解除と登記と同じ結論

 

 

3 時効と登記 (時効取得者と時効完成後の第三者との関係)

取得時効によって所有権を取得した者が登場する場合

 

取得時効とは、、、

一定の要件を満たして、10年間か20年間、他人物を占有していると、所有権などの権利を取得できる制度のこと

 

ケース①

時効完成に第三者が登場した場合

Aは登記がなくてもCに対して対抗できる

(例)

AはB所有の土地を占有し、その時効が完成した

時効完成前に、BはCにその土地を売却し、登記も移転した

Aは時効による土地の取得を、Cに主張できるか??

⬇︎

Aが時効完成により土地を取得する前に、BはCに土地を売却している

土地の所有者はC

Aの立場→時効によって土地の所有権を取得する者

Cの立場は→時効によって同じ土地の所有権を失う者

という、当事者同士の関係となる

つまりAとCの関係は対抗問題ではない

Aは登記がなくてもCに対抗できる

 

ケース②

時効完成に第三者が登場した場合

登記のないAはCに対して対抗できない

AはB所有の土地の占有を続け、その時効が完成した

Aの時効完成後Bはその事実を知らないCにその土地を売却し、所有権移転登記を完了さた

Aは時効による土地の取得をCに主張することができるか??

⬇︎

Bを起点に二重譲渡が行われたと考えられる

AとCの関係は対抗問題となる

登記のないAはCに対して対抗できない

 

・Aは時効取得した時点で登記をする機会がある

・CもBから土地を買った時点で登記をする機会がある

⬇︎

公平に登記の機会があると考えられるので、主張できるかどうかは先に登記をしているかどうかで決まる

 

対抗要件 まとめ 過去問

 

AがA所有の甲土地をBに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 

1 Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる


2 AがBの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない


3 Aから甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった

Eがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、EはBに対して甲土地の所有権を主張することができない


4 AB間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる

 

解説

1 誤り
AからB、AからCに、二重譲渡が行われている

この場合、先に登記を備えた方が所有権を主張できる

CがBに対して甲土地の所有権を主張するには、所有権移転登記を備えていなければならない(民法第177条)


2 誤り
本肢では「取消しより前にBが甲土地をDに売却」しているのでDは取消前の第三者になる

詐欺による意思表示の取消は、取消前の善意の第三者に対抗することができない(同法第96条第3項)

よって、Dが詐欺の事実を知っていた場合には、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができる

なお、Dが所有権移転登記を備えていても同じ扱いとなる


3 正しい
Bに高値で売り利益を得る目的で、Aから甲土地を購入したEは、背信的悪意者に該当する

この場合BはEに対して、所有権移転登記を備えていなくても、甲土地の所有権を主張することができる

よって、反対にEはBに対して、甲土地の所有権を主張することはできない(同法第177条)


4 誤り
錯誤無効を主張できるのは、表意者のみ

本肢では、主張できるのはBであってAは錯誤無効を主張することはできない

また、錯誤は無効を主張するのであって、取消をするのではない(同法第95条)

 

 

疑問

?? 強迫の場合全ての第三者に対抗できるのに、なぜ登記がないと対抗できないのか??

 ⬇︎

BA間の売買契約締結の時期がポイントとなる

 

・BA間の売買が、強迫を理由とするCB間の売買契約を取り消す【前】に行われた場合

(取消前の第三者との関係の場合)

Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる

(売買がC→B→Aと流れているので、CはAに対しても主張できると考えられるから)

 


・BA間の売買が、強迫を理由とするCB間の売買契約を取り消した【後】に行われた場合(取消後の第三者との関係の場合)

この場合、まずBA間の売買の前に、CB間で売買契約が取り消されてる

そして、売買契約を取り消した後に、Cは法律関係を安定させるために登記をBから取り戻すべきであったにも関わらず放置しているのであれば、Cは不利益を受けても仕方ないと言える

 

※強迫で取り消したのであれば、ちゃんと登記も戻しておくべきだった

※Bに登記があることからAも売買を行ったのだから、Cは取り消し後に登記を放置していたリスクは負わなければならない

※AとCはBを中心として、お互いに土地は自分のものだと主張する対抗関係にある

177条に従って、登記を有する方が所有権を取得するのが妥当

 

 

??対抗要件は「不動産は登記、動産は引き渡し」となっているが、解説で「建物の賃貸借は登記がなくても、建物の引き渡しがあったときに効力を生じます」となっているものがある 建物の賃貸借は例外なのか??

⬇︎

建物の「賃借権」を第三者に対抗するときには、引渡しがあればよい

 

 

??使用貸借について「第三者への抵抗力は認められていない、引渡を受けていても対抗出来ない」とあるが、使用貸借の場合の対抗要件は何になるのか??

⬇︎

使用貸借契約については、使用借権が対抗要件をもつ方法が存在しない

つまり、借主は目的物の新所有者に対抗することはできない

 

民法等2−5 連帯債務と保証

連帯債務保証という、人を的にした担保物権について学習する

・債権者は1人だが、債務者が複数人いる

・1人の債務者から債権が回収できなくても、他の債務者から回収できる

 

連帯債務

保証

連帯保証

共同保証

 

連帯債務

複数の債務者が同一内容の債務を、それぞれ独立に負担し、その1人が弁済すれば他の債務者も債務を免れる関係

 

売主A(1人)

買主B/C/D(複数人)

 

 

連帯債務の効力

 

・原則

相対効…連帯債務はそれぞれ独立している

連帯債務者の1人について生じた事由は、原則として他の債務者に影響を及ぼさない

 

 

・例外

絶対効…以下の事由については、1人について生じた事由が他の債務者にも影響を及ぼす

事由 具体例

弁済

代物弁済

供託

債務者の1人であるBが売主Aに弁済(1,200万円すべてを返済)した場合、C/Dの2人は1,200万円を支払う必要はない

売主Aは代金をすべて回収したため、これ以上得る必要はない

更改

売主AがBとの合意により1,200万円の債権を、B所有の土地の引渡に更改すると、C/Dの債務は消滅する

その後BはCとDに求償することができる

混同

Bが売主Aを相続したとき、Bの債務は混同によって消滅する

同時にC/Dの債務も消滅する

ただし、Bは弁済したとき同様、C/Dに対して求償権を有する

相殺

Bが売主Aに債権1,200万円を持っていて、この1200万円とAの債権を相殺すると、C/Dについても債務が消滅する

また、Bが相殺を援用しない間は、C/DはBの負担部分400万円についてのみ債権者に対して履行を拒むことができる

 

※連帯債務者のうちの1人について無効・取消の原因があっても、他の債務者に影響しない

※連帯債務者の1人が破産した場合、債権者は全額について破産財団の配当に加入することができる

 

債務の承認とは、、、

時効によって利益を受ける債務者が債権者に対して、

債務が存在していることを認めることをいう

その効果として時効が中断する

 

 (例)

売主Aは1,200万円の別荘を、B/C/Dの3人売ることにしたが、代金の支払いに不安がある

確実に代金を払ってもらうために、Aはどうすればいいか

本来、3人で1,200万円のものを購入したのだから、1人400万円ずつ支払えば良いという考え方もできる

しかし、AとBとの間に無効・取消原因があった場合、AはC/Dからの800万円しか得られないという事態が考えられる

そこで法は、それぞれの債務が独立し、

かつ、B/C/Dのそれぞれが1,200万円の責任を負う連帯債務という制度を設けた

 

 

保証

債権を強めるために担保をとること

 

(例)

売主A  ←(兄弟)→ 買主B

Aは、Bから「家を売ってくれ」と頼まれた
AはBの支払い能力に不安がある
しかし、兄弟なので拒むわけにもいかない

こうした場合、AはBから何か担保を取ることで不安を解消できる

しかし、Bには担保になるような財産がない

保証人をたててもらう

 

結論
AはBに対する代金債権について、お金持ちのCに保証人になってもらえば良い

これが保証債務

 

 

 

保証契約の成立

1 保証契約は、書面または電磁的記録でしなければ、その効力を生じない


2 保証契約は、債権者と保証人との間で締結されるものであるため
  主たる債務者と連絡をとらず、主たる債務者からの委託を受けないまま

  債権者に対して保証したとしても、保証契約は有効に成立する

 

保証債務の範囲
1 主たる債務に関する利息・違約金・損害賠償など

  元本だけでなくすべての主たる債務に従たるものも含む


2 ただし、保証人は自己の保証債務についてのみ

  違約金・損害賠償の額を定めることができる

 

保証債務の性質

附従性

1 主たる債務が成立しなければ、保証債務も成立しない
2 主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する
3 主たる債務より保証債務が重くなることはない
  重いときは主たる債務と同じになる
4 主たる債務が軽く変更されれば、保証債務も軽くなる
5 主たる債務が重く変更されても、保証債務は重くならない
6 主たる債務に対する請求、その他の時効の中断は保証債務についても効力を生じる

 

随伴性

債権が移転すると保証債務も移転する

 

補充性

1 催告の抗弁権…まず主たる債務者に請求せよ、という権利
2 検索の抗弁権…まず主たる債務者の財産につき執行せよ、という権利

 

<連帯保証との違い>
連帯保証については、上記2つの抗弁権はない

 

保証人の資格

・原則

制限はない

 

・例外

保証人を立てる義務がある場合には能力者であり、かつ、弁済の資力を有することが必要

 

※保証人が弁済の資力を欠くに至った場合、債権者は保証人の変更を請求できる

(ただし保証人が債権者の指名による場合は、この変更請求は認められない)

※保証人は主たる債務者の委託を受けなくても、またその意思に反してもなることができる

 

保証人の権利

保証人は主たる債務者の有する抗弁権を援用することができる

ただし、解除権は行使できない

 

1 相殺の抗弁
(例)
買主Bが売主Aに以前お金を貸していた場合、これで代金債務を帳消しにできる
このとき、保証人のCもまたこの主張をすることができる

2 時効の援用
(例)
主たる債務が時効により消滅していたなら、買主Bはそれを主張できる
このとき保証人Cもこの主張をすることができる

3 同時履行の抗弁権
(例)
買主Bは売主Aに「代金は払うけど、同時に家を引き渡して登記の移転もしてくれ」と主張できる
このとき、保証人Cもこの主張をすることができる

 

保証人への免除

・債権者が保証人の債務を免除した→その効力は主たる債務者に及ばない

(売主Aが保証人Cの債務を100万円分免除したが、買主Bは免除されないので、全額支払わなければならない)


・債権者が債務者の債務を免除した→附従性により保証人の債務も免除される

(売主Aが買主Bの債務を100万円分免除したら、保証人Cの債務も免除されるので、100万円分は支払いをしなくて良い) 

 

連帯保証と連帯債務の違い

連帯保証と連帯債務の違いを考える上でキーワードとなるのが

「分別の利益」と「求償権」

 

分別の利益・求償権とは

分別の利益とは、、、

保証人が債務を等しい割合で負担することのできる利益


ここで言う求償権とは、、、

自分が弁済した際、他の連帯保証人に対し、弁済した分を請求することができる権利

 

・連帯保証には「分別の利益がない」ため、自分の負担分を超えて弁済しなければ、他の連帯保証人には求償することはできない(求償権がない)


・連帯債務には「分別の利益がある」ため、自分の負担分を超えない範囲で弁済しても、他の連帯債務者に対して求償することができる(求償権がある)

 

分別の利益・求償権とは

 

共同保証

共同保証とは、同一の債務について、二人以上が保証人となること

 

(例)

AがBから1000万円を借り、CとDが保証人になった
この場合、共同保証ということになる

共同保証では、「分別の利益」というルールがある

 

分別の利益

上記例でいうと「主たる債務者がA」「債権者がB」「保証人がCとD」となる


もし、C、Dが普通保証人の場合、主たる債務者の債務である1000万円を保証人の頭数である「2」で割って、500万円分だけ負担すればよいというのが、「分別の利益」

 

もし、CもしくはD、または両者が連帯保証人であれば、連帯保証人は分別の利益を有さないため、主たる債務者の債務額である1000万円を負う

 

連帯保証契約は、債権の相殺の抗弁権はなく対抗することができないのではないのか?

 

保証契約で抗弁権がないのは、「催告・検索」の抗弁権

「相殺」の抗弁権は、連帯保証契約でも援用できる

連帯保証契約では、債務に関する抗弁はできないが、債務者の「債権」に関しても、その権利を活用できる

 

債権譲渡した場合、随伴性により、主たる債務者に通知すれば保証人には通知しなくても債権を主張できるか?

連帯保証人に関しても同じ扱いか?

 

保証人、連帯保証人ともに、主たる債務者に通知すれば、保証人には通知しなくても債権を主張できる

 

保証、債務とあるが、連帯保証と連帯債務の違いがよくわからない

催告の抗弁権と検索の抗弁権は連帯保証についてないということですが、連帯債務にもないですよね。

これは、単なる保証人にしかないということでしょうか?

 

まず、連帯保証についてですが、これは主たる債務者が弁済の資力を欠くに至った場合、債務を返済する責任が生じる

一方連帯債務ですが、こちらは、一緒に債務を背負っているということを指しますので、主たる債務者と同様に、債務を弁済する責任がある

また、ご理解頂いている通り 催告の抗弁権と検索の抗弁権は、保証人にのみ認められている

 

民法等2−4 担保物権・債権を回収するための手段

担保物権

債権者が持っている債権を、債務者から確実に回収するために設定する権利のこと

速やかに自分の持っている債権を回収する手段の一つとして、担保物権が設定される

 

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 法的担保物件

担保物権に関する契約をしなくても、当然に発生する担保物権のこと

先取特権留置権

 

先取特権の例

建物賃借人(借家人)が家賃を滞納すると、建物賃貸人(大家)は、借家人が建物に備え付けた電化製品などの動産に対して、当然に先取特権が発生する


留置権の例

時計を修理のために時計屋が預かった場合に、時計の所有者が修理を支払わないと、時計に留置権が発生する(時計を手元に留めておくことができる)

 

 約定担保物権

担保物権に関する設定契約があって始めて成立する担保物権のこと

(抵当権、質権)

 

抵当権

「抵当権設定契約」をして始めて抵当権が発生

質権

「質権設定契約」をして、質物の占有を質権者に移して質権が発生

 

 担保物権の性質

1 付従性

債権が消滅したときには、担保物権も消滅する
担保物権は、債権を確実に回収するために設定されるもの

その債権が消滅したら、担保物権を残しておく必要はない

 

2 不可分性

債権全額の回収ができるまで、担保物権は全部に対して及ぶ

貸したお金の一部だけ返してもらったとしても、返してもらった一部の分だけ担保物権が消滅するということにはならない

 

3 随伴性

債権が譲渡されたときには、その債権と一緒に担保物権も移転する
AがBに対する債権を担保するために、抵当権を設定している場合に、Aが債権をCに譲り渡した場合には、債権を担保するための抵当権も、AからCに移っていく

債権をCが持ち、担保物権だけをAが持ったままでは、担保物権としての効力を発揮できないから

 

4 物上代位性 

担保を付けたものが滅失などによって金銭に変わったときには、差押えを条件に担保権を実行することができる

(例)

建物に抵当権を設定

その建物が火事によって焼失

支払われる火災保険金が抵当権の目的物になる

 

※建物の代わりに火災保険金、損害賠償請求権、売買代金請求権、賃料請求権に対して、抵当権を実行できる効力がある

※保険金などは実際に支払われる前に差し押さえをする必要がある

※支払いが完了している場合は実行できない

※建物がなくなったから抵当権も消滅するとは考えない

 

留置権には物上代位性はない

 

 

 担保物権対抗要件

三者に対抗するためには登記が必要

 

(例)

AはBに1000万円貸し付けた

担保としてB所有の土地に抵当権の設定を受けた

Bはその後、その土地をCに売り、現在Cが土地を所有している

 ??もしBがAに弁済できなかった場合、Aは抵当権を実行できるか??

⬇︎

抵当権設定の登記があれば、AはCに抵当権を主張し、抵当権を実行することができる

 

 

 ○抵当権

抵当権とは、、、

借金をした場合に何か高価なものを担保にして、借金を返せなかった場合に備える仕組み

高価なもの(土地や建物など)が競売にかけられた場合、競落代金から債権者が優先的に借金を返してもらえる権利をもつ

 

物上保証とは、、、

自分以外の他人のために、自分の財産上に抵当権や質権を設定すること

連帯保証(人)ではない

保証する範囲は設定した自分の財産に限る

その財産で弁済後に、債務者に債務が残っていても物上保証人に弁済の義務はない

物上保証は住宅ローンでは少なく、事業者に多い保証形態

事業者が事業資金に困窮し、自らの担保が不足している場合、親兄弟などに担保提供(物上保証)を受け資金調達するケースが多い

債務者が評価3,000万円の物上保証人の土地を担保にして5,000万円を借り入れた場合、債務者が返済不可能となった場合は、その土地を売却した3,000万円を弁済すれば、残債2,000万円について物上保証人に責任はない

 

物上保証人とは、、、

自分以外の人の債務を、自分の財産(主に不動産)をもって担保(保証)した人のこと

銀行などの金融機関はお金を貸す際、貸した相手(債務者)が返済できなくなったとき(債務不履行)に備えて、債務者に担保を提供してもらうのが一般的

しかし、債務者に担保にできるような財産がなかったり、借りる金額に対して担保の価値が低かったりした場合、債務者以外の人が担保を提供(物上保証)することが融資の条件になることがある

このときの、担保を提供した債務者以外の人のことを「物上保証人」という

 

・抵当権の設定

1 抵当権の目的物となるもの

 ・不動産

 ・地上権

 ・永小作権

 

2 抵当権設定契約 

 抵当権の設定契約は諾成契約

 抵当権者と抵当権設定者の合意によって行われる

 

3 対抗要件としての登記

 ・抵当権の順位は、登記の順番

 (先に登記をした抵当権者が先順位、遅れて登記をした者が後順位)

 ・抵当権の順位は、各抵当権者の合意で変更することができる

 (利害関係者の承諾が必要、登記が必要)

  

抵当不動産の使用と収益

・Bの建物について、Aのために抵当権が設定された

・抵当権が実行されるまでは、この建物はBが使用できる

・Bは建物を人に貸して賃料を受けるなどの収益を得ることもできる

 

 抵当不動産の処分

・Bの建物について、抵当権の設定を受けた抵当権者のA

・Aは登記をしておけば、その建物が売却されても抵当権を実行することができる

・抵当権設定者のBはAの承諾がなくても建物を譲渡することができる

(Bが勝手に譲渡したとしても、Aに不利益がないため)

 

 抵当権消滅請求

抵当権が付着している不動産を、抵当権が付着した状態のままで取得した者(第三取得者)は、いつ債権者の意向により任意競売(抵当権の実行)にかけられるかわからないという不安定な状態に置かれてしまう


民法第379条では、第三取得者からの請求により抵当権を消滅させることができるという仕組み「抵当権消滅請求」を設けている

民法改正により2004年4月1日以降に抵当権消滅請求という名称になった)

(旧名称は滌除/てきじょ)

※反対に、債権者からの請求により抵当権が消滅する仕組みとして民法第378条の代価弁済が設けられている

民法第379条の抵当権消滅請求の仕組み
抵当権が付着している不動産を、抵当権が付着した状態のままで取得した者(第三取得者)は、自分が適当と認める金額を債権者に呈示して、抵当権の消滅を要求することができる(改正後の民法第379条)

債権者が、この要求から2ヵ月以内に任意競売の手続き(すなわち競売の申立て)を行なわない場合には、第三取得者が呈示した金額の支払いで抵当権が消滅することを債権者が承諾したことになる(改正後の民法第384条)


(例)

債権者Aが債務者Bに3,000万円を融資し、不動産Pに3,000万円の抵当権を設定した

その後Bがこの不動産Pを500万円で第三者Cへ売却した

本来、この不動産Pの時価評価は3,500万円だが、3,000万円の抵当権が付着している分だけ売却価格が下げられているとする


このとき第三取得者Cは、債権者Aに対して「Cが2,500万円をAに支払うので、これにより抵当権を消滅させる」旨を請求することができる(2,500万円という金額は例えとして挙げたもので、事情により幾らにするかは第三取得者が決めてよい)

このCの請求を拒否するためには、Aは請求から2ヵ月以内に任意競売の申立てをしなければならない

Aが任意競売の申立てをしないときは、Cが2,500万円を支払うことで抵当権が消滅する 

 

 ・買主の代金支払い拒絶権と費用償還請求権

(抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶)
第577条 

1項
買い受けた不動産について抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる

この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる

2項 
前項の規定は、買い受けた不動産について先取特権又は質権の登記がある場合について準用する

 

 

買い受けた不動産に抵当権等の担保物権があるときには、買主は抵当権等の消滅請求をすることができ(379条、341条、361条)、そのために支払った金額の償還を売主に請求することができる(570条


そこで、抵当権消滅請求が終了するまでは、代金の支払を留保し、償還すべき金額を代金から差し引いて支払うことが簡便であり公平であることから、買主に代金の支払いを拒むことができるものと定めた

 

平成29年民法改正では「契約の内容に適合しない」との文言が追加されている

これは、あらかじめ当事者が抵当権等の存在を考慮して代金額を決定していた場合は、抵当権消滅請求の機会を与える必要がないことから、本条の適用がないことを明記している

 

 ・抵当権侵害

「抵当権の侵害」とは、抵当権者が目的物の価値の減少・価値の減少の可能性により、被担保債権を回収できなるなることをいう

 

抵当権の大きな特徴は、目的物は債務者(抵当権設定者)にその使用・収益を許して、

抵当権者は目的物全部の交換価値を債権の担保として把握する権利を持っている

 

抵当権の目的物の管理は抵当権者ではなく目的物の所有者に委ねられる

 

しかし目的物の価値が下がるようなことをされては、抵当権者の債権が担保できなくなり、受けることができる弁済額が低くなってしまう可能性がある」

 

(例)

AのBに対する2000万円の債権を担保するためにB所有の2500万円相当の価値のある甲建物に抵当権を設定した

Bはその甲建物をCに貸していたが、Cは甲建物に対して破壊行為をし、甲建物の価値が1500万円になった

 

抵当権の侵害

 

 

目的物の価値の減少・価値の減少の可能性により、抵当権者が、被担保債権の回収をできなくなることが、抵当権の侵害

 

被担保債権の回収ができなくなるのは、抵当権者にとって不利益となる

 

・抵当権の侵害があった場合の抵当権者の保護

1 妨害排除請求
2 返還請求
3 不法行為に基づく損害賠償請求権
4 明渡請求

 

抵当権者に認められたこの4つは、本来は所有者が持つ管理権を、被担保債権を回収するという目的を達成するため、抵当権者にも行使できるようにしたもの

※抵当権の侵害は、基本的に判例の勉強
このポイントだけ理解する 判例をすべて覚える必要はない

 

1 妨害排除請求

債務者や抵当権設定者または第三者が、通常の利用方法を超えて、抵当権の目的物である不動産の損傷行為を行おうとする場合、抵当権者はその損傷行為を排除するように請求することができる(判例

 

抵当権者は、抵当権の効力として、抵当権の目的物が損傷する危険を排除するように請求することができる

 

(例)

抵当権の目的物となっている甲建物への破壊行為をするCに抵当権者Aは「壊さないで!」と主張することができる

 

抵当権の侵害・妨害排除請求

 

 

不法占拠者に対する妨害排除請求

三者抵当不動産を不法に占拠し、交換価値の実現が妨げられ、優先弁済権の行使が困難な場合は、抵当権者は、不法占拠者に対して抵当権に基づく妨害排除請求を行使することができる(判例

 

(例)

AがBに対して有する債権を担保するためにB所有の乙建物に抵当権を設定
Bは弁済できなかったので、抵当権の実行をしようとしたらCが不法に占拠していた
Cの目的物不法占拠のせいで、抵当権の実行ができない

 

不法占拠者に対する妨害排除請求



このような場合、優先弁済権の行使ができず、不法占拠によって目的物の価値が下がるため抵当権者Aは、抵当権に基づき不法占拠者Cに対して「出ていけ!」と主張することができる

 

2 返還請求

抵当権の目的物が及ぶ範囲内のものが、奪われた際、抵当権者は所有者に返還するよう請求することができる

 

(例) 

AがBに対して有する債権を担保するためにB所有の庭石付きの土地に抵当権を設定
Cが庭石を盗んだ

(庭石は目的物の従物で抵当権の効力が及ぶ範囲内

 

抵当権の侵害・返還請求

 

抵当権者Aは、Cに対して「庭石を土地所有者Bに返して!」と請求することができる

 

※注意

「所有者に返還」するよう主張できるが

「抵当権者に返還」するようには主張できない

 

そもそも抵当権は、目的物の使用・利益は抵当権設定者に許されている

 目的物の所有権が抵当権者にあるわけではない


抵当権者は「目的物の価値」を下げるような行為(例では庭石を盗む行為)についてのみ主張することができる

 

 

3 不法行為に基づく損害賠償請求権
抵当権を土地に設定していて、その土地が不法に占有され

その不法占有者が目的物である土地にゴミや汚物などを埋めていた場合

そのまま抵当権を実行したが

目的物の価値が低下してその結果として十分に弁済できなかった場合は

その不法行為に基づく損害賠償請求をすることができる

 

ゴミや汚物が埋められていると交換価値が下がってしまうので、除去した場合もその除去費用を損害賠償請求により回収することが可能

 

 

4 明渡請求

抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合は、抵当権者は、目的物の占有者に対して、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる。(判例

 

(例)

AがBに対して有する債権を担保するためにB所有の丙建物に抵当権を設定
Bは丙建物をCに賃貸し、丙建物にはCが住んでいたが、Cはこの丙建物をゴミ屋敷にしてしまった

 

抵当権の明渡請求


このような場合、抵当権の目的物である建物がゴミ屋敷になると、価値が下がってしまう


本当は、所有者であるBが適切にこの建物の維持管理をしなければならないが、

Bが維持管理をしようとしないときは、抵当権者AはCに対して直接自分(抵当権者A)に甲建物を明け渡すよう請求することができる

 

 

 ○抵当権の実行

・抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲

抵当権の実行の際に、競売に出すことができるもの

抵当権の効力は、その目的となっている不動産に「付加してこれと一体となったもの」に及ぶとされている

「抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲」とは、抵当権の実行が行われ抵当不動産(目的物)を競売にかけてお金に変えることができる範囲のこと

「抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲」は、毎年出題される抵当権の中でも、問われやすい

 

1 土地・建物

基本的には、土地と建物は別々の不動産


土地に設定された抵当権の効力→土地のみに効力がある

建物に設定された抵当権の効力→建物のみに効力がある

 

※例外 

土地に抵当権を設定した後に、設定者が建築した建物は、抵当土地とともに競売することができる(一括競売

 

2 付加一体物:増築建物・付属建物・雨戸など

抵当不動産に付加して一体となった物には、抵当権設定の前後を問わず効力が及ぶ

 

抵当権設定当時は存在していなかったが、のちに増築した建物など

これらの建物は分けてしまうと価値が下がってしまうので、増築した部分も含めて抵当権の効力が及ぶ

 (付加一体物として認めれれるものの具体例は、増築建物・付属建物・雨戸)

 

3 従物:母屋と独立した物置・畳・庭石など

 抵当権設定当時に存在していた従物には効力が及ぶ

 物置や畳・庭石など

その従物(物置・畳・庭石など)を込みで抵当目的物の価値を定めているから

 

判例) 

ガソリンスタンド用の建物に抵当権を設定した場合は、設定当時に存在する地下タンクや洗車機等は従物であり、その従物があるからこそガソリンスタンド用の建物の価値があるので、抵当権の効力はこれらの設備にも効力が及ぶ

 

4 従たる権利:借地上の建物に抵当権を設定した場合の借地権

判例

 借地権のように建物の所有権に基づく権利(従たる権利)にも類推適用される

 

(例)

AがBに対する債権を担保するために、B所有の甲建物に抵当権を設定

この甲建物はX所有地にBが借地権を設定し建っている

Bは弁済できず、抵当権の実行が行われCが甲建物を買い取った

 

この例のように、抵当権の目的となった建物の所有を目的として借地権が設定されている場合、この借地権にも従たる抵当権の効力が及ぶ

 

※第三取得者Cは、借地権付き抵当不動産(甲建物)を買い受けたということになる

 

5 果実:法定果実天然果実(賃借料など)

果実2種類

天然果実

物の用法に従い収取する産出物

果樹園で採取された果実や菜園で収穫された野菜、竹林から採取された野菜など

 

法定果実

物の使用の対価として受け取るべき金銭その他の物

土地や建物などの賃貸料
利息なども含まれる

 

果実には抵当権の効力が及ばないのが原則

(抵当権の最大の特徴として、目的物の占有や利用・収益は設定者に許しているから)

 

(例外、判例

債務不履行後に生じた果実には抵当権の効力が生じる

 

AがBに1000万円を貸してBが自分の所有している甲マンションに抵当権を設定

Bが甲マンションをCに賃貸して賃料を受け取っている場合

BがAに弁済できている間は甲マンションの賃料はBが受け取ることができる

Bが弁済できず債務不履行になり、抵当権が実行されると、Aは甲マンションの賃料からも債権を回収できるようになる 

 

 

 ○抵当権の実行

 ・被担保債権の範囲

元本については、その全額について抵当権を行使することができる


利息その他の定期金、損害金については、その満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使することができる


※この規定は後順位抵当権者の利益を図るための規定

後順位抵当権者がいない場合には、このような制限はない


※最後の2年分より前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時から抵当権を行使することができる

 

  ○抵当権の実行

法定地上権

抵当権が土地だけに設定された
その土地に建物が建っていて、人が住んでいる場合、その土地の抵当権が実行されると、その人は自動的に地上権を取得し、そこに住み続ける事ができる

 

(例) 

Aが土地と建物を所有して住んでいた

AがBからお金を借りて、土地に抵当権を設定した

その後Aはお金を返せなくなり、抵当権が実行され、Cがその土地を購入した

Cはその土地に自分の家を建てたい

??CはAに対して「建物を撤去しろ!」と言えるか??

⬇︎

言えない

Aはその家を撤去する必要はなく、その土地を自由に使用できる

 

競売によって、土地はCの所有になったが、
それと同時にAは地上権を取得することになっている

※法律上、自動的に取得する地上権のこと→法定地上権

 

※地上権

地代を払う必要はあるが、その土地を地主に断ることなく自由に使用できる権利のこと。

 

??Aの建物が登記されていなかったら??

⬇︎

法定地上権は成立する

 

??土地と建物の両方に抵当権が設定されていた場合は??

⬇︎
法定地上権は成立する

 

 

 ○抵当権の実行

一括競売と法定地上権

※一括競売と法定地上権は抵当権が実行される状態が違う、混同しないよう注意

 

一括競売

「一括競売」とは、更地に抵当権が設定された後、その抵当権のついた土地に建物が建てられた場合(抵当権設定者以外の者が建築した場合も含む)

抵当権者は土地と共に本来は抵当権が及ばない建物も競売できる

 

(例) 

BはAの債権を担保するために、Bの所有の土地(更地)に抵当権を設定し、その後その更地の上に建物を建築した
しかし、Bは弁済期になっても弁済がなされなかったので抵当権の実行が行われた

 

土地と建物は別々の不動産なので本来なら抵当権を実行できるのは土地だけのはず

 

しかし、建物を壊して更地にしてしまうのは社会経済的にも損失が大きい

建物所有者のためにも、本来は抵当権が及ばない建物も土地と合わせて一括で競売できるとした

 

※抵当権の実行により土地と建物を一括競売したAが受けることのできる優先弁済は、抵当権の設定されていた土地の代金のみ

 

 

法定地上権

土地とその上の建物を同じ所有者が所有している場合

土地・建物の一方または双方に抵当権が設定され

その実行により、土地と建物の所有者が異なったときに

建物のために当然に発生する地上権のこと

 

民法上、土地と建物は別々の不動産とされている


抵当権実行前までは同一の所有者に属する土地と建物が、抵当権の実行の結果、土地と建物が別々の所有者になった場合、建物の所有者は土地の利用権を失ってしまう

 

そうなると、建物所有者は建物を取り壊し移転するなどして、土地を明け渡さなくてはならない

 

これでは社会経済上損失が大きくなる

その損失をなくすため、民法では、条件がそろえば当然に成立する「法定地上権」を認めている

 

(例)

BはAの債権を担保するために、B所有の土地と建物のうち建物のみに抵当権を設定した

その後Bは弁済せず、抵当権の実行が行われ土地が競売にかけられ、Cが新たな建物の所有者になった

B所有の土地C所有の建物が存在している状態

 

この場合C所有の建物のために、法定地上権が成立し、B所有の土地の上の法定地上権者となり、Cはこの建物の使用をすることができる

 

法定地上権の成立要件

法定地上権が成立する要件3つ

 

1 抵当権設定当時から建物が存在すること

  • 抵当権設定当時に建物が存在すれば、その後に火災等で建物が滅失し抵当権が実行までに、再築した場合でも法定地上権は成立します。(判例
  • 更地に抵当権が設定された後に建物が建てられた場合、抵当権者があとから建物を建築することを承認していた場合でも、法定地上権は認められない。(判例
  • 複数抵当権が設定されている場合、1番抵当権設定当時に建物が存在していなければ、2番抵当権設定当時に建物が存在し、2番抵当権の実行された場合でも、法定地上権が成立しない。(判例

 

2 抵当権設定当時、土地と建物の所有者が同一であること

  • 抵当権設定当時に、所有者が同一であれば、設定後に譲渡などによって所有者が変わっても法定地上権は成立する。(判例
  • 土地に一番抵当権が設定当時に、土地と建物の所有者が同一でなければ、その後土地と建物の所有者が同一となり、その後の土地に二番抵当権を設定し抵当権の実行されても法定地上権は成立しません。(判例
  • 共有している土地の上に、共有者の一人が建物を有し、自己の持分の上に抵当権を設定した場合には法定地上権は成立しない。
  • 建物を共有している場合、建物の共有者の一人が敷地を有し、敷地に抵当権が設定された場合には、法定地上権が成立する。

 

3 競売の結果、土地と建物の所有者が別々になったこと

  • 競売の結果、土地と建物が別々の所有者に帰属すれば法定地上権は成立する。

 

 

法定地上権が成立するのに登記は不要

登記がどうであれ、上記の要件を満たしていれば法定地上権は成立する


法定地上権の成立は、当事者の特約で定めても排除できない判例) 

 

 

  ○抵当権の実行

・賃貸借の保護 

抵当不動産の賃借人とは、、、

抵当権の目的物である不動産を賃借している人のこと

 

抵当権と賃借権の優劣は、登記の前後によって決まる

原則

 ・抵当権設定登記前に賃借権登記をしている賃借人

 →新所有者(買受人)に対抗することができる

 ・抵当権設定登記後抵当不動産を賃借した人

 →新所有者(買受人)に対抗することができない

 

ここでは民法上の規定を解説しているため、借地借家法と要件が異なる部分がある
本試験では問題文に「民法の規定では…」「借地借家法の規定では…」と記載があるので、そこで論点を確認すること

 

 

抵当不動産の賃貸人の保護

抵当不動産を賃借している賃借人は、抵当権が実行されたら基本追い出されることになる

不安定な状態に置かれる可能性がある抵当不動産の賃借人を保護するために、民法は賃貸借に対抗力を与える制度を設けている

 

(例) 

BはAの債務を担保するためにB所有の甲建物に抵当権を設定した
抵当権は、抵当権の目的物を抵当権設定者(B)が使用・収益することができるのでCと賃貸借契約を結び甲建物を賃貸している


この場合のCが抵当不動産の賃借人

 

このAB間の抵当権設定契約の登記が、BC間の賃貸借契約登記の前なのか後なのかで、抵当不動産の賃借人Cの対抗できるかが決まる

 

※抵当権と賃借権の優劣は登記の前後によって決まる

※登記しなければ、抵当権も賃借権も対抗することはできない

 

 

抵当権設定前の賃借人の保護

民法上では抵当権設定登記前に

賃借権登記をしている賃借人は

抵当権実行が行われ、抵当不動産が競売され所有者が買受人に移っても

賃借人が登記をしていれば対抗することができる

 

(例) 

BがCにB所有の甲建物について賃貸借契約を結び、Cは甲建物に居住している
その後BはAにお金を借り、Aへの債務を担保するために抵当権を設定した
Bは弁済することができず、抵当権実行が行われ甲建物が競売にかけDが甲建物を買い受けた

 

抵当権設定前の賃借人

 

この場合、賃借権登記がある抵当不動産を買い受けたことになる

賃借人Cは新所有者(買受人)Dに対して、賃借権を主張することができる

賃借人Cは建物を明け渡す必要はなく、賃借人Cは買受人(新所有者)Dに対して、甲建物の賃借人であることを主張することができる

 

抵当権設定前の賃借人は主張できる

 

賃借人Cが甲建物の賃借人であることを主張できるため、

買受人(新所有者)Dは賃貸人として当然に承継され、

買受人(新所有者)Dと賃借人Cとの賃貸借関係になる
(④の段階でBC間の賃貸借契約は消滅している)


なので賃借人Cは、買受人(新所有者)Dに対して「賃料相当額」を支払うことによって甲建物に居住し続けることができる

 

抵当権設定前の賃借人は主張できる 敷金返還請求

 

敷金関係も継承されるので、賃借人Cが旧所有者Bに支払った敷金は、新所有者(買受人)Dに継承されるため、賃借人Cが建物を明け渡す際は、新所有者(買受人)Dに対して敷金返還請求をすることができる

 

特別法は一般法に優先する 

ここでは民法の規定の解説

借地借家法では、賃借人の対抗要件が「登記」だけでなく「建物の引渡し」だけでも対抗できるようになる

民法での条件と特別法(借地借家法等)での条件は別々に判断する

 

 

抵当権設定後の賃借人の保護

抵当権設定契約の登記後に、

賃貸借契約によって抵当不動産を賃借した者は、

抵当権者や競売の買受人に対して対抗することはできない

 

(例)
BがAへの債務を担保するためにB所有の乙建物に抵当権を設定し登記も済ませた

その後、BはCと乙建物についての賃貸借契約を結びCが乙建物に居住している

BがAに弁済することができず、抵当権の実行にて競売にかけられDが乙建物の買受人になった


この場合、賃借人Cは抵当権者A、買受人Dに対抗することができない

 

原則は、賃借人Cは対抗できないので抵当不動産(乙建物)をすぐに引き渡さなければならない

 

しかしそれでは賃借人がかわいそうなので、抵当不動産の賃借人を保護するために例外的に下記の2つの制度を設けている

・建物引き渡し猶予制度

・抵当権者の同意を登記した賃貸借権に対抗力を与える制度

 

2004年(平成16年)以前は、短期賃貸借保護制度が置かれていたが、

民法改正より原則的に廃止され、これに代わって「建物引き渡し猶予制度」が創設された

 

 

例外1 建物引渡し猶予制度

 抵当権者に対抗できない賃貸借により、競売手続きの開始前から抵当権の目的不動産を使用・収益していた者は、その建物が競売された後、買受人の買受けの時から6か月間、明渡しが猶予される

※引き渡さなければならないのには変わりないが、引渡しに6か月の猶予がある

 

※競売後6か月間の賃料相当額を支払う必要がある


買受人D(新所有者)が抵当建物使用者(賃借人C)に対して相当な期間を定めて1カ月分以上の支払いを催告し、相当期間内に支払いがなければ、建物引き渡し猶予制度は適用されず、抵当建物の賃借人はその目的建物を引渡さなければならない

 

建物引き渡し猶予制度

 

上の図の④競売の時点で、BC間の賃貸借契約は消滅しているため、競売後の賃料相当額は不当利益として返還しなければならない

 

買受人D(新所有者)は抵当権設定当時の権利を買い受けることになるので、抵当権設定後に設定された賃貸借契約の賃貸人B(旧所有者)の地位は承継されない

 

敷金は買受人D(新所有者)に継承されることはない

 

敷金継承されないので、賃借人Cが乙建物引き渡しの際に敷金返還請求をする場合はその請求先は前賃貸人B(旧所有者)となる

 

賃借人Cが乙建物の利用を継続したければ、買受人D(新所有者)との間で再度賃貸借契約を締結する必要がある


賃借人Cと賃貸借契約を締結するかは買受人D(新所有者)に委ねられる

 

※この制度は建物のみに適応され、土地には適応しない

 

 

例外2 抵当権者の同意を登記した賃貸借権に対抗力を与える制度

登記をした賃貸借は、その登記前に登記した賃借権を有するすべての者が同意し、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる

 

しかし抵当権者がこの同意の登記をするには、下記の承諾を得なければならない

・転抵当権者など(その抵当権を目的とする権利を有する者)

・その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者

 

この規定は、賃貸用の不動産などは賃借権を継続しないと、むしろ抵当不動産の担保価値を低下させることから認められた

 

  ○抵当権の実行

・第三取得者の保護

 AがBに1000万円を貸し付けた

B所有のY地に抵当権の設定を受け、登記も備えた

BがY地をCに売却した

(Cが第三取得者)

??Cがその抵当権を消滅させ、抵当権の実行を防ぐにはどうすればいいか??

⬇︎

利用できる制度2つ

1 代価弁済

Aの求めに応じて、CがAに代金を支払い、抵当権を消滅させる

(Aが主導)

 

2 抵当権消滅請求

CからAに、抵当権の消滅を書面で要求

登記した全ての債権者の承諾を得た額を、Cが支払い、抵当権を消滅させる

(Cが主導)

抵当権消滅請求は抵当権の実行としての競売による差し押さえの効力発生前まで、行うことができる

※主たる債務者・保証人・その承継人は抵当権消滅請求はできない

(そもそも全額返済する立場のため、それに満たない金額で抵当権を主滅させる機会を与えるべきではないから)

 

 根抵当権

民法第398条 根抵当権
1、抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる


2、前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない

 

3、特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる

 

 

・特殊な抵当権の根抵当権

不動産を担保として極度額を設定し、債権の種類を決め、その範囲内でお金の貸し借りが繰り返しできるようになる権利

 

(例)

自営業を営むAさんが、自らが所有する土地を担保とし、B銀行から極度額(上限額)3000万円のお金を借りた

債権の種類を商売の仕入れに関するものとし、これに根抵当権を設定すると、Aさんは極度額3000万円以内の範囲であれば、商売の仕入れに関するお金の貸し借りを繰り返し行う事ができる

これが根抵当権の仕組み

 

・元本の確定

根抵当権によって担保される債権を定めることを「元本確定」という
元本の確定は、元本確定期日の到来、または当事者の確定請求等によって行う
当事者の確定請求は、根抵当権設定者が根抵当権設定時から3年以上であれば元本の確定請求をする事ができる


 

根抵当権の変更

1:限度額の変更

元本確定の前後を問わずにいつでも行う事ができる
ただし、利害関係人の承諾が必要

2:被担保債権の範囲の変更

元本確定前である場合のみ行う事ができる
利害関係人の承諾は不要

3:債務者の変更

元本確定前である場合のみ行う事ができる
利害関係人の承諾は不要

4:元本確定期日の変更

元本確定前である場合のみ行う事ができる
利害関係人の承諾は不要

 

根抵当権の特徴】

1:付従性が無い

元本確定前は、借りたお金を全額返済したからといって根抵当権は消滅しない

決められた債権の種類かつ限度額の範囲内であれば何度でも借りる事ができるため

根抵当権を消滅させるには、「根抵当権の抹消登記」が必要

2:被担保債権の範囲

根抵当権は「一定の範囲」に属する不特定の債権を限度額の範囲内において担保するもの

なんでも担保に出来るわけではない(包括根抵当権の禁止)

商品供給取引や銀行取引による債権、といったように担保にできる債権が限定されている

3:随伴性が無い

元本確定前であれば、被担保債権が譲渡されても根抵当権は移転しない

4:効力の範囲

根抵当権は、限度額の範囲内であれば、確定した元本をはじめ、利息、遅延損害金等、すべてに効力を生じる

 

 

 ○その他の担保物権

法定担保物権留置権先取特権

約定担保物権→抵当権、譲渡担保、質権、仮登記担保

「法定担保物権」と「約定担保物権」を合わせて「物的担保」

「物的担保」「人的担保」などを総称して「担保」

 

  

 

留置権(法定担保物権

他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置する権利

 

(例)

自動車工場が自動車を整備したときは留置権に基づいて、整備代金の支払いを受けるまで自動車を留置し、その支払いを間接的に強制することができる

この例で言う自動車工場が留置権

留置権者は、自動車を留置している間中、善管注意義務がある

善管注意義務→注意を払って責任をもって人の物を管理する義務

 

 

留置権の要件

1債権と物との牽連

対象物と関わる債権であれば、効力が制限されない

(例)
公園で子どもたちがサッカーをして遊んでいた
このとき、勢い余って向かいの家の庭にボールが飛び、陶器の置物を壊してしった
この場合の「置物が割れたことによる損害賠償」が、物から生じた債権にあたる

 

2 債権が弁済期にあること

履行前には効力が生じないことから、弁済期にある必要がある 

(例)

自動車修理工場に修理を依頼し、代金支払いと車引渡しの日にちが決まった

この「代金支払い日」「引渡し日」が弁済期

弁済期がきていない債権には効力がないので、留置権は発生しない

 

3 他人のものを占領している状態にあること

他人のものを占有することで初めて留置する(引き留める)行為が可能になる

 

4 占有が不法行為によって始まったのではないこと

不法占拠者は、適法に占拠をしていないので、留置権は認められない

 

 留置権の性質

1.登記ができない

不動産限定で、留置権は、専有し続ける必要があるので登記をする必要がない

(登記をすることができない)

登記ができなくとも専有し続けることで、抵当権などにも対抗できるため、登記が特に問題となることはない

 

2.付従性

担保物権と被担保物権の関係性のことを指す

上記の自動車の修理の例では、修理代金が支払われれば、車を引き留めておくことはできなくなる

担保物権が成立するためには被担保物権が必要)

 

3.随伴性

債権の譲渡が行われた場合、被担保物権に係る担保物権も一緒についていくという性質

自動車の修理が他の修理工場で行われることになった場合、未払いの代金とともに修理済みの自動車の留置権も引き継がれる

 

4.不可分性

債権の一部のみ弁済を受けても、引き留めている物すべてに対して、留置権が及ぶという性質

自動車の修理代金を半額支払ってもらったからといって、車の右半分だけ預かっておくということは不可能

全部の支払いがなされるまでは、対象物全部の留置が認められている

 

 

 

○先取り特権(法定担保物権

法定担保物権の一つ

当事者で契約をしなくても成立する

法律で定められた債権を有する者が、他の債権者に優先して弁済を受ける権利

 

(例)

建物賃貸借によって、A所有建物をBが借りた
Bが家賃を滞納し、家具などが競売にかけられ場合、Bの賃料債権は法律上当然に「先取特権」となり、他の債権者より優先的に弁済を受けることができる

先取特権は別途先取特権の契約をしなくても当然に成立する

 

不動産賃貸の先取特権

建物の賃貸人は、賃借人が借りている建物に備え付けた電化製品などの動産について先取特権を持つ

 

不動産保存の先取特権

不動産の保存→不動産の価値を維持する行為

この保存のために費用を負担した人は、その旨を登記すれば先取特権が発生する

不動産を競売して保存費用を取り戻せる権利が発生する

 

(例)

賃借している建物の屋根から雨漏りした

賃借人が屋根の修繕費用を負担した場合、その旨を登記すれば、不動産保存の先取特権が発生する

 

不動産工事の先取特権

不動産の工事→家を建てることなど

請負人が建物を建築する場合、工事を始める前にその費用の予算額を登記することで、先取特権が発生する

発注者が建築費用を支払わない場合は競売をかけて、優先弁済を得られる

 

不動産売買の先取特権

売主がまだ代金の完済をうけないうちに、目的不動産を買主に引き渡し、所有権が買主に移転すると、残金の支払いに不安が生じる

この場合、所有権移転登記と同時に、代金の未払いがある旨を登記しておけば優先弁済を得られる

 

・質権(約定担保物権

質権とは、、、

債権者がその債権の担保として、債務者または第三者から受け取った物を、債務の弁済があるまで留置し、その弁済を間接的に強制するとともに、弁済のない場合には、その物から優先的に弁済を受けることを内容とする担保物権のこと

 

質権の性質

付従性・随伴性・不可分性・物上代位性を有する

質権が設定されると、目的物の占有が質権者に移転する

質権には留置的効力がある

 

質権の設定

・質権は約定担保物権のため、質権設定契約により締結される

質権を設定してもらう債権者→質権者

質権を設定する方→質権設定者

 

・多くの場合、債務者が質権設定者となるが、第三者が質権設定者になることもある

質権設定者になった第三者→物上保証人

 

・質権設定契約は、目的物を債権者に引き渡すことによって、はじめてその効力を生じる

質権設定契約は要物契約

 

・質権は譲渡することができる物や権利に設定することができる

動産質権 動産に設定された質権

不動産質権 不動産員設定された質権

権利質権 その他の財産権に設定された質権

※不動産質権の第三者対抗要件は、登記

 

被担保債権の範囲

質権は設定契約で別段の定めをしない限り下記の賠償を担保する

・元本

・利息

・違約金

・質権実行の費用

・質物の保存の費用

債務不履行または質物の隠れた瑕疵によって生じた損害

 

※質権の被担保債権の範囲は、抵当権よりも広い

⬇︎なぜか??

質権を設定した場合、その目的物は質権者に引き渡されることになる

一つの目的物に複数の質権が成立することはあまりない

質権者が優先的に弁済を受けられる範囲を広くしても、他の債権者を害するおそれが少ない

 

質権の効力

質権者は、被担保債権の全額の弁済を受けるまで、その目的物を留置することができる

(留置的効力)

 

質権者は、債務者が弁済をしない時に目的物から優先的に弁済を受ける権利を有する

(優先弁済的効力)

 

・不動産質権者

質権の目的である不動産の用法に従って、その使用・収益をすることができる

ここから得た収益は、質権者のものになる

留置権では、あくまで弁済に充てることができるにすぎないという点で、若干異なる

 

不動産質権者には使用・収益権がある

質権者は、被担保債権の利息を請求することができない

※質権の目的物を使用・収益している上に、利息の請求を認めると、質権者に過剰な利益を取得させることになってしまうため

 

不動産質権者は、不動産を管理するための費用を支払いその他不動産に関する負担を負う

※不動産の使用収益権がある以上、そこから発生する費用も質権者が負担するのが妥当

 

流質契約の禁止

流質契約とは、、、

質権設定契約または債務の弁済前の別の契約において、

もし債務者が決められた期限に債務を履行できなかった場合には、

質権者が質物の所有権を取得し、

またはこれを任意に他人に売却して優先弁済にあてることを約する契約のこと

 

※流質契約が禁止されたのは、資金が足りなくて困っている債務者の弱みにつけ込んで、少額の債権に対してはるかに高額な質物を自らの物にしてしまうことを防ぐため

※この規定は強行規定のため、特約によって排除することはできない

 

※弁済期以後は、質物の処分方法については当事者間で自由に決めることができる

 

転質

質権者は転質を有する

 

転質とは、、、

質権者が、その権利の存続期間内において、

自ら負っている債務を担保する目的で、

自己の責任で質物に質権を設定すること

 

(例)

BがAに対する債権の担保として受け取っている質物に、

さらに、BがCに対して負っている債務の担保として質権を設定することができる

ただし、この場合、転質をしたことによって生じた損失は、

不可抗力によるものであってもその責任を負うことになる

 

不可抗力、、、

通常必要とされる注意義務を尽くしても防止でいない事故のこと

(カミナリによる火事や津波による家屋の倒壊など)

 

※質権者が質権設定者の承諾を得て行う承諾転質も認められてい

 

不動産質権と抵当権との違い

不動産質権→占有、使用、収益できる

抵当権→留置的効力がない、占有できない、利息の請求ができる

 

不動産質権者は、、、

質権の目的物である不動産の引渡を受け、その不動産の用法に従って使用・収益をすることができる

 

特約がない限り、その不動産の管理費用は質権者が負担しなければならない

被担保債権の利息を請求することもできない

⬇︎なぜか??

質権者は不動産を使用・収益することによりその利益を得ている以上、管理費用程度は負担させるべきであり、利息の請求を認める必要もないから

 

不動産質権の存続期間は10年を超えることができな

もし、この期間より長い期間を定めても10年に短縮される

この期間は更新は可能

更新の場合でも、更新の時から10年を超えることはできない

 

 

民法等2−3 売買の契約不適合と売主の担保責任等

【売買の契約不適合と売主の担保責任等】

 

売買の契約不適合

購入した家が欠陥住宅だった場合、契約不適合と言える

(支払った代金に対して、目的物が見合っていない)

 

売主の担保責任等

売主がどこまで責任を負うか

買主は売主に対してどこまで責任を求めることができるか

これを定めたものが「売主の担保責任等」

 

 

【種類・品質に関する契約不適合】

種類や品質に問題があって、支払った金額と見合っていない状況が起きたとき

(隠れたる瑕疵があった場合)

 

<買主が売主に対して求められる責任>

  善意 悪意
損害賠償請求 ×    
解除 ○ ※目的不到達の場合 ×    
代金減額請求 × ×    
責任追及の期間制限 知った時から1年 ×    
○買主の追完請求権 種類・品質に関する契約不適合

 売主A   買主B

・BはAから家を買った

・屋根に穴があいていて雨漏りがする

 

BはAに対して履行の追完を請求できる→追完請求権

 (屋根を補修してください、代替物を引き渡してくださいと請求できる)

 

※契約不適合についてAに責任がなくても(責めに帰すべき事由がなくても)、買主Bは追完請求権を行使できる

 

※売主Aは買主Bが請求した方法とは違う方法で、履行の追完をすることができる

(買主Bの負担にならない内容なら、代わりの方法を採用しても良い)

 

 

??雨漏りの原因を作ったのが買主Bの場合は??

買主Bの責めに帰すべき事由がある場合は、追完請求をすることは当然ながらできない

 

○買主の代金減額請求権 種類・品質に関する契約不適合

 売主A   買主B

・BはAから家を買った

・屋根に穴があいていて雨漏りがする

 

??BはAに対して追完請求をしたが、Aが何もしてくれなかった場合は??

⬇︎

Bが相当の期間を定めて履行の追完の催告をしたが、Aがその期間内に履行の追完をしなかった場合、BはAに対して代金の減額を請求することができる 

 

※契約不適合について売主Aに責めに帰すべき事由がなくても、Bは代金減額請求ができる

(売主の責めに帰すべき事由は、代金減額請求の要件ではない)

 

 

・催告なしに直ちに代金の減額請求ができる3パターン

 

1 履行の追完が不能であるとき

不能ということは、いくら時間を与えても意味がないということ

催告する意味がないので、直ちに減額請求ができる

 

2 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき

売主本人がやる意思がないので、催告する意味がない

 

3 契約の性質or当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行しなければ、その契約の目的を達成することができない(定期行為)場合に、売主がり履行の追完をしないで、その期間を経過したとき

この場合も催告に意味がないので、直ちに減額請求できる

 

※契約不適合が買主Bの責めに帰すべき事由のときは、もちろん代金の減額請求はできない

 

○買主の損害賠償請求および解除権の行使

種類・品質に関する契約不適合

 売主側の債務不履行にあたるものは、買主は原則として損害賠償の請求や解除権の行使ができる 

 

担保責任の期間の制限 種類・品質に関する契約不適合

買主が契約不適合を知った時から1年以内に、その旨を売主に通知しないときは、買主はその不適合を理由として、履行の追完請求をすることはできない 

(1年以内に請求しないと、請求する権利がなくなる)

 

※売主が引き渡しの時にその不適合を知っているか、または重大な過失によって知らなかったときは、この期間の制限を受けない

(売主が悪意、または有過失の時、1年経過しても請求できる)

 

 

【数量に関する契約不適合】

坪単価10万円で100坪、代金1000万円の表示だが、実際は90坪しかなかった

数字が合わない、数が合わないといった問題に対して、買主はどのような主張ができるか

 

<買主が売主に対して求められる責任>

  善意 悪意
損害賠償請求 ×    
解除 ○ ※目的不到達の場合 ×    
代金減額請求 ×    
責任追及の期間制限 知った時から1年 ×    

 

 

○買主の追完請求権 (数量に関する契約不適合)

 

BはAに対して履行の追完を請求できる→追完請求権 

 

※契約不適合についてAに責任がなくても(責めに帰すべき事由がなくても)、買主Bは追完請求権を行使できる

 

※売主Aは買主Bが請求した方法とは違う方法で、履行の追完をすることができる

(買主Bの負担にならない内容なら、代わりの方法を採用しても良い)

 

買主Bの責めに帰すべき事由がある場合は、追完請求をすることは当然ながらできない

 

○買主の代金減額請求権 (数量に関する契約不適合)

 

Bが相当の期間を定めて履行の追完の催告をしたが、Aがその期間内に履行の追完をしなかった場合、BはAに対して代金の減額を請求することができる 

 

※契約不適合について売主Aに責めに帰すべき事由がなくても、Bは代金減額請求ができる

(売主の責めに帰すべき事由は、代金減額請求の要件ではない)

 

 

・催告なしに直ちに代金の減額請求ができる3パターン

 

1 履行の追完が不能であるとき

不能ということは、いくら時間を与えても意味がないということ

催告する意味がないので、直ちに減額請求ができる

 

2 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき

売主本人がやる意思がないので、催告する意味がない

 

3 契約の性質or当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行しなければ、その契約の目的を達成することができない(定期行為)場合に、売主がり履行の追完をしないで、その期間を経過したとき

この場合も催告に意味がないので、直ちに減額請求できる

 

※契約不適合が買主Bの責めに帰すべき事由のときは、もちろん代金の減額請求はできない

  

○買主の損害賠償請求および解除権の行使

(数量に関する契約不適合) 

 売主側の債務不履行にあたるものは、買主は原則として損害賠償の請求や解除権の行使ができる  

 

 

 

【権利に関する契約不適合】

用益的権利

何かを使用したり、収益したり(例えば、土地を貸して賃料をもらったり)する権利

 

地上権

建物や工作物を所有する目的で、他人の土地を使用する権利のこと

 

地役権

ある土地の利用価値を高めるために、他人の土地を使用する権利

 

質権

債権者がその債権の担保として、債務者または第三者から受け取った物を、債務の弁済があるまで留めておいて、その弁済を間接的に強制するとともに、弁済のない場合には、その物から優先的に弁済を受けることを内容とする担保物権

 

抵当権

抵当権とは、借金をした場合何か高価なものを担保にして、借金を返せなかった場合に備える

高価なもの(土地や建物など)が競売にかけられた場合、競落代金から債権者が優先的に借金を返してもらえる権利

 

※質権

土地や建物を担保にした場合、その建物に住んでいた人はそのまま住み続けることはできない

※抵当権

担保を設定したまま、使用を続けることができる

 

 

(例)

Aの所有地(X地)

BがAからX地を買った

X地に地上権、質権が設定されていた

??Bはどのようなことが主張できるか??

 

(例)

A所有の300㎡のX地について

AB間で売買契約が成立

そのX地のうち100㎡がAのものではなかった

??Bはどのようなことが主張できるか??

 

<買主が売主に対して求められる責任>

  善意 悪意
損害賠償請求 ×    
解除 ○ ※目的不到達の場合 ×    
代金減額請求 × ×    
責任追及の期間制限 知った時から1年 ×    

 

○買主の追完請求権 (権利に関する契約不適合)

 

BはAに対して履行の追完を請求できる→追完請求権 

 

※契約不適合についてAに責任がなくても(責めに帰すべき事由がなくても)、買主Bは追完請求権を行使できる

 

※売主Aは買主Bが請求した方法とは違う方法で、履行の追完をすることができる

(買主Bの負担にならない内容なら、代わりの方法を採用しても良い)

 

買主Bの責めに帰すべき事由がある場合は、追完請求をすることは当然ながらできない

 

○買主の代金減額請求権 (権利に関する契約不適合)

 

Bが相当の期間を定めて履行の追完の催告をしたが、Aがその期間内に履行の追完をしなかった場合、BはAに対して代金の減額を請求することができる 

 

※契約不適合について売主Aに責めに帰すべき事由がなくても、Bは代金減額請求ができる

(売主の責めに帰すべき事由は、代金減額請求の要件ではない)

 

 

・催告なしに直ちに代金の減額請求ができる3パターン

 

1 履行の追完が不能であるとき

不能ということは、いくら時間を与えても意味がないということ

催告する意味がないので、直ちに減額請求ができる

 

2 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき

売主本人がやる意思がないので、催告する意味がない

 

3 契約の性質or当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行しなければ、その契約の目的を達成することができない(定期行為)場合に、売主がり履行の追完をしないで、その期間を経過したとき

この場合も催告に意味がないので、直ちに減額請求できる

 

※契約不適合が買主Bの責めに帰すべき事由のときは、もちろん代金の減額請求はできない

  

○買主の損害賠償請求および解除権の行使

(権利に関する契約不適合) 

 売主側の債務不履行にあたるものは、買主は原則として損害賠償の請求や解除権の行使ができる  

 

 

【特約による担保責任の軽減】

 

万一欠陥が見つかっても、売主は買主に対して担保責任は負わないという免責事項は、

民法上、当事者が合意すれば有効

 

※このような特約があるのに、売主が知っていながら買主に告げなかった場合は無効

 

 

【権利の全部が他人に属する、他人物売買の場合】

権利の全部が他人に属する場合の契約→他人物売買

契約は有効

 

(例)

X地について、売主A買主B間で売買契約が成立した

X地の実際の所有者はCだった

⬇︎

CにX地を売却する意思が全くなかったとしても、AB間の売買契約自体は有効 (判例

⬇︎

売主AはCからX地の所有権を取得してBに移転する義務を負う

売主Aがその義務を果たさないときは、債務不履行の一般規定に従うことになる

⬇︎

買主Bは原則として契約を解除できる、損害賠償の請求ができる

 

 

<買主が売主に対して求められる責任>

  善意 悪意
損害賠償請求 ○     ×    
解除 ○    
代金減額請求 × ×    
責任追及の期間制限 × ×