民法等2−2 危険負担
【 危険負担】
危険負担
地震や火事などで、当事者双方に責任はないが、その家が滅失してしまった場合どうなるかという問題のこと
反対給付
売買などの双務契約で、一方の給付に対して対価の意味を持つ他方の給付のこと
売主Aの家の給付に対する、買主Bの代金支払いが反対給付
売主A 買主B
・AB間でAの家の売買契約を締結 価格は3000万円
・雷や地震、隣家の火事での類焼などによって、この家が滅失してしまった
・いずれの場合もABの当事者双方に責任はないが、家の引き渡しができなくなった
??買主Bは家の代金の3000万円の支払いを拒むことはできるか??
自然災害などによる家の滅失のリスクは、AとBのどちらが負うのかという意味
⬇︎
民法上では、危険負担のリスクは売主Aが負う
買主Bは反対給付(代金支払い)の履行を拒否することができる
(問題)
・AB間でAの家の売買契約が締結された
・Aは所有権移転登記を行った
・代金の支払いおよび家の引き渡し前に、地震でその家が滅失した
??BはAに対して代金の支払いを拒むことができるか??
⬇︎
できる
この場合の危険負担は売主Aが負う
(問題)
売主A 買主B
・AB間でAの家の売買契約を締結 価格は3000万円
・AからBに家の引き渡しが完了
・雷や地震、隣家の火事での類焼などによって、この家が滅失してしまった
??買主Bは家の代金の3000万円の支払いを拒むことはできるか??
⬇︎
家の引き渡しが完了していた場合、買主Bは契約を解除できず、代金の支払いを拒むことはできない
履行遅滞中
履行が遅れている最中という意味
(期日を過ぎたが家の引き渡しがされていない、代金が支払われていないなど)
契約上の義務を果たすことが不可能になってしまうこと
帰責事由
責められるべき理由や落ち度、過失のこと
??契約の履行が遅れている最中に、その契約を果たすことができなくなったら??
??その責任は誰が負うの??
(例)
売主A 買主B
・AB間でAの家の売買契約が締結された
・Aが引き渡し期日を過ぎたのに引き渡しをしないでいたところ、地震でその家が滅失
??この場合の危険負担はAとBのどちらが負うか??
※Aに帰責事由があるとみなされる
⬇︎
履行不能の責任はAが負う
BはAに対して履行不能を理由とする損害賠償請求ができる
民法等2−1 債務不履行・契約の解除・手付け
【債務不履行】
債務→義務のこと
履行→義務を果たすこと
債務不履行→義務を果たさないこと
同時履行とは
売買や賃貸借は、契約の当事者の双方が互いに対価的な債務を負担している(双務契約)ので、特約のない限りは、片方の債務だけ先に履行させるのは不公平と言える
・家を貸す人Aと家を借りる人Bの関係の場合
AはBからもらう賃料に見合った物件を貸さなければならない
BはAから借りる物件に見合った賃料を支払わなければならない
家を借りるのと賃料の支払いは同時に行われるべきで、賃料が提供されていないのに家だけ先に引き渡したり、家が提供されていないのに賃料だけ先に支払うのは不公平と言える(この2つは同時に履行すべきとされている)
これが「同時履行」の関係
同時履行の抗弁権
双方契約などの同時履行の関係にある契約については、公平の見地から、当事者の一方は、相手方が債務の履行を提供するまでは、自分の債務を拒むことができる
この権利が「同時履行の抗弁権」
(例)
売主A は買主Bに3000万円で家を売ることにした
売主Aは物件の引き渡しや登記の移転をしていない状態で、買主Bに3000万円を支払えと迫った
買主Bは「家の引き渡しと登記をしないと、代金は支払わない」と、売主Aの要求を拒絶することができる
※売主Aが義務を果たさない場合の、それに変わる損害賠償の義務についても、同時履行の抗弁権は主張できる(最近の改正)
※第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合の、当事者双方の変換義務についても、同時履行の抗弁権は認められている
債務不履行→債務が履行されないこと
義務を果たさないことで損害賠償が発生する
要件
- 債務が有効に成立していて、弁済期にあるにも関わらず、債務の本旨に従った給付をしていない
- 債務者の責に帰すべき事由(故意・過失)がある
- 損害が発生している
効果
原則:実際に生じた損害について損害請求できる
例外:
1 損害賠償額の予定に基づく請求3 裁判所は損害賠償予定額を増減できない
4 違約金は損害賠償額の予定と推定される
(例)
買主Bは売主Aから家を買った
約束の期日になっても引渡しをしてもらえなかった
やむを得ず買主Bはマンションを借りて住んでいる
買主Bがマンションを借りなければならなくなったのは、売主Aが義務を果たさなかったため(=債務不履行)
買主Bは仮住まいしているマンション代を、売主Aに請求することができる
※買主Bは売主Aに対して損害賠償の請求ができる
※買主Bは売主Aに対して契約の解除ができる
履行遅滞→履行が遅れること
履行遅滞の要件
1 履行は可能だが、履行すべき時に遅れたこと
いつから遅れたと判断するのかが重要
2 遅滞が違法であること
自分も義務を果たしていない場合は、相手方に同時履行の抗弁権がある状態
この状態では、相手方が遅れていることを違法とは言えない
履行遅滞と認められるには、自分の義務を果たしていなければならない
(相手方に同時履行の抗弁権を主張させないようにしておく)
履行遅滞となる時期
・ 確定期限債務
→8/12から履行遅滞
①Aが父の死亡を知ったときから履行遅滞
履行遅滞の要件
履行期に履行が不可能であること
※不能かどうかは、債務の発生原因や取引上の社会通念に照らして判断される
履行遅滞の効果
債務者が債務を履行できない時
原則として
1 損害賠償の請求ができる
2 契約の解除ができる
履行不能に基づく解除は、相当な期間を定めた催告は不要
※履行できないとわかった時点で、すぐに解除できる
・損害賠償請求の目的は
債務不履行と相当因果関係にある損害の賠償をさせること
※相当性の判断は、通常の事情と特別の事情を基礎に判断される
(特別の事情→債務者が債務不履行の時に予見すべきであった事情)
・過失相殺
債務不履行、それによる損害の発生、損害の拡大に関して、債権者に過失が会った時
契約の当事者からの主張がなくても、裁判所は職権でこれを考慮して、損害賠償の責任とその金額を定めることができる
(公平性を図るため)
・損害賠償の予定
損害額の算定を巡って争いになるのを防ぐために、事前に損害賠償額を決めておくこと
債権者は、損害の発生原因とその額を証明しなくても、予定した賠償額を請求できる
※違約金は、損害賠償額の予定と推定される
金銭債務
お金を支払う義務のこと(買主の代金支払い義務など )
※家の引き渡しなどの義務とは異なり、特殊な扱いがされる
1 効果の特則
損害賠償として請求できる額は「利息相当分」
・お金の支払いが遅れた場合、利息分の損害が生じる
・この金額は債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率で計算する
※契約当事者が約定でこれより高い利率を決めている時は、その利率になる
(法定利率は年3%、3年に1度見直される)
2 要件の特則
①損害の照明は不要(利息相当分の請求は決まっているため)
②金銭を支払う義務は履行遅滞のみが認められる
※お金が完全に消滅することはないので、遅れても支払いは可能という考え方
③債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができない
※過失がなくても履行遅滞の責任を負わなければならない
【契約の解除】
1 法定解除
法律で定められている場合
2 約定解除
当事者が契約(特約)によって解除権を設定する場合
3 合意解除
双方合意のもとに契約を破棄する場合
○解除の方法
解除の意思表示
AとBが家の売買契約を結んだ
しかし買主のBが代金を支払わないので、売主Aは契約を解除したい
この時Bの承諾は必要か?
⬇︎
Aは解除権を有しているので、相手方Bの承諾がなくても解除できる
※一度解除の意思表示をしたら、撤回できない
解除不可分の法則
当事者の一方が複数存在するときは、解除は全員から行わなければならない
当事者の一方が複数存在するときは、解除は全員に対して行わなければならない
※複数いる当事者の1人について、解除権は消滅した場合、他の者の解除権も消滅する
催告解除
相手方に相当の期間を定めて催告をし、その期間内に履行されなければ契約を解除できる
催告をしてから、一定の期間が過ぎれば解除できる仕組み
無催告解除
下記の3つの場合は、催告せずに直ちに契約の解除ができる
①債務の全部の履行ができないとき
②債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき
③契約の性質または当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行をしなければ、契約をした目的を達することができない場合(定期行為)に、債務者が履行をしないで、その時期を経過したとき
履行できない、履行するつもりがない、契約の目的を達成できない
どれも催告して待っても意味がないので、すぐに解除できる
○解除の効果
当事者間での効果
・売主Aと買主Bが家の売買契約を結んだ
買主Bが代金を支払わなかったので、売主Aは契約を解除した
⬇︎
この場合の契約解除の効果は、当事者AとBの間で、最初からなかったことになる
・もし買主Bが代金の一部を支払っていた場合
売主Aは受け取ったその代金を買主Bに返さなければならない(原状回復)
⬇︎
契約を解除すると原状回復義務が生じる
お互いの原状回復義務は、同時履行の関係にある
※金銭を受け取った売主Aは、受領の時からの利息をつけて返還しなければならない
(Aはお金を借りているのと同様に、他人のお金による利益を得ていると考えられる)
・買主Bが家の引き渡しを受けた後に、契約が解除された場合
⬇︎
買主Bはその家を返還しなければならない
その家の引き渡しを受けて以降に生じた果実や使用利益も返還しなければならない
(家を他の人に貸して受け取った賃料など)
※解除をしても、損害が発生していれば、損害賠償請求もできる
・第三者に対する効果
売主A 買主B 転得者C(第三者)買主Bは売主Aから買った土地を第三者Cに転売した
Cは引き渡しを受け、登記も済ませた
その後、買主Bの代金不払いを理由に、売主Aがこの契約を解除した場合
売主Aは転得者Cに対して土地の返還を請求できるか?
⬇︎
売主Aは土地の返還を請求できない
解除前の第三者の権利を害することはできない
※第三者Cの権利が保護される要件
登記を備えていること
(第三者Cの善意、悪意は無関係)
??なぜ善意、悪意が関係ないのか??
買主Bに債務不履行があっても、売主Aが契約を解除するとは限らない
CがBの債務不履行を知っていた(悪意)としても、その契約がどうなるかの結果はAの判断で変わるので、知っていることに意味がない
(問題)正・誤
売主Aと買主Bが甲土地の売買契約を締結
代金2/3と引き換えに所有権移転登記手続きと引き渡しを行なった
その後買主Bが残金を支払わないため、売主Aは適法に甲土地の売買契約を解除した
この場合において、売主Aの解除前に、買主Bが第三者C甲土地を売却した
またBからCへ所有権移転登記がなされた
第三者CはBのAに対する代金債務に不履行があることを知っていた場合においても、Aは解除に基づく甲土地の所有権をCに対して主張できない
⬇︎
正
第三者Cは登記を備えている
第三者が善意でも悪意でも保護されるので、AはCに対して所有権を主張できない
解除権を行使できる期間
・期間には定めはない
・解除権を有する側が解除をしないときは、その相手方からは、相当の期間を定めて解除するかどうかの催告をすることができる
・その期間内に解除の通知を受けないとき、解除権は消滅する
※解除される側の不安定さを解消するために催告権がある
※解除権が消滅する→解除することができなくなるという意味
【手付け】
売買契約などを結んだ時に、相手方に支払うお金などのこと
○手付けの性質
手付け3種類
・証約手付け
契約が成立した証として払われる手付けのこと
・解約手付け
その手付けの交付によって、契約を解除できるようにするもののこと
約定解除権の設定を意味する
・違約手付け
約束違反の場合には没収されるという了解の下で交付される手付けのこと
※当事者がこの手付の意味を取り決めていない場合は、解約手付けと推定される
(反証がない限り、一応は解約手付けとして扱われる)
売主A 買主B 別の買主C 別の売主D
AはBに家を3000万円で売る契約を締結した
この時BはAに、解約手付けとして300万円を交付した
1 手付け解除の方法
①売主Aから契約を解除する場合(売主が解除する場合は倍返し)
その後、CはAに家を4000万円で買いたいと申し出た
この場合Aは、Bから受け取った手付け300万円と、Bに対する償いとして300万円の計600万円をBに渡すことで、Bとの契約を解除できる
手付け倍返し(手付けの倍額を渡す)ことでBとの契約を解除できる
※Aは手付けの倍額の600万円を現実に提供しなければならない
②買主Bから契約を解除する場合(買主が解除する場合は手付け放棄)
買主BはAと契約を結んだあと、Dの家が2000万円で売られているのを発見した
BはDの家を気に入ったので、そちらを買いたい
この場合、BはAに支払っている手付けの300万円を放棄すれば、Aとの契約を解除することができる(手付放棄)
2 手付け解除の時期
??いつまでなら、解約手付けによる解除が可能か??
⬇︎
「相手方が履行に着手するまで」であれば解除ができる
※契約から生じた義務を行った時が履行の着手
(買主→代金の一部を支払う 売主→家を引き渡す、登記を移転する)
??なぜ履行に着手したら、手付けによる解除ができないのか??
⬇︎
相手方が履行に着手しているのに、解約手付けによる解除を認めてしまうと、相手方の苦労が無駄になるから
??履行に着手したら、絶対に手付による解除はできないのか??
⬇︎
着手した者が、自らの苦労は無駄にしても構わないから解除したいとなった場合は、
その相手方がまだ履行に着手していなければ、手付解除はできる
(自分→履行に着手 相手方→まだ履行に着手していない この場合だけ解除できる)
3 手付解除の効果
手付によって解除した場合、損害賠償請求はできないし、損害賠償の請求をされることもない(債務不履行ではないから)
??債務不履行の事態が起きたら??
それに基づいて解除することができるし、損害賠償の請求もできる
※債務不履行による損害賠償請求と、解約手付の額とは無関係
(損害賠償請求は解約手付の額に制限されない)
民法等1−4 代理 ※頻出
【代理】
○代理とは
宅地建物取引業者が売買取引、交換取引、賃貸借取引において、売主または貸主の代理人や買主または借主の代理人となって活動し、取引きを成立させる仕組み
宅地や建物を売買しようとするとき、代理を依頼された宅建業者には契約を締結する権限が与えられる
・土地を持っていて、それを売りたいAさん(本人)
⬇︎ AはBに代理権を与えて土地を売ってもらう
・本人Aさんから代理権を与えられたBさん(代理人)
⬇︎ BはCに対して代理行為をする(顕名+意思表示)
・土地を買いたいと思っているCさん(相手方)
※代理の効果はAさんに生じる
代理人のBさんが契約した→本人Aさんが契約したことになる
○代理を有効に行うには
・代理権
本人が行うことを、他人に頼んで行ってもらうこと。 本人は代理人に代理権を授与し、代理人がその権限の範囲内で本人のために代理行為(契約)を行う。 代理人が行った契約の効果は本人に帰属する。
・顕名
代理人Bが「本人Aのために代理行為を行なう」ことを相手方Cに示すことを顕名という
例えば、契約を締結する場合に「Aの代理人であるB」として署名することが顕名に該当する 顕名とは「名をあらわす」という意味
※この顕名が無ければ、相手方Cは自分の契約する相手は目の前のBだと思ってしまうので、その場合の契約の効果は本人Aには帰属せず、代理人Bが自分で自分自身のために契約したものと扱われる(相手がたCが善意無過失)
※例外として、相手方Cが、BがAの代理人でAのために契約すると知っていた場合、知り得る状態にあった場合は、行為の効果は本人Aに帰属する(相手方Cが悪意/有過失)
・代理行為
本人になり代わって行う意思表示、および、本人の代わりに受け取る意思表示
基本的に、代理人=本人として行動し、またみなされる
○任意代理の場合の代理行為の瑕疵
瑕疵(かし)
「きず」の意味
欠缺(けんけつ)
主に法令や法学において、ある要素が欠けていることを表す際に用いられる言葉
(意思の欠缺、意思能力の欠缺、登記の欠缺、訴訟条件の欠缺)
??代理行為の瑕疵ってどんな場合??
本人Aの代理人Bが、Cの強迫によってCと土地の売買契約を結んだ場合
※強迫されたて契約したことが瑕疵
??BとCが結んだ契約は取消しできるか??
??その取消しは誰ができるか??
⬇︎結論
強迫による契約は取消しできる
この取消しは本人Aができる
(理由)
・強迫されたかどうかや、善意か悪意かについては代理人Bを基準に考える
・ここであった強迫や悪意や善意の結果の代理人Bの行為は、全て本人Aに帰属することになる
・つまり、本人Aが意思表示をしたという意味になるので、取消しも本人Aができる
相手方Dの家を買いたい本人A/代理人B/家を持っている相手方D/家の本当の持ち主E
本人Aは相手方Dの家の購入を、代理人Bに依頼した
代理人Bは相手方Dと売買契約を結び、登記をDからAに移転した
しかし実はこの家は、Eが債権者の差し押さえを免れるために、Dと通謀してEからDに仮装譲渡したものだった
??この場合、代理人Bがこのことについて善意(仮装譲渡だと知らない)でも、本人Aが悪意の(仮装譲渡だと知っていた)場合、本人Aはこの家を取得できるか??
⬇︎結論
本人Aは、この家を取得することはできない
(理由)
※本人AはDとEの通謀、虚偽表示について知っていた
※本人Aは代理人Bの行動をコントロールできる立場にあるので、契約を止めさせるとができた
→つまり本人Aの指示による「特定の法律行為の委託」があるときは、本人Aが悪意or有過失ならば、たとえ代理人Bが善意だったとしても、善意であることを主張できない
任意代理の場合の代理行為の瑕疵について、全ての例に共通することは、、、
・任意代理権は本人Aの意思に基づいて考えられるので、本人Aの感様(善意/悪意など)が
影響する
・相手方が心裡留保をしたかどうか、強迫したどうか、善意か悪意かなど、
その事実の有無は、代理人Bに基づいて決するのが原則
○代理の種類と権限の範囲 任意代理/法定代理
・任意代理
任意代理とは、本人が自らの意思で、他人に代理権を与えること
「私の代わりに売買契約をしておいて」といって、委任状(代理権を与えるための書面)を渡して代わりに契約をしてもらうこと
この時「代わりに売買契約をした人」が「任意代理人」(単に代理人ともいう)
任意代理の権限の範囲
本人から与えられた代理権によって、その権限の範囲が決まる
権限の範囲が決められていない代理人ができることは、保存行為のみ
(物や権利の性質いを変えない範囲での利用・改良行為のみ)
・法定代理
??本人Aは、Bが未成年者であることを理由に、この売買契約を取消できるか??
本人A 未成年者B(Aの代理人) 未成年者Bの法定代理人 相手方C
・本人Aが未成年者Bに代理権を与えて、本人A所有の土地の売却を依頼した
・未成年者Bは法定代理人の同意を得ずに相手方Cとの間で売買契約を締結した
・この契約は本人Aにとって不利なものとなってしまった
⬇︎取り消しできない
※未成年者が単独で契約をした際に取消が認められるのは、未成年者を保護するため
※代理でした行為の効果は本人Aに帰属(本人が契約をした)するので、代理人が未成年者であることは、取り消しの理由にならない
※法定代理人の同意を得ていなくても、それを理由に取り消すことはできない
??本人Aが制限行為能力者で、その法定代理人Bも制限行為能力者だった場合はどうなるか??
(理由)
法定代理人の場合は任意代理(本人が委任状を渡して代理をお願いするタイプ)と異なり、本人が選んだわけではなく、法律の規定により代理人とされている
さらに、その法定代理人が制限行為能力者であったら、本人Aが好きに選んだわけではなく、しかも代理人Bも判断能力がない状態にある
この場合は本人Aを保護するために、例外として取消が認められている
○代理権の消滅
任意代理の場合
・本人死亡
→代理権は消滅する
(本人の能力の補充の為に代理人がいる、本人が死亡するとその必要はない)
※例外→不動産登記申請の代理権は消滅しない
・本人が破産手続き開始の決定を受けた
→代理権は消滅する 任意のみ
(任意代理は信頼関係で成立しているものなので、破産するような人は信用できない)
・本人が後見開始の審判を受けた
→代理権は消滅しない
(制限行為能力者になったらなおさら、重要行為のサポートが必要になるから)
・本人が委任契約を解除した
→代理権は消滅する
(任意代理は信頼関係で成立しているものなので、特に理由なくいつでもお互いに解除することができる)
・代理人死亡
→代理権は消滅する
・代理人が破産手続き開始の決定を受けた
→代理権は消滅する
(任意代理は信頼関係で成立しているものなので、破産するような人は信用できない)
・代理人が後見開始の審判を受けた
→代理権は消滅する
(任意代理は信頼関係で成立しているものなので、行為能力者だから選任した代理人が、制限行為能力者になってしまったら、重要な契約などを代理させるのは不安だから)
・代理人が委任契約を解除した
→代理権は消滅する
(任意代理は信頼関係で成立しているものなので、特に理由なくいつでもお互いに解除することができる)
法定代理の場合
・本人死亡
→代理権は消滅する
(本人の能力の補充の為に代理人がいる、本人が死亡すれば代理権は必要はない)
※例外→不動産登記申請の代理権は消滅しない
・本人が破産手続き開始の決定を受けた
→代理権は消滅しない
(本人は破産で困った状態にあるので、重要行為をサポートしてあげる必要がある)
・本人が後見開始の審判を受けた
→代理権は消滅しない
(制限行為能力者になったらなおさら、重要行為のサポートが必要になるから)
・本人が委任契約を解除した
→代理権は消滅しない
・代理人死亡
→代理権は消滅する
・代理人がが破産手続き開始の決定を受けた
→代理権は消滅する
・代理人が後見開始の審判を受けた
→代理権は消滅する
・代理人が委任契約を解除した
→代理権は消滅しない
※任意代理も法定代理も、代理人が後見開始の審判を受けたら代理権は消滅する
⬇︎なぜか⬇︎
後見開始の審判を受ける→制限行為能力者になるということ
制限行為能力者でも代理人になることはできるが、選任した当時は行為能力者だったから選んだのであって、制限行為能力者であれば、そもそも代理人に選んでいなかった可能性が高い
行為能力者を代理人にしていたのに、その人が行為能力者でなくなったってしまったら困ることが出てくる
そこで、代理人をしていた人が後見開始の審判を受けたら、代理権は消滅することになっている
※本人の地位や代理人の地位は相続しない
本人A Aの代理人B
・土地を持っていて、それを売りたいAさん(本人)
⬇︎
・本人Aさんから代理権を与えられたBさん(代理人)
⬇︎
・Bはその土地が気に入ったので、自分で自分の代理をして、その土地を買うことにした
Aの代理人Bが、自分の代理を自分でして、本人Aと契約をすることが自己契約
※Bは買主(Aにとっての相手方)であると同時に、本人Aの代理人でもある
この状態では、代理人Bは代理人の立場を利用してAの土地を安値で自分に売るなど不正行為をする可能性がある
(原則)
・自己契約は許されないので、Aさん本人に効果が帰属しない
・自己契約を行ったときはBには代理権がない(無権代理行為)とみなされる
(例外)
・本人AがBの自己契約にあらかじめ許諾を与えている場合は自己契約であっても有効
・債務の履行(決まっている義務を果たすだけで、代理人Bに裁量の余地がない場合)は自己契約でも有効
本人A 代理人B (AとC両方の代理をする) 相手方C
・保有している土地を売りたいAさん(本人)
⬇︎ 代理権 Aの代わりに家を売ってください
・本人Aと相手方Cから代理権を与えられたBさん(代理人)
⬆︎代理権 Cの代わりに家を買ってきてください
・家を買いたいCさん(相手方)
代理人Bが契約当事者双方の代理人になって契約をすることが双方代理
※この状態では代理人Bの気持ち一つで、AかCのどちらかが不利益を受けるおそれがある
(原則)
・双方代理は許されない
・双方代理を行ったときはBには代理権がない(無権代理行為)とみなされる
(例外)
・本人Aと相手方Cがあらかじめ許諾を与えている場合は双方代理であっても有効
・登記の申請などの債務の履行(決まっている義務を果たすだけで、代理人Bに裁量の余地がない場合)は双方代理でも有効
※登記は売買契約が成立した後に行うため、買主・売主どちらかの不利益となることは通常考えにくいから
本人A Aの代理人B
代理人にとっては利益となるが、本人にとっては不利益となるというように、代理人と本人との利益が相反する行為のこと
(例)
・代理人Bは本人Aの包括的な代理権を持っている
・代理人Bは、本人Aを自分(代理人B)の債務の保証人にしようと考えた
・代理人Bは本人Aを代理し、Bの債権者Xとの間で本人Aが代理人Bの保証人になる契約をした
このような契約は無効となる
※包括的な代理権を持っているからと言って、本人Aの不利益になるような契約を勝手にすることは許されない
(原則)
・利益相反行為は許されない
・利益相反行為を行ったときはBには代理権がない(無権代理行為)とみなされる
(例外)
・本人Aがあらかじめ許諾を与えている場合は利益相反行為であっても有効
【復代理】
代理人Bが、ある者をさらに代理人として選任し、その代理権の範囲内の行為を行わせること
復代理人Cは代理人の代理人ではなく、あくまで本人Aの代理人として扱われる
復代理人Cによる行為の効果も、直ちに本人Aに帰属する
任意代理か法定代理かで異なる
・任意代理の場合
原則:代理人Bは、選任・監督上の責任を負う
例外:本人Aが復代理を指名した場合は、代理人Bはさらに責任が軽減される
(理由)
・任意代理の場合、原則として復代理人を自由に選任することはできない
・例外として、本人Aが許諾した場合と、やむを得ない事由が発生した場合は、
復代理人を選任することができる
・代理人Bが復代理を選ぶわけではないので、全部の責任を代理人Bが負うのは不公平だから、
代理人Bの責任は軽減される
〝疑問1〟
本人Aは自身で指名した復代理人Cが、復代理人として不適任不誠実だと知りながら、それを代理人Bに通知しなかった。この時、代理人Bは選任、監督上の責任を負うか??
⬇︎答え⬇︎
代理人Bが復代理人Cが不適任又は不誠実であることを知らなければ、選任、監督の責任は負わないとされる
任意代理では、代理人Bが復代理人Cを自分で自由に選任できない反面、復代理人Cが失敗した場合の責任も軽いものとなっている
〝疑問2〟
代理人Bが、本人Aの指名に基づき復代理人Cを選任したが、復代理人Cは不適任不誠実だった。代理人Bが復代理人Cの不適任不誠実を知らなかった場合、代理人Bは本人Aに対して責任を負うか??
⬇︎答え⬇︎
本人Aの指名に従って復代理人を選任した時は、代理人Bはその選任及び監督について、本人Aに対して責任を負わない(本人Aの責任となる)
※ただし、代理人Bが、復代理人Cが不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人Aに通知する又は復代理人Cを解任することを怠ったときは、この限りではない(代理人Bは責任を負う)
〝疑問3〟
代理人Bが、本人Aの許諾に基づき復代理人Cを選任したが、復代理人Cは不適任不誠実だった。代理人Bが復代理人Cの不適任不誠実を見抜けなかったことに過失があった場合、代理人Bは本人Aに対して責任を負うか??
⬇︎答え⬇︎
本人Aの許諾を得て復代理人Cを選任した場合、過失の有無は関係なく、原則として代理人Bが責任を負う
委任による代理人(任意代理の復代理の選任)は、本人Aの許諾を得たとき又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない
そして代理人Bは、復代理人Cを選任したときは、その選任及び監督について、本人Aに対して責任を負うのが原則
・法定代理の場合
原則:代理人Bは全責任を負う
例外:やむを得ない事由により選任した場合、代理人Bは選任監督につき責任を負えば
足りる
(理由)
・法定代理人は、自由に選任することができる
・代理人Bは復代理人Cを自分で自由に選んだから、復代理人Cの行為には責任がある
・ただし、やむおえない事由があって選んだ場合は、選任監督責任のみに軽減される
・復代理人Cが締結した契約の効果は、本人Aに帰属する
(本来であれば代理人Bが自分で仕事ができれば一番良いので、Bの代理権は継続させておく)
・原則
代理権がないのに代理行為を行ったり、代理権限を超えて代理行為を行ったりすること
この場合、無権代理人の行為は本人に帰属しない(効果が及ばない)のが原則
つまり、AB間の契約は無効となる可能性がある
・例外
代理人Bが無権代理行為を行なった場合、その契約の効果は本人Aには帰属しないのが原則
しかし、代理人Bが締結した内容が本人Aにとって有利なものだった場合、その無権代理を有効にしたいと考えるケースもある
⬇︎
この場合本人Aは追認をすることができる
※追認
取り消すことができる行為をもう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすること
○相手方を保護するための制度
催告権
取消権
無権代理人への責任追及権
本人A 本人Aの代理人を語ったB 相手方C
Bは本人Aの代理人と称して、相手方Cとの間で本人A所有のマンションの売買契約を締結した
しかしBは、何らの代理権の有していなかった
??この場合、相手方のCは予期しない状況に陥り、また本人Aの追認がないとAC間に契約の効果は帰属しないため、相手方Cは不安定な立場に置かれている。相手方Cは自分の法的な立場を守るために、どんなことができるか??
⬇︎相手方Cができる4つの手段⬇︎
相手方Cは本人Aに対して、相当の期間を定めて、「追認してください」と確答を促すことができる制度のこと
※相手方Cが悪意の(Bが無権代理を行なったと知っていた)場合でも、この催告権は認められている
??本人Aがこの催告を無視して、期間内に返事をしなかったらどうなるか??
⬇︎
本人Aは追認をしなかった(追認を拒絶した)ものとみなされる
追認拒絶をした場合は、その契約の効果は本人Aには帰属しない
(理由)
無権代理人Bは本人Aの知らないところで勝手に動いている
本人Aは無権代理行為が行われている事実を知らない
相手方Cに急に催告されても何のことだかわからない
そんな状況で、相手方Cの催告に対応しなかっただけで、追認したことになるのは理不尽
本人Aの状況を考慮し、追認を放置した場合は「追認を拒絶した=契約を拒否した」とするのが妥当と考えられている
本人Aは、相手方Cにマンションを売らなくて良い
・取消権
・相手方Cが善意の場合(Bが無権代理人であると知らなかった)のみ
・本人Aが追認するまでは、契約を取り消すことができる
→相手方が善意以外の場合は取り消しはできない
→本人Aが追認をしたら、その契約は有効になるので、取り消しはできなくなる
(理由)
追認は、相手方Cが本人Aに催告してから、一定期間を経ないとわからない
相手方Cは、本人Aが追認するかどうかが判明するまで契約が無効か有効かわからない
不安定な状態にある相手方Cを守るため、民法では、相手方Cは無権代理による契約を取り消すことができるという規定を設けている
- 本人Aに落ち度があること
- 相手方Cが保護に値すること=何も知らず、落ち度がないこと(善意・無過失)
①権限外の行為
(本人Aは100万円の範囲で頼んだのに、Bが200万円も使ってしまった)
②代理権の消滅後
③代理権授与の表示
④代理権授与の表示+権限外の行為
民法等1−3 意思表示 詐欺/強迫/通謀虚偽表示/心裡留保/要素の錯誤
【意思表示】
売ります、買いますなどの、自分の意思を表現することが意思表示
この意思表示に問題(詐欺/強迫/通謀虚偽表示/心裡留保/錯誤)があったときに、その契約がどうなるのかを理解しよう
【大事な用語】
第三者→当事者以外の人
善意→知らなかった、信じていた
悪意→知っていた、信じていなかった
故意→知った上で、わざと
過失→落ち度
無過失→落ち度がないこと
無過失の第三者→ 落ち度のない、当事者以外の人
有過失→落ち度があること
有過失の第三者→落ち度のある、当事者以外の人
善意の第三者→ 特定の内容を知らない、当事者以外の人
善意無過失の第三者→ 特定の内容を知らず、落ち度のない、当事者以外の人
善意有過失の第三者
→特定の内容を知らないが、 注意さえしていればその内容を知ることができた当事者以外の人
悪意の第三者→ 特定の内容を知っていた、当事者以外の人
【詐欺】
詐欺→相手を騙すこと
○当事者間での効果
AさんがBさんに騙されて契約をしたら→その契約は取り消すことができる
民法では騙された人を守ってあげるために「詐欺による意思表示は取り消すことができる」と定めている
○第三者に対する効果
詐欺による取り消しは、取り消し前の、善意無過失の第三者に対抗できない
※善意無過失の第三者→ 特定の内容を知らず、落ち度のない、当事者以外の人
(例)
Bさんに騙されて家を手放してしまったAさんは、騙されていたことに気づいて契約の取り消しをしようとした
でもAさんが取り消しをする前に、BさんはAさんを騙して手に入れた家を、事情を知らないCさん(善意の第三者)に転売してしまった
Cさんが家を買った後に、AさんがBさんによる詐欺を理由に契約を取り消した場合、その取り消しをCさんに対しても主張することはできるのか?
(A:家はBさんに騙されて手放した、本当は売りたくないから、Cさん家を返してください)
⬇︎善意無過失の第三者には対抗できない/主張できない
(C:私が買って住んでるので、家は返しません)
○第三者の詐欺
第三者が詐欺を働いた場合に、本人がその契約を取り消しするには
・相手方が悪意有過失の場合は取り消しできる
悪意有過失の第三者
→ 特定の内容を知っていたor注意すれば特定の内容を知ることができた、当事者以外の人
・相手方が善意無過失の場合は取り消しできない
善意無過失の第三者→ 特定の内容を知らず、落ち度のない、当事者以外の人
(例)
Aさん(本人)は家を持っていた
Dさん(詐欺を働いた第三者)はAさんを騙して家を売るように仕向けた
その家をEさん(相手方)が買った
・Eさんが悪意、または有過失の場合
Eさんは、AさんがDさんに騙されていることを知っていた(悪意)
Eさんは、AさんがDさんに騙されていることを知ることができた(有過失)
→この場合、Aさんは契約を取り消して、Eさんに家を返すように主張できる
・Eさんが善意無過失の場合
EさんはAさんが騙されていることやDさんが詐欺を働いていることについて、何も知らなかったし知ることもできなかった
→この場合、AさんはDさんとの契約を取り消すことはできても、Eさんに対して家を返すように主張することはできない
【強迫】
強迫とは、、、人を脅すこと
○当事者間での効果
強迫によってした意思表示は取り消すことができる
※おどされた人は法律で守ってあげる必要がある
○第三者に対する効果
強迫による取り消しは、取り消し前の、善意無過失の第三者に対抗できる
※善意無過失の第三者→ 特定の内容を知らず、落ち度のない、当事者以外の人
(例)
Bさんに強迫されて家を手放してしまったAさんは、思い直して契約の取り消しをしようとした
でもAさんが取り消しをする前に、BさんはAさんを強迫して手に入れた家を、事情を知らないCさん(善意の第三者)に転売してしまった
Cさんが家を買った後に、AさんがBさんによる強迫を理由に契約を取り消した場合、その取り消しをCさんに対しても主張することはできるのか?
(A:家はBさんに強迫されて手放した、本当は売りたくないからCさん家を返してください)
⬇︎善意無過失の第三者に対抗できる/主張できる
(C:私が買って住んでるけど、、、家は返さないといけない)
※強迫の場合は詐欺の場合とは異なり、強迫された本人には落ち度が無いのが普通
※そのため相手方よりも、強迫された本人の保護を優先している
【通謀虚偽表示】
本人が相手方と通じて虚偽の意思表示をすること
○当事者間での効果
本人A 相手方B 債権者C
・本人Aは、本当は自分の家を売るつもりは無い
・本人Aは債権者Cからの差し押さえを逃れたい
・そこで本人Aは相手方Bに「家を売ります」と嘘の売買契約を持ちかけた
・相手方Bは本人Aの本心を知った上で、家を「買います」と結託して契約を結んだ
※本人Aがしているのは→虚偽の意思表示
※相手方Bがしているのは→通謀(共謀) AとBは通謀している関係
※この通謀して行われる、本人Aの嘘の意思表示のことを→通謀虚偽表示
??この契約は有効か無効か??
→通謀虚偽表示は無効
○第三者に対する効果
本人A 相手方B 債権者C 善意の第三者D
・本人Aは、本当は自分の家を売るつもりは無い
・本人Aは債権者Cからの差し押さえを逃れたい
・そこで本人Aは相手方Bに「家を売ります」と嘘の売買契約を持ちかけた
・相手方Bは本人Aの本心を知った上で、家を「買います」と結託して契約を結んだ
・相手方Bは家の登記をBの名義に変更した
・善意の第三者Dはその登記を見て、その家はBのものだと思って購入した
??本人AはAB間に契約の効果が無いことを善意の第三者Dに対して主張できるか??
→通謀虚偽表示の無効は善意の第三者に対しては対抗することができない
(善意の第三者に対してAB間の契約の無効を主張できない)
※嘘の契約をしたAよりも、善意のDが守られる
※第三者は、善意であれば過失があっても良い
(善意無過失、善意有過失のどちらであってもDは守られる)
※第三者は登記も備えていなくて良い
(善意でありさえすれば、有過失でも登記がなくても良い)
○相手方Bがズルい場合の第三者に対する効果
本人A 相手方B 債権者C 善意の第三者D
・本人Aは、本当は自分の家を売るつもりは無い
・本人Aは債権者Cからの差し押さえを逃れたい
・そこで本人Aは相手方Bに「家を売ります」と嘘の売買契約を持ちかけた
・相手方Bは本人Aの本心を知った上で、家を「買います」と結託して契約を結んだ
・相手方Bは家の登記をBの名義に変更したが、その代金をAに支払わなかった
・善意の第三者Dはその登記を見て、その家はBのものだと思って購入した
状況
→本人Aは家を相手方Bに取られてしまっている
→相手方Bはタダで家を手に入れた上に、それを売ってお金を手に入れている
→第三者Dは何も知らないので、単にBの家を買ったと思っている
結論
→この状況は通謀でも虚偽の意思表示でも無いが、虚偽表示の規定が類進適用される
→善意の第三者Dは保護されるので、本人Aは第三者Dには対抗できない
○転得者がいる場合
本人A 相手方B 債権者C 第三者D 転得者E
(A)←通謀→(B)→(第三者D)→(転得者E)
・本人Aは、本当は自分の家を売るつもりは無い
・本人Aは債権者Cからの差し押さえを逃れたい
・そこで本人Aは相手方Bに「家を売ります」と嘘の売買契約を持ちかけた
・相手方Bは本人Aの本心を知った上で、家を「買います」と結託して契約を結んだ
・相手方Bは家の登記をBの名義に変更した
・第三者Dはその登記を見て、その家はBのものだと思って購入した
・第三者Dはその家をEに売った
??この場合本人Aは転得者に対して契約の無効を主張/対抗できるか??
→対抗できるかはケースによる
○第三者Dが善意の場合
本人A 相手方B 債権者C 第三者D 転得者E
(A)←通謀→(B)→(善意の第三者D)→(転得者E)
・第三者Dが善意の場合、転得者Eは単にDさんから家を買っただけ
・Dが善意の場合は、転得者のEが善意でも悪意でも、本人Aは転得者Eに対抗できない
○第三者Dが悪意、転得者Eが善意の場合
本人A 相手方B 債権者C 第三者D 転得者E
(A)←通謀→(B)→(悪意の第三者D)→(善意の転得者E)
・第三者Dが悪意でも、転得者Eは家はDのものだと信じて購入している
・転得者Eが善意の場合、本人Aは転得者Eに対抗できない
○第三者Dが悪意、転得者Eも悪意の場合
本人A 相手方B 債権者C 第三者D 転得者E
(A)←通謀→(B)→(悪意の第三者D)→(悪意の転得者E)
・A,B,D,Eの全員が、本人Aは家を売る気が無いことを知っていたという状況
・そもそもAには家を売る気が無いので、その契約自体が無効と扱われる
・転得者Eは保護されないので、本人Aは転得者Eに対抗できる
【心裡留保】
本人の真意と違う内容を、本人が外部に表示すること
(例)
本人A:「あの家を売りますよ」
(本当は売るつもりはないよ、ただの冗談だよ)
??このような心裡留保による意思表示は有効か無効か??
民法では、、、
→このような真意と異なる意思表示をする本人は、法で保護する必要はないとされる
→心裡留保に基づく意思表示は「原則として有効」
○当事者間での効果
相手方Bが善意の場合 → 意思表示は有効
本人A:「あの家を売りますよ」
(本当は売るつもりはないよ、ただの冗談だよ)
相手方B:Aさんは家を売る気があるんだな
※本人Aの言葉をそのまま信じたBは保護されるので、この意思表示は有効
相手方Bが悪意の場合 → 意思表示は無効
本人A:「あの家を売りますよ」
(本当は売るつもりはないよ、ただの冗談だよ)
相手方B:Aさんは冗談を言っているんだな
※悪意のBは、本人Aは家を売る気がないことを知っていた
※本人も相手方もこの意思表示が真意でないと知っていた状況なので、この意思表示は無効
相手方Bが善意有過失の場合 → 意思表示は無効
・相手方Bは、本人Aの表示を信じたが、その表示は真意と異なる(心裡留保)だった
・相手方Bは注意すれば、本人Aが真意と異なる表示をしたと知ることができた(有過失)
※相手方Bが善意有過失の場合、この意思表示は無効
○第三者に対する効果
・民法学の通説では第三者を保護するために、虚偽表示の規定の類推適用を主張している
・相手方Bが「悪意」、不測の損害を被る第三者が「善意」だった場合
本人A
家を売るつもりはないのに、家を売りますと相手方Bに表示した(心理留保をした)
⬇︎
悪意の相手方B
本人Aの意思表示は真意ではない、Aは本当は家を売るつもりがないと知っていた
⬇︎
※そもそもこの時点で心裡留保は無効
⬇︎
善意の第三者C
相手方Bと取引をした善意の第三者Cは、原則として保護される
※心裡留保をした本人Aと悪意の相手方Bは、善意の第三者Cに対抗することは、原則としてできない
※第三者Cは善意であれば良い(過失があっても良い)
・相手方Bが「善意有過失」、不測の損害を被る第三者が「善意」だった場合
本人A
家を売るつもりはないのに、家を売りますと相手方Bに表示した(心理留保をした)
⬇︎
善意有過失の相手方B
善意有過失のBは本人Aの表示を信じたが、注意すればその表示は真意と異なる(心裡留保)と知ることができた(有過失)
⬇︎
※そもそもこの時点で心裡留保は無効
⬇︎
善意の第三者C
相手方Bと取引をした第三者Cは、原則として保護される
※心裡留保をした本人Aと、善意だが有過失の相手方Bは、善意の第三者Cに対抗することは、原則としてできない
※第三者Cは善意であれば良い(過失があっても良い)
・不測の損害を被る第三者が「悪意」だった場合
本人A
家を売るつもりはないのに、家を売りますと相手方Bに表示した(心理留保をした)
⬇︎
相手方B(悪意/善意有過失)
本人Aの意思表示は真意ではない、Aは本当は家を売るつもりがないと知っていた(悪意)
または、本人Aの表示を信じたが、その表示は真意と異なる(心裡留保)だと、注意すれば知ることができた(有過失)
⬇︎
※そもそもこの時点で心裡留保は無効だが、、、
⬇︎
悪意の第三者C
相手方Bと取引をした悪意の第三者Cは、保護する必要がない
※本人Aと相手方Bは、悪意の第三者Cには対抗することができる
【要素の錯誤】
要素→契約に関する重要な部分
錯誤→言い間違いや書き間違いなどの誤解のこと
・動機の錯誤
意思と表示は合致していて間違いはないが、そもそもの動機の部分で勘違いしている
・表示の錯誤
意思と表示がバラバラで、意思を表示する際に勘違いしてしまっている
○要素の錯誤の具体例
- 家を建てたいな(動機)
- そのための土地を買おう(意思)
- 土地を購入したいと実際に申し込む(表示)
・動機の錯誤の具体例
Aさんは家を立てるための土地を探している
気に入った土地が見つかったので、契約をしようと思い(=意思)
契約したい旨を不動産屋に伝えた(=表示)
⬇︎
しかしその土地は埋立地で、地盤の強度が不十分だった
Aさんは、地盤の強度不足を知っていたら、契約したいとは思わなかった
つまりAさんは「地盤の強度が十分ある」と「勘違い」していた
※「地盤の強度が十分ある」と思っていたことが「動機」
※この場合はそもそもの「動機」に錯誤があったことになる
・表示の錯誤の具体例
Aさんは家を立てるための土地を探している
気に入った土地が見つかったので、契約をしようと思い(=意思)
契約したい旨を不動産屋に伝えた(=表示)
⬇︎
契約書にサインした後、100㎡だと思っていた土地が、実際は1000㎡だということに気づいた
※Aさんは1000㎡の土地を買いたい(動機)とは思っていない(意思)のに、1000㎡の土地を買うという契約書にサインした(表示)
※意思と表示がバラバラの状態で、契約書にサインした(表示した部分)がAさんの意思とは違っている
※これが、表示に錯誤があるということ
○錯誤でした意思表示を取消すために必要な条件
錯誤は原則として有効なので取消はできる
取消すには2つの条件を満たしていなければならない
(錯誤が有効と認められなければならない)
①その錯誤が重要なものであること
(法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があること)
②表意者に重過失がないこと
(錯誤をした人に重大な過失がないこと)
※重過失
→少し注意すれば簡単にわかったことなのに、少しも注意せずに、違法性や有害な結果を
見過ごすした場合が重過失になる
故意に著しく注意を欠如した状態が重過失にあたる
○当事者間での効果
・動機の錯誤による意思表示を取り消したい
Aさんは家を立てるための土地を探している
気に入った土地が見つかったので、契約をしようと思い(=意思)
契約したい旨を相手方の不動産屋に伝えた(=表示)
⬇︎
しかしその土地は埋立地で、地盤の強度が不十分だった
Aさんは、地盤の強度不足を知っていたら、契約したいとは思わなかった
つまりAさんは「地盤の強度が十分ある」と「勘違い」していた
※「地盤の強度が十分ある」と思っていたことが「動機」
※この場合はそもそもの「動機」に錯誤があったことになる
これを取り消すには、、、
①その錯誤が重要なものであること
(法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があること)
②表意者に重過失がないこと
(錯誤をした人に重大な過失がないこと)
この2つを満たしていなければならない
⬇︎上の2つに加えて⬇︎
Aさんが相手方の不動産屋さんに対して、「動機を明示」しているか「黙示に表示」していなけらばならない
「動機を明示」→ 相手方に言葉や書面ではっきり伝えること
「黙示に表示」→ 暗黙のうちに意思や考えを示すこと
※動機は内心にあるだけで周りからはわからないので、相手方の保護を図るために表示が求められている
まとめ
相手方に対して動機の錯誤の取り消しを主張するには、、、
・Aさんのした錯誤が契約にとって大事なものであること
・Aさんに重過失がないこと
・Aさんが相手方の不動産屋さんに「動機の明示」か「黙示の明示」をしていること
この3つが揃っていれば、動機の錯誤と認められて、取り消しができる
・表示の錯誤による意思表示を取り消したい
Aさんは家を立てるための土地を探している
気に入った土地が見つかったので、契約をしようと思い(=意思)
契約したい旨を不動産屋に伝えた(=表示)
⬇︎
契約書にサインした後、100㎡だと思っていた土地が、実際は1000㎡だということに気づいた
※Aさんは1000㎡の土地を買いたい(動機)とは思っていない(意思)のに、1000㎡の土地を買うという契約書にサインした(表示)
※意思と表示がバラバラの状態で、契約書にサインしたことがAさんの意思とは違っている
※これが表示に錯誤があるということ
錯誤だと認められて取り消しをするには①と②を満たしている必要があるが、、、
表示の錯誤に関しては①を満たしていれば②を満たしていなくても取消できる場合がある
①その錯誤が重要なものであること
(法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があること)
②表意者に重過失がないこと
(錯誤をした人に重大な過失がないこと)
・Aは表示の錯誤をし重過失があったが、相手方Bが悪意だった場合
相手方Bが「表意者Aが勘違いをしていること」を知っている場合(悪意の場合)は
たとえ、表意者Aに重大な過失があったとしても、表意者Aは錯誤を理由に取消できる
・Aは表示の錯誤をし重過失があったが、相手方Bも重過失があった
相手方Bが「表意者Aが勘違いをしていること」を重大な過失により知らなかった場合(重過失の場合)
たとえ、表意者Aに重大な過失があったとしても、表意者Aは錯誤を理由に取消できる
・AもBもお互いに、共通錯誤に陥っていた
表意者Aも相手方Bも、どちらも同じ勘違いをしていた場合、表意者Aに重大な過失があったとしても、表意者Aは錯誤の取消ができる
○第三者に対する効果
・本人Aは勘違い(動機の錯誤/表示の錯誤)をして、自分の土地を相手方Bに売ってしまった
・本人Aは、この意思表示は間違いなので取り消しをしたい
・しかし本人Aが取り消しを主張する前に相手方Bはすでに第三者Cにその土地を転売していた
??この場合、この土地の所有権は、誰が主張できる??
第三者Cが善意無過失の場合
善意無過失の第三者Cが保護される
本人Aは
→取り消し前の善意無過失の第三者Cに対して錯誤による意思表示の取り消しを主張できない
(第三者Cが土地の所有権を主張できる)
第三者Cが悪意or有過失の場合
本人Aが保護される
本人Aは悪意or有過失の第三者Cに対して錯誤による意思表示の取り消しを主張できる
(本人Aが土地の所有権を主張できる)
※第三者に対する取り消しは、動機の錯誤でも表示の錯誤でも扱いは同じ
民法等1−2 制限行為能力者制度
【制限行為能力者制度とは】
○能力
1 権利能力
権利や義務の主体となり得る資格
人は誰でも出生すれば権利能力を取得し、死亡によってその能力を失う
2 意思能力
自分の行為の結果を認識することができる能力
・意思無能力者→意思能力が無い者のこと
※お酒や薬物などを摂取した状態で結んだ契約は無効とされている
3 行為能力
単独で完全に有効な法律行為をすることができる能力
※自分一人で契約などをすることができる能力
○制限行為能力者制度
行為能力が不十分な人を守るために設けられている仕組み
制限行為能力者4つ
・未成年者(未成年者制度)
・被補助人(成年後見制度)
【未成年者制度】
○未成年者
20歳未満の人のこと
・婚姻による成年擬制(例外)
男性18歳、女性16歳で結婚が可能
(父母の同意が必要、片方の同意だけでも足りる)
未成年者が結婚した場合は大人、成年者として扱われる
※結婚した後、自宅を購入したりマンションを借りたりするのに親の同意が必要だということになれば、夫婦の独立性が害されてしまうから
○未成年者の保護者
・親権者(法定代理人)
未成年の子を養育監護し、その財産を管理し、子を代理して法律行為をする権利・義務を持つ人のこと
未成年者に対して親権を行う者がないとき
または、親権を行う者が管理権(財産に関する権限)を有しないときに
法定代理人となる人のこと
・法定代理人の権限は2パターンに分かれている
1 親権を行う者とほぼ同一の権利義務を有する者(親権を行う者がいない時)
2 管理権(財産に関する権限)のみを有する者(親権を行う者が管理権を有しない時)
法律に基づいて本人の意思によらないで決まる代理人
・未成年後見人は→ 複数人あるいは法人を選任することが可能
改正法施行により2012年4月1日から選任することが可能となった
※児童虐待の防止等を図るため
・未成年後見人の決定方法 2つ
1 親権者が指定する(民法839条)
2 未成年被後見人又はその親族その他利害関係人の請求により家庭裁判所により選任される
○未成年者の法律行為の効果
1 未成年者が単独で契約等を行なった場合
→原則として取り消すことができる
※その契約は未成年者にとって不利なものになるかもしれないから
※結んだ契約は一応有効だが、それを「なかったことにできる」
2 未成年者が単独で行なっても取り消すことができない行為
①単に権利を得る、または義務を免れる行為(タダで何かをもらう)
②法定代理人が処分を許した財産の処分行為(お小遣いでお菓子を買う)
③許可された営業に関する行為
(親が未成年者に営業の許可を与えた場合、その営業に関してだけ成年者と同一の行為能力を有することになる)
※どの行為も、未成年者が損をしないので取り消しできない
○未成年者の保護者の権限
・同意権 ○
未成年者本人の意思や行為に対して賛成の意思を示すこと
・代理権 ○
未成年者本人に代わって契約などの法律行為を行う権限のこと
・取消権 ○
取り消しをできる人は→未成年者本人、保護者(親権者/未成年後見人)、成年者となった本人
契約した当時に遡って、その契約をなかったことにできる
・追認権 ○
取り消すことができる行為を、もう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすること
【成年後見制度】
判断能力が低い人を保護する為の制度
※民法ではこういった人々を保護しながら、本人の意思の尊重との調和を図っている
・判断能力の程度→かなり低い
・自己決定はどの程度尊重できるか→尊重できない
※障害の程度が一番重い人
成年後見人とは、、、
①精神上の障害によって事理を弁識する能力を欠く状況にある
②家庭裁判所により後見開始の審判を受けている
この2つの要件を満たした人のこと(重度の認知症など)
※何かを判断できる状況にない、判断する能力を欠く人なので、十分に保護しないといけない
その為、本人への制限は範囲が広く、ほとんどのことに成年後見人の保護が必要
○成年後見人の権限
・同意権 ❌
成年被後見人本人の行為に対して賛成の意思を示すこと
※成年被後見人は同意してもらうような提案をできる状況に無い為、そもそも同意権は不要という考えで同意権は与えられていない
※成年被後見人の考えに成年後見人が同意をしたとしても、その同意に従った行為を行うとも考えられない為、同意見は与えられていない
・代理権 ○
成年被後見人本人に代わって契約などの法律行為を行う権限のこと
※成年後見人は代理権を持っているが、成年被後見人の居住の用に供する建物またはその敷地について、売却/賃貸/賃貸借の解除/抵当権の設定、その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない
成年被後見人本人が住んできた場所はとても大事だから、ちゃんとした理由もなく処分されないように、法律で守っているよ
・取消権 ○
契約した当時に遡って、その契約をなかったことにできる
・成年被後見人自身が単独で契約の締結などの法律行為をすることはできない
・もし成年被後見人がその行為をしたときは、取り消すことができる
※保護者である成年後見人にはそもそも同意権は認められていないので、もし保護者が同意して成年被後見人自身が契約をしたとしても、その契約は取り消すことができる
※本人の意思を尊重する為、一人でもできるような日常生活に関する行為(日用品の購入など)は取り消しできない
・追認権 ○
取り消すことができる行為を、もう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすること
○被保佐人
・判断能力の程度→低い
・自己決定はどの程度尊重できるか→重要なことについてはあまり尊重できない
※障害の程度は真ん中
被保佐人とは、、、
①精神上の障害によって事理を弁識する能力が著しく不十分な者
②家庭裁判所により保佐開始の審判を受けている
この2つの要件を満たした人のこと
保佐開始の審判の申立は、、、
※原則→全ての取引を1人ですることができるし、この取引は取り消しできない
※例外→下記の8つの重要な取引だけ、必ず法定代理人の同意が必要
同意なしにした場合、その取引は取り消しできる
○保佐人の同意が必要な重要な財産上の行為
- 利息、賃料などを生ずる財産の返還を受け、またはさらに元本として貸与等をすること
- 借財または保証をすること
- 不動産(土地・建物)やその他の重要な財産(自動車)などの売買
- 相続を承認(資産と負債をそのまま引き継ぐ)し、もしくは放棄すること、または遺産の分割をすること
- 贈与の申し込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申し込みを承諾し、または負担付遺贈を承認すること
- 新築・改築・増築・大修繕の契約をすること
- 土地(山林は含まない)の5年を超える賃貸借、 建物の3年を超える賃貸借をすること※土地は5年以内、建物は3年以内であれば同意は不要
- 1から7の行為等を、他の制限行為能力者の法定代理人としてすること
※被保佐人がこれらの契約を保佐人の同意なしにした場合
→その契約は契約した当初に遡って取り消しできる
(無効ではないことに注意)
→取り消しは被保佐人本人だけでも出来る 保佐人の同意がなくてもいい
○保佐人の権限
・同意権 🔺
被保佐人本人の行為に対して賛成の意思を示すこと
被保佐人が、行為能力を制限された法律行為を行うときに、同意を与える権限を持つ
※被保佐人の利益が害される恐れがないのに、保佐人がそれに同意をしないとき
→被保佐人は家庭裁判所に請求して、家庭裁判所から保佐人の同意に代わる許可をもらえる
→同意に代わる許可を得た行為については、被保佐人は単独で有効にそれを行うことができる
不当な不同意から被保佐人を守っているよ
保佐人が被保佐人の希望を邪魔するような時は、家庭裁判所が代わりに許可してくれるから、被保佐人は1人でもやりたいことができるよ
・代理権 ❌
被保佐人本人に代わって契約などの法律行為を行う権限のこと
※代理権は原則として与えられていない
※特定の法律行為について当事者が望むならば、審判によって保佐人に代理権が与えられる
※保佐人が土地や建物について代理権を与えられた場合でも、被保佐人の居住の用に供する建物またはその敷地について、売却/賃貸/賃貸借の解除/抵当権の設定、その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない
被保佐人本人が住んできた場所はとても大事だから、ちゃんとした理由もなく処分されないように、法律で守っているよ
・取消権 ○
取り消しをできる人は→被保佐人本人、保佐人
契約した当時に遡って、その契約をなかったことにできる
※被保佐人自身が単独で重要な財産上の法律行為(上記の1から8)をすることはできない
※保佐人の同意を要する重要な財産上の行為を同意なしにしたら→取り消しできる
※本人の意思を尊重する為、一人でもできるような日常生活に関する行為(日用品の購入など)は取り消しできない
・追認権 ○
取り消すことができる行為を、もう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすること
○被補助人
・判断能力の程度→高い
・自己決定はどの程度尊重できるか→尊重できる
※障害の程度が最も軽い人
被補助人とは、、、
①精神上の障害によって事理を弁識する能力が不十分な者
②家庭裁判所により補助開始の審判を受けている
この2つの要件を満たした人のこと(軽度の認知症など)
※被補助人は、精神上の障害の程度が軽微なので、重要な法律行為を1人で行うことは可能だが、適切に行えない可能性があるため、他人の援助を受けたほうが安心
※家庭裁判所が必要と判断した場合には、特定の重要な法律行為について、補助人の同意が必要とされたり、補助人が法律行為を代理する場合がある
※どのような法律行為について「同意」や「代理」を必要とするかは、本人、配偶者、親族などの請求によって家庭裁判所が審判する
○被補助人の権利
1 1人では高額なものの取引をするのが不安だという場合に、
補助をして欲しいと望めば審判によって補助してもらえる
2 どういう形で補助してもらうかは自分の希望で選択できる
・どの場合でも家庭裁判所の審判は必要
・不動産の売却や購入など、補助の範囲を決める
・どのように補助してもらうのかを決める
①同意が必要として補助してもらう
②代理して契約してもらう
③同意と代理の両方をしてもらう
これらの内容を自分で選んで補助を受けられる
※被補助人が法律行為を行うのに、常に補助人の同意が必要な訳ではない
※①か③の場合、その内容が補助人の同意が必要な行為なのに、被補助人が補助人からの同意なしにその行為を行なった場合は、契約を取り消すことができる
補助開始の審判は、、、
本人、配偶者、4親等内の親族、後見人(未成年後見人・成年後見人)、後見監督人(未成年後見監督人・成年後見監督人)、補助人、補助監督人または検察官が行う(11条本文)
※この申し立てには"本人の同意"が必要
※被補助人の事理弁識能力が回復した場合、一定の者の請求によって家庭裁判所は補助開始の審判を取り消さなければいけない
○補助人の権限
補助人→補助人の保護者(法定代理人)
全ての権限に、家庭裁判所の審判が必要
※被補助人の意見を尊重している
・同意権 → 同意権付与の審判がなされた部分のみ
他人の行為に対して賛成の意思を示すこと
※補助人の同意権は次の項目の中から審判で定める
(これ以外の同意権を定めることはできない)
- 他人にお金を貸すこと
- 預貯金の払い戻しを受けること
- 借金をすること
- 他人の借金の保証人になること
- 不動産の購入、売却、一定期間以上の賃貸借
- クレジット契約
- 相続の承認または放棄、遺産分割
- 建物の新築、増改築
- 裁判の提起
- 贈与
※被補助人の利益が害される恐れがないのに、補助人がそれに同意をしないとき
→被補助人は家庭裁判所に請求して、家庭裁判所から補助人の同意に代わる許可をもらえる
不当な不同意から補助人を守っているよ
・代理権 → 代理権付与の審判がなされた部分のみ
本人に代わって契約などの法律行為を行う権限のこと
一定の者からの請求と本人の同意によって、家庭裁判所が特定の法律行為について補助人に付与する
※代理権の場合には、同意権のような制限はないので、上記以外の行為も代理して行うことができる
・取消権 → 同意権付与の審判がなされた行為を被補助人が同意なしでした場合のみ
契約した当時に遡って、その契約をなかったことにできる
※同意が必要な「特定の法律行為」を、被補助人が補助人の同意なしにした場合、取り消しができる
※取消権の効果があるのは、同意権で決めた「特定の法律行為」の範囲だけ
※日用品の購入などは同意の必要がないので、取消権も無い
・追認権 → 同意権で定めた部分のみ
取り消すことができる行為を、もう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすること
【制限行為能力者の取り消しとその制度】
(例)
未成年者のAが法定代理人の同意を得ずに、A所有の土地をBに売却した
Bは、事情を知らないCにその土地を転売し、移転登記も完了した
その後、Aは自分が未成年であることを理由にBとの契約を取り消した
このとき、AはCから土地を返してもらえるか?
(結論)
・返してもらえる=善意の第三者にも対抗できる
・制限行為能力者を守ってあげる必要性が高いから
【大事な用語】
第三者→当事者以外の人
善意→知らなかった、信じていた
悪意→知っていた、信じていなかった
故意→知った上で、わざと
過失→落ち度
無過失→落ち度がないこと
無過失の第三者→ 落ち度のない、当事者以外の人
有過失→落ち度があること
有過失の第三者→落ち度のある、当事者以外の人
善意の第三者→ 特定の内容を知らない、当事者以外の人
善意無過失の第三者→ 特定の内容を知らず、落ち度のない、当事者以外の人
善意有過失の第三者
→特定の内容を知らないが、 注意さえしていればその内容を知ることができた当事者以外の人
悪意の第三者→ 特定の内容を知っていた、当事者以外の人
【取引の相手方の保護及び法律関係安定のための制度】
未成年者Aが法定代理人の同意を得ずに、A所有の土地についてBと売買契約を締結した
この場合、Bはいつ契約を取り消されるかわからず、立場が不安定になる
⬇︎これを解消するための4つの仕組み⬇︎
①相手方の催告権
・催告権
BはAの法定代理人に対して「取消するか追認するか、どちらにするか決めて」と催促できる
この権利が催告権
返答までの期間は最低1ヶ月(1ヶ月以上の期間を定めて、相手型に催告をする)
・催告を受けた者が催告を放置した場合
期間内に取り消しするか追認するかの返事をしなかったら、、、
催告した相手方 → 結果 (理由)
未成年者本人→ 追認したとみなす(そもそも未成年者に対しては催告できないため)
未成年者から行為能力者となった本人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
未成年者の法定代理人(親権者/未成年後見人)→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
成年被後見人→ 追認したとみなす(そもそも成年被後見人に対しては催告できないため)
成年後見人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
被保佐人→ 取り消したものとみなす(判断能力が著しく不十分なため)
被保佐人から行為能力者となった本人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
保佐人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
被補助人→ 取り消したものとみなす(判断能力が不十分なため)
被補助人から行為能力者となった本人→ 追認したとみなす
補助人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
※判断能力が不足している人が催告を無視した場合は、取り消したとみなす
※判断能力がある人が催告を無視した場合は、追認したとみなす
②詐術を用いた場合
制限行為能力者が書類を偽造して、相手に対して、自分が行為能力者であると見せかけた
詐術(騙す手段)を用いて、相手方もそれを信じた
この場合
→制限行為能力者であることを理由に、その行為を取り消すことはできない
※嘘やずるいことをした人を法律で守る必要はないから
③取消権の期間の制限
○取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する
「追認することができる時」とは
→取消しの原因となっていた状況が消滅した時
・制限行為能力者の場合
→ 行為能力者となった時から5年間行使しないときは、取消権は時効によって消滅する
・成年被後見人の場合
→ 行為能力者となった時から5年間行使しないときは、取消権は時効によって消滅する
成年被後見人だった時にした行為が、取消得る行為であると知った時から5年間
行使しないときは、取消権は時効によって消滅する
・詐欺/脅迫を受けていた場合
→詐欺/脅迫を脱してから5年間行使しないときは、取消権は時効によって消滅する
○取消権は、行為のあった時から20年経過したときは、時効によって消滅する
※5年か20年のどちらか早く訪れた期限で判断される
④法廷追認
法定追認とは、、、
実際に追認をしたわけではないが
契約の完全有効を前提にしたような行為をしたときは
追認と同じ効果が生じる
という仕組み
法定追認と認められるのは、、、
追認することができる時から、意義をとどめずに(異議があることを相手に伝えずに)
1 債務の一部または全部の履行をした場合
2 相手方に履行を請求した場合
3 取得した権利の一部または全部の譲渡をした場合
※上記3つとも、元となる契約が取消になると成立しない行為
履行や履行の請求、権利の譲渡をしたということは、元の契約は問題なく成立していると法的に判断される
民法等1−1 契約の種類と契約の成立要件
【契約の全体像】
○契約とは
大事な「約束」のこと
○契約の成立
契約は「申込」の意思表示と「承諾」の意思表示が一致すると成立する
・「この土地を1000万円で売ります」という売主がいて、
買主が「その土地を1000万円で買います」と、売主に伝えると契約が成立する
・ 契約は書面で契約するのが一般的
・ 口約束も契約になる
ex.
1月10日に口約束で土地の売買契約
1月20日に契約書に双方が記名押印をした場合
1月10日が契約成立日になる
○契約の効果
契約が成立すると契約した当事者(上記の場合、売主と買主)に「権利」と「義務」が生じる
・売主の義務→ 土地を引き渡す義務
・売主の権利→ 代金を受け取る権利
・買主の義務→ 代金を支払う義務
・買主の権利→ 土地を受け取る権利
「代金を受け取る権利」と「代金を支払う義務」はセット
「土地を受け取る権利」と「土地を引渡す義務」はセット
契約の内容は、原則、当事者の意思で自由に決めることができる→「契約自由の原則」
○契約の分類
・諾成契約
当事者の合意だけで成立する(売買契約・賃貸借契約)
・要物契約
合意の他に物の引き渡しがないと成立しない契約
・有償契約
対価等の支払いのある契約(売買契約・賃貸借契約)
・無償契約
対価等の支払いのない契約(贈与・使用貸借契約)
・双務契約
契約当事者双方が、それぞれ対価的な意義を有する債務を負担しあう契約のこと
※お互いが義務と権利を持っている
・片務契約
贈与や使用賃借のように、一方当事者のみが債務を負う契約
※片方だけに義務や権利がある
【贈与】
ある人が相手方に無償で財産権を与える意思表示をし、相手方がこれを受諾することによって成立する契約
549条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる
贈与契約は、片務・諾成・無償契約
※片方だけに義務があり、当事者の合意だけで成立し、対価等の支払いがない契約
「自己の財産を」(549条)となっているが、他人の財産であっても贈与契約は有効に成立すると解されている
○贈与の撤回
550条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない
・贈与契約の成立には書面は不要
・書面によらない贈与はいつでも撤回することができる(550条本文)
・ただし、履行の終わった部分については撤回できない(550条ただし書)
※不動産が贈与された場合、引渡しか登記がなされていれば、履行が終わったと解されている
※贈与の意思を明確にさせることと、贈与者に再考の機会を与えることで軽率な贈与がなされることを防止するために、贈与の撤回が認められている
○贈与者の義務
・財産権移転義務
贈与者は、受贈者に財産権を移転する義務を負う
不動産であれば、引渡や登記などをすることが義務
・担保責任
551条1項 贈与者は、贈与の目的である物または権利の瑕疵または不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵または不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
・贈与は無償で行われることから、贈与者は原則として贈与の目的である物や権利の瑕疵または不存在について責任を負わない(551条1項本文)
・ただし、贈与者がその瑕疵または不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、担保責任を負う(551条1項ただし書)
○特殊な贈与
・定期贈与
552条 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者または受贈者の死亡によって、その効力を失う。
定期贈与とは、一定の時期ごとに一定の給付をする贈与契約(親から子供への仕送り等)
このような契約は、当事者間の密接な人間関係を前提に締結されることが多いため、
当事者の一方または双方が死亡したときは、贈与契約自体の効力が失われる(552条)
○負担付贈与
551条2項 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
負担付贈与とは、受贈者に一定の負担を負わせる贈与契約のこと
(土地を贈与する代わりに贈与者の老後の面倒をみるようにするといった場合)
負担付贈与においては、当事者は実質的には負担の限度で対価関係に立つので、
贈与者はその負担の限度で担保責任を負わなければならない(551条2項)
負担付贈与については、双務契約に関する規定が準用されている(553条)
○死因贈与
・死因贈与とは
→贈与者の死亡によって効力が生ずる贈与契約のこと
(AB間において、Aが死んだら、この土地をBに贈与するといった場合)
※死因贈与によく似たものとして、遺贈(964条、985条以下)がある
・遺贈とは
→遺言によって遺産の全部または一部を無償または負担付で他人に与える行為
・遺贈は単独行為
・死因贈与は契約
※この2つは似ているけど違うもの
【使用貸借契約】
○使用貸借とは
→借主が無償で物を借りること
タダで借りているため借主の立場は弱くなる
○使用貸借の対抗要件
貸主が目的物を第三者に譲渡した場合、借主は第三者に対して使用貸借を対抗することができない
・賃貸借との比較
賃貸人(貸してる人)が目的物を第三者に譲渡した場合、賃借人(借りてる人)が賃借権の登記をしていれば賃借人(借りてる人)は第三者に賃借権を対抗することができる
(借りて住んでるから、出て行きません!!と言える)
※賃料を支払っていたり、対価を支払っているので立場が強い 権利を主張できる
○使用貸借の解除
借主が無断転貸した場合は、事情に関わらず、貸主は契約を解除することができる
(借主が第三者に土地を転貸した場合は、貸主は契約を解除することができる)
・賃貸借との比較
賃借人(借りてる人)が無断転貸をした場合、背信的行為があると認めるに足らない特段の事情があれば、賃貸人(貸してる人)は解除することができない
※背信的行為があると認められる可能性が高い例
→賃借人が自分の恋人や友人に転貸(又貸し)し、その恋人や友人が賃料を支払っていた
※背信的行為があると認めるに足らない例
→もともと賃借人と同居していた親族に対して転貸(又貸し)していた
○使用貸借の必要費
借主(借りてる人)が通常の必要費を支出したら
→貸主(貸した人)に対して費用の償還請求をすることができない
※通常の必要費は、借主が自分で払うお金なので、かかった費用を貸主からもらうことはできない
借主(借りてる人)が通常の必要費以外の支出をしたら
→貸主(貸した人)に対して費用の償還請求をすることができる
※通常の必要費以外は、 借主が支払う必要のないお金なので、貸主からもらうことができる
・賃貸借との比較
賃借人(借りてる人)が支出した必要費は、直ちに賃貸人(貸してる人)に償還請求をすることができる
※必要費も必要費以外も、借りてる人は払わなくていいお金、貸してる人が払うよ
○使用貸借の貸主が死亡した場合
借主(借りてる人)が死亡した場合
→使用貸借契約は終了
※この場合、相続人への権利の承継は認められない
なぜか?→使用貸借はタダで使わせてあげる約束
貸主と借主の人間関係があって、初めて成立する
借りてる人が死んでしまったら、そこで2人の約束はおしまい
貸主(貸してる人)が死亡した場合
→使用貸借は終了しない 継続して使用可能
※急に契約終了になると、借りてる人が困るから
・賃貸借との比較
賃借人(借りてる人)が死亡した場合、賃借権は相続人に承継される
○使用貸借の期間 契約の終了
使用貸借が終了する事由5つ
1 設定された期限が来たら終了
2 目的に従った使用・収益が終了した時
3 使用・収益に足りる期間(相当期間)が過ぎたら終了
4 解約申入があったら終了
5 借主(借りてる人)が死亡したら終了
※上記5つのうち、時期が明確でない3.4.について注意
3.使用・収益に足りる期間(相当期間)に関して
→貸主(貸した人)が相当期間が経過したと判断し、解約申入をすれば契約は終了する
だいぶ長いこと貸してたな〜そろそろ返してください→契約終了
4.解約申入に関して
→使用貸借の目的を定めていない場合は貸主はいつでも契約を解除することができる
いつまで貸すよって決めてないから、貸してる人は返して欲しいときに、返してって言えるよ
借主側からはいつでも解約の申入をすることができる
借りた人はいつでも好きなときに契約を終了させられる 期限より早く返してもいいよ
○使用貸借に関する疑問
・使用貸借自体に登記があっても第三者に対抗できないのか?
→できない
使用貸借は貸主と借主の当事者間でのみ効力をもつ契約
登記があっても契約書があっても、第三者には対抗できない
【契約の有効・無効・取り消し】
・有効→効果があること
・無効→効果がないこと
※賭博や愛人契約などの公序良俗違反の契約→無効
※上記のような社会的な妥当性のない契約は無効であり、その無効は誰に対しても主張できる
社会的に良くないことをしている人は、法律で守ってあげる必要がないよ
・取り消し
→一応は有効だが「取り消します」と言うことによって無効にすること
※取り消されない限りは有効
【契約の効力発生の要件】
○民法での「条件」とは
→将来発生するかどうかが不確実な事実によって
法律行為の効力が発生・消滅するかどうかを決める特約
○民法での条件の規定
ある出来事が起こることを「条件の成就」
条件成就によって法律効果を発生させるものを「停止条件」
法律効果を消滅させるものを「解除条件」
○条件たる出来事とは
①将来のものであること
②不確実なものであること
二つの要件を満たしているものが条件として認められる
「昨日、札幌の天気が雨だったら~」という約束
→仮に当事者が知らなかったとしても、一般的には既に発生した事実であることから、解除条件あるいは停止条件としてはふさわしくない
これは「既成条件」として別の取扱をすることになる(民法131条)
「私が死んだら~」という約束
その時期こそ不明であれ、将来必ず発生する事実であるので条件としては認められない
この約束は「期限(不確定期限)」として扱われる
【停止条件】
○停止条件とは
→とりあえず契約を締結するが、ある一定の事実が発生するまでその効力を生じさせないこと
→その条件発生まで法律効果を停止しておくこと
「独学で宅建に合格したら家をあげます」→これが停止条件付きの贈与契約
独学で宅建に合格することが→「停止条件」
家をあげることが→「贈与契約」
※宅建に合格するまでの間、家をあげるという効力を停止させるということ
○停止条件のポイント
1 条件付き契約の各当事者は条件の成否未定の間は
条件の成就によってその契約から生じる相手方の利益を害してはならない
2 条件の成否未定の間の当事者の権利義務の扱いは
普通の権利と同じく、処分・相続・保存することができる
そのために担保を供することができる
※ある物を債権の担保として提供することができる
3 条件の成就によって不利益を受ける当事者が、故意に条件の成就を妨げた場合
相手方はその条件を成就したものとみなすことができる
※条件が成就したと扱うかどうかは、相手方の選択次第
わざと悪いことをした方が損をするよ
4 条件の成就によって利益を受ける当事者が、不正にその条件を成就させた場合
相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる
※条件が成就しなかったと扱うかどうかは、相手方の選択次第
わざと悪いことをした方が損をするよ
5 正当な理由がなければ解除できない
停止条件も正式な契約であり、契約の効力が発生していなくても解除することはできない
6 停止条件付契約した契約者(当事者)が死亡した場合
その地位も相続の対象になる
・重要なポイント
宅建業法の8種規制の中の「自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限」
※8種規制とは
売主が宅建業者で買主が宅建業者以外の場合に適用される、買主保護を目的とする制限のこと
(宅建業者はプロ、買主は一般人の素人、素人に不利益がないようにするための決まり)
「自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限」とは
例えば、 宅建業者が停止条件付契約で契約した土地があるとする
停止条件付きの土地は、その条件が成就するかわからないため、買主にその土地を引き渡せるかどうかわからない
そんな不確定な土地を目的物として取引に供してはいけない
→宅建業法で停止条件付き契約した目的物を、自ら売主として契約を締結することは禁止されている
独学で宅建とってみよ٩( ᐛ )و
自分のノートがわりに、ブログに記録することにしました
宅建のテキスト買って読んでみたものの、、、
日本語やし、ちゃんと読めるのに、意味はわからんという恐ろしい事態に( ・∇・)笑
テキストでは用語とか意味とか理由とか、詳しく書いてないこともあるので、その辺を自分が理解できるように、細かく埋めながら書いてます
まぁテキストに詳しく書いてないってことは、試験では大事じゃないってことなんやけど٩( ᐛ )و笑
もしくは、このぐらいわかるやろってことやと思うんやけど٩( ᐛ )و笑
アホをバカにするなよ!!
思ってるよりわかってないぞ!!
まぁわからないものは仕方ないので
ちょこちょこ頑張ります:)