いおちゃんの宅建٩( ᐛ )و

自分の勉強用ブログ 間違ってるところがあるかもしれませんのであしからず

過去問 代理

代理に関する次の記述が民法の規定及び判例において、正しいか否かを答えよ。

不動産の売買契約に関して、同一人物が売主及び買主の双方の代理人となった場合であっても、売主及び買主の双方があらかじめ承諾をしているときには、当該売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。

 

 

(正)

原則として、当事者双方の代理人となることはできません。ただし、本人が事前に許可をした場合、または、債務の履行を行う場合の代理行為の結果は当事者双方に帰属します。

 

民法108条1項
同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述が民法の規定及び判例において、正しいか否かを答えよ。

Aが無権代理人であってDとの間で売買契約を締結した後に、Bの死亡によりAが単独でBを相続した場合、Dは甲土地の所有権を当然に取得する。

 

 

(正)

 本人の死亡により無権代理人が本人を単独で相続した場合、無権代理行為の追認を拒絶することはできないため、無権代理行為は当然に有効となります(最判昭40.6.18)

Bを単独で相続したAは無権代理行為を拒絶できないため、代理行為は有効となり、Dは甲土地の所有権を取得します。

 

 最判昭40.6.18
無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。

 

 

AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。

この場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Bが本件売買契約を追認しない間は、Cはこの契約を取り消すことができる。

ただし、Cが契約の時において、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権がないことを知っていた場合は取り消せない。

 

 

(正)

 無権代理人の相手方は、善意の場合、本人が追認をしない間は契約を取り消すことが可能です(民法115条)。
Aは無権代理人ですから、甲土地の所有者であるBが追認する前であれば、善意のCは当該契約を取り消すことができます。しかし、契約時に悪意だった場合には契約を取り消せません。

 

B所有の土地をAがBの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合に関する次の記述が民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aが無権代理人であって、Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合には、Bは追認を拒絶できるが、CがAの無権代理につき善意無過失であれば、CはBに対して損害賠償を請求することができる。 

 

(正)

 本人が無権代理人を単独で相続した場合、本人は追認拒絶をすることが可能です(最判昭37.4.20)。

ただし、本人は無権代理人の権利義務も同時に相続するため、無権代理行為の相手方が善意無過失であれば損害賠償の責任を負います。

 

 民法117条1項
他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

 

AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を令和2年7月1日に授与した場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

BがCの代理人も引き受け、AC双方の代理人として甲土地に係るAC間の売買契約を締結した場合、Aに損害が発生しなければ、Bの代理行為は無権代理とはみなされない。

 

 

(誤)

同一の法律行為について双方の代理人としてした行為は、双方代理に当たり、無権代理人がした行為であるとみなされます。損害の有無を問いません。

 

 民法108条1項
同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

 

AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bが自らを「売主Aの代理人B」と表示して買主Dとの間で締結した売買契約について、Bが未成年であったとしても、AはBが未成年であることを理由に取り消すことはできない。

 

 

(正)

未成年者などの制限行為能力者であっても、代理人になることは可能です(民法102条)。

よって、Bが未成年であること理由に取り消すことはできません。 

 

 民法102条
制限行為能力者代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者法定代理人としてした行為については、この限りでない。

 

代理に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

法人について即時取得の成否が問題となる場合、当該法人の代表機関が代理人によって取引を行ったのであれば、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、当該代理人を基準にして判断される。

 

(正)

 意思表示に関する瑕疵等については、原則として代理人を基準にして判断されます(民法101条1項)

動産の即時取得は占有を始めた者の善意・無過失が要件となっているので、代理人が善意・無過失であるか否かによって即時取得の効力が判断されます(民法192条)

 

民法101条1項
代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

 

民法192条
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

 

 

AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。なお、表見代理は成立しないものとする。

18歳であるBがAの代理人として甲土地をCに売却した後で、Bが18歳であることをCが知った場合には、CはBが未成年者であることを理由に売買契約を取り消すことができる。

 

 

(誤)

 行為能力者でなくても代理人にはなれます(民法102条)。

未成年者であっても有効な代理人であるため、Cは、Bが未成年であることを理由に売買契約を取り消すことはできません。

 

 民法102条
制限行為能力者代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者法定代理人としてした行為については、この限りでない。

 

 

Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し、売却に関する代理権をBに付与した。

この場合に関する次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bが、Bの友人Cを復代理人として選任することにつき、Aの許諾を得たときは、Bはその選任に関し過失があったとしても、Aに対し責任を負わない。

 

 

(誤)

 任意代理人が復代理人を選任した場合の本人に対する責任は、本人と任意代理人との委任契約に関する債務不履行の一般原則に従って判断されます。よって、本人の許諾がある場合でも、復代理人の選任・監督につき善管注意義務を怠った等の過失があれば、Bは債務不履行責任を負います。

 

民法の規定及び判例並びに下記判決文において正しいか否かを答えよ。

(判決文)
本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。けだし、無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず(民法113条1項)、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。

無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。 

 

(正)

無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずることとなります。なお、この場合でも第三者の権利を害することはできません。 

 

 民法116条
追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

 

AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を令和2年7月1日に授与した場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

AがBに授与した代理権が消滅した後、BがAの代理人と称して、甲土地をEに売却した場合、AがEに対して甲土地を引き渡す責任を負うことはない。

 

(誤)

 代理人を有していた人(元代理人)が、代理権消滅後にその代理権の対象行為を第三者との間でした場合、第三者が代理行為の消滅につき善意無過失であるときは、その代理効果は本人に帰属します(民法112条1項)。よって、Eが善意無過失のときには、AはEに甲土地を引き渡す責任を負うことがあります。

 

民法112条1項
他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

 

 Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

BがCの代理人にもなって本件契約を成立させた場合、Aの許諾の有無にかかわらず、本件契約は無効となる。

 

(誤)

 Bは、A及びC両方の代理人になりますから、双方代理行為になります。原則として双方の代理人となることはできませんが、本人からの許諾があるときには双方代理をすることも可能です(民法108条1項)。
本肢の場合、A及びCの許諾があれば双方代理は有効になります。

 

民法108条1項
同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

 代理に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

夫婦の一方は、個別に代理権の授権がなくとも、日常家事に関する事項について、他の一方を代理して法律行為をすることができる。

 

(正)

夫婦間では、代理権授与契約は不要です。したがって、夫婦のどちらかが、日常家事に関して法律行為を行なった場合は、その法律行為により生じた債務は連帯して負うことになります。

 

民法761条
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない

 

 

Aが、B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。)についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aが、Bの名を示さずCと売買契約を締結した場合には、Cが、売主はBであることを知っていても、売買契約はAC間で成立する。

 

 

(誤)

 代理人が依頼主のためであることを示さなかった場合でも、代理人の相手方がそのことを知っていた場合は、その売買契約の効果は本人に帰属します(民法100条)。

よって、Cが、売主はBであることを知っているときには、売買契約はBC間で成立します。

 

民法100条
代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第一項の規定を準用する。

 

B所有の土地をAがBの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aが無権代理人であっても、Bの死亡によりAがDとともにBを共同相続した場合には、Dが追認を拒絶していても、Aの相続分に相当する部分についての売買契約は、相続開始と同時に有効となる。

 

 

(誤)

無権代理人が本人を共同相続した場合は、共同相続人全員がこれを追認した場合に限り、無権代理行為は有効となります。一人または数人が追認をしたとしても、当該部分のみ有効とはなりません

 

最判平5.1.21
無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。

 

Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し、売却に関する代理権をBに付与した。

この場合に関する次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bが復代理人Eを適法に選任したときは、EはAに対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、Bの代理権は消滅する。

 

 

(誤)

 復代理人を選任した場合であっても、代理人の代理権は消滅しません。復代理人の選任後も、BはAの代理権を有したままです。

 

 

AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述が、民法の規定において、正しいか否かを答えよ。なお、表見代理は成立しないものとする。

Bが死亡しても、Bの相続人はAの代理人として有効に甲土地を売却することができる。

 

 

(誤)

代理人が死亡した時点で代理権が消滅するため代理権の相続は生じません。よって、相続人はAを代理して土地を売却することはできません(民法111条1項) 

 

 

AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。
しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。
この場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

BがAに対し、甲土地に抵当権を設定する代理権を与えているが、Aの売買契約締結行為は権限外の行為となる場合、甲土地を売り渡す具体的な代理権がAにあるとCが信ずべき正当な理由があるときは、BC間の本件売買契約は有効となる。

 

 

(正)

 代理人が権限外の行為をした場合でも、相手方に代理権があると信ずべき正当な理由がある場合は、その代理行為は有効となります(民法110条)。
Bが行った売買契約は越権行為ですが、代理権がAにあるとCが信ずべき正当な理由がある場合には、表見代理が成立し、BC間での売買契約は有効となります。

 

民法110条
前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

 

AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。

しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。

この場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

BがCに対し、Aは甲土地の売却に関する代理人であると表示していた場合、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことをCが過失により知らなかったときは、BC間の本件売買契約は有効となる。

 

 

(誤)

 BC間で売買契約が成立するためには表見代理が成立する必要がありますが、表見代理は相手方(C)が善意無過失の場合のみ成立します民法109条1項)。
本肢では、BはAに代理権を与えたと表示していますが、Cは過失により知らなかった、すなわち善意につき過失があるので、表見代理は成立しません。

 

民法109条1項
三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

 

AがBの代理人として、Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bが、AにB所有土地を担保として、借金をすることしか頼んでいない場合、CがAに土地売却の代理権があると信じ、それに正当の事由があっても、BC間に売買契約は成立しない。

 

(誤)

 代理人が代理権を付与された行為以外を行った場合、表見代理が成立するか否かによって効果が変わります。第三者代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは表見代理が成立するので、AとCの売買契約は有効に成立します。

 

 民法110条
前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

 

 

Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に本件契約が締結された場合、Bによる本件契約の締結は無権代理行為となる。 

 

 

(正)

 代理人が後見開始の審判を受けた場合、その時点で代理権は消滅します

 民法111条1項
代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。

 

AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。なお、表見代理は成立しないものとする。

Bが売主Aの代理人であると同時に買主Dの代理人としてAD間で売買契約を締結しても、あらかじめ、A及びDの承諾を受けていれば、この売買契約は有効である。 

 

(正)

 原則として双方代理は禁止されていますが、当事者双方が許諾した行為や債務の履行をするだけであれば双方代理も認められます民法108条)。
本肢の場合、Bは、AとDからの承諾を受けていれば、双方代理による売買契約は有効になります。

 

 民法108条
同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

Aが、Bの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

AがBに無断でCと売買契約をしたが、Bがそれを知らないでDに売却して移転登記をした後でも、BがAの行為を追認すれば、DはCに所有権取得を対抗できなくなる。

 

 

(誤)

 Aが代理して成立させた売買契約の効果はBに帰属し、BC間で売買契約が成立します。

また、BD間の売買契約も有効に成立するため二重譲渡と考えることができます。

二重譲渡は対抗関係になるので、売買契約の先後を問わず先に移転登記を備えた方が所有権を主張できます。

よって、先に登記を備えたDはCに所有権を対抗できます。

 

 

 

代理に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。

 

 

(正)

 委任による代理人(任意代理)の場合、本人から許諾を得たとき及びやむを得ない事情があるときには復代理人代理人代理人)を選任することができます

 

民法104条
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

 

 

Aが、Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Bは、Aの同意がなければ、この土地の買主になることができない。

 

 

(正)

 同一の法律行為について、当事者の一方が他方の代理人となること(自己契約)は禁止されています。本人の利益と代理人の利益が相反し、本人の不利益になる可能性があるからです。ただし、本人の許諾があるとき、債務の履行であるときはOKです。

よって、土地の売却を依頼されている代理人Bは、自らその土地の買主となることはできません。

 

民法108条1項
同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

 Aが、Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Bは、自己の責任により、自由に復代理人を選任することができる。

 

(誤)

 任意代理人(委任による代理人)は、依頼者本人の許諾を得たとき、またはやむを得ない事情があるときでなければ復代理人を選任できません(民法104条)。本肢は「自由に選任できる」としているので誤りです。

 

民法104条
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

 

【法廷代理人の復代理人の選任】 

いつでも選任できる

代理人は、本人に対して全ての責任を負う

※やむおえない事由がある時は、選任・監督のみに責任を負う

 

任意代理人の復代理人の選任】

本人の許諾を得たときと、やむおえない事由がある時のみ選任できる

代理人は本人に対して選任・監督の責任を負う

 

 

 AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。なお、表見代理は成立しないものとする。

Aが死亡した後であっても、BがAの死亡を知らず、かつ、知らないことにつき過失がない場合には、BはAの代理人として有効に甲土地を売却することができる。

 

(誤)

代理権は、以下に該当した場合には自動的に消滅します(民法111条1項)。

  1. 本人・代理人の死亡
  2. 代理人が破産・後見開始

Aの死亡につき善意無過失であったとしても、Bの代理権は消滅します。

よって、Bは無権代理人になり、甲土地の売却は無権行為になります。 

 

 

 

Aが、Bの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bは未成年者であっても、Aが成年に達した者であれば、Bの法定代理人の同意又は許可を得ることなく、Aに売買の代理権を与えて、Cとの間で土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。

 

 

(誤)

 制限行為能力者であっても代理人となることは認められます。

しかし、未成年者が代理契約をするときには法定代理人の同意が必要なので、法定代理人の同意なくAに代理権を与えることはできません(民法5条1項)

最後の「この契約を取り消すことができない」という記述は適切です(民法102条)

 

民法5条1項
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

 

民法102条
制限行為能力者代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。

ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者法定代理人としてした行為については、この限りでない。

 

A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合における次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

なお、表見代理は成立しないものとする。

Aの死亡により、BがAの唯一の相続人として相続した場合、Bは、Aの追認拒絶権を相続するので、自らの無権代理行為の追認を拒絶することができる。

 

(誤)

 無権代理人が本人を相続した場合には、信義誠実の原則に違反するため、本人の有していた追認拒絶権を行使することはできません。

 

最判昭40.6.18
無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたった場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。

 

代理に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

売買契約を締結する権限を与えられた代理人は、特段の事情がない限り、相手方からその売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限を有する。 

 

(正)

 契約の相手方から取り消しの意思表示を受領することも代理権の範囲内とされています(最判昭34.2.13)

 

最判昭34.2.13
売買契約締結の代理権を授与された者は、特段の事情がないかぎり、相手方から、旧民法第八八七条に基く当該売買契約取消の意思表示を受ける権限をも有するものと解するのが相当である。

 

Aが、Bの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bは、Aに対してCとの間の売買契約を委任したが、Aが、DをCと勘違いした要素の錯誤によってDとの間で契約した場合、Aに重過失がなければ、この契約は取り消すことができる。

 

(正)

 代理人が勘違いした要素の錯誤によって相手方との間で契約した場合、代理人に重過失がなければ、この契約は取り消すことができます(民法101条1項)

代理人Aの行為を基準に考えて、権利関係に影響を与えるようなことが問題になったとき、本人であるBであっても取り消しが可能になります。

 

 民法101条1項
代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

 

B所有の土地をAがBの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合に関する次の記述のが、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aが無権代理人である場合、CはBに対して相当の期間を定めて、その期間内に追認するか否かを催告することができ、Bが期間内に確答をしない場合には、追認とみなされ本件売買契約は有効となる。 

 

(正)

 無権代理行為があった場合、無権代理行為の相手方は、本人に対し相当の期間を定めて売買契約を追認するか否かを催告できます。

本人が期間内に確答をしないときは追認を拒絶したものとみなされます民法114条)。本肢は「追認とみなされ」としているので誤りです。

 

民法114条
前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。

この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。

 

代理に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、

特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。 

 

(誤)

代理人は、代理人だけなく本人に対しても引き渡し義務を負うこととなります(民法106条2項)。
しかし、判例では代理人に受領物(ここでは金銭)を引き渡した場合は、本人に対する引き渡し義務は消滅するとしています。 

 

 民法106条2項
代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。

 

AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは、Cは甲土地の所有権を当然に取得する。

 

(誤)

 本人の許諾なく当事者双方の代理人となってした行為は、無権代理行為とみなされます(民法108条1項)

よって、CはBの追認がなければ甲土地を当然に取得することはできません(民法103条1項)

 

民法108条1項
同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

民法103条1項
代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。 

 

Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し、売却に関する代理権をBに付与した。

この場合に関する次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bは、やむを得ない事由があるときは、Aの許諾を得なくとも、復代理人を選任することができる。 

 

(誤)

 任意代理人の場合、やむを得ない事由があるとき、または本人の許諾を得た場合に限り復代理人を選任することができます

※2つの条件のうち、、どちらかを満たしていればOK

 

 民法104条
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

 

Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し、売却に関する代理権をBに付与した。

この場合に関する次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bが、Aの許諾及び指名に基づき、Dを復代理人として選任したときは、Bは、Dの不誠実さを見抜けなかったことに過失があった場合でも、Aに対し責任を負わない。 

 

(誤)

任意代理人が復代理人を選任した場合の本人に対する責任は、本人と任意代理人との委任契約に関する債務不履行の一般原則に従って判断されます。

よって、本人の指名による場合でも、復代理人の選任・監督につき善管注意義務を怠った等の過失があれば、Bは債務不履行責任を負います。

 

民法改正により「過失の場合の免責」がなくなった 。

 

民法改正により変更になった部分です。
以前は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、復代理人が不適任又は不誠実であることにつき悪意である場合にのみ責任を負うとしていました。つまり、過失の場合には免責されていました。

 

 AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。

しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。

この場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Bが本件売買契約を追認しない場合、Aは、Cの選択に従い、Cに対して契約履行又は損害賠償の責任を負う。

ただし、Cが契約の時において、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことを知っていた場合は責任を負わない。

 

(正)

 相手方が悪意または善意有過失のときを除いて、無権代理人は相手方の選択に従い、履行または損害賠償の責任を負います(民法117条)。
よって、Cは無権代理人のAに対して、契約履行または損害賠償を追及することができます。ただし、Bが代理権を有しないことをCが契約のとき知っていた(悪意の)場合は無権代理人の責任は免除されます。

 

民法117条
他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

 

 

代理に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

未成年が代理人となって締結した契約の効果は、当該行為を行うにつき当該未成年者の法定代理人による同意がなければ、有効に本人に帰属しない。

 

 

(誤)

 未成年であっても、法定代理人の同意なしに有効な代理行為を行うことができます。

また、この効果は代理人に帰属します(民法102条)。

 

民法102条
制限行為能力者代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。

ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者法定代理人としてした行為については、この限りでない。

 

 

代理に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる。

 

 

(正)

 法定代理人は、やむを得ない事由がなくても復代理人の選任が可能です(民法105条)。

 

民法105条
法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。

この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

 

 Aが、B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。)についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aは、急病のためやむを得ない事情があっても、Bの承諾がなければ、さらにEを代理人として選任しBの代理をさせることはできない。

 

(誤)

委任による代理人任意代理人)は、

①本人の許諾を得たとき、または②やむを得ない事由があるときに限り復代理人を選任できます(民法104条)。

本肢のケースは「やむを得ない事情」があるので、依頼主Bの承諾がなくても復代理人を選任することが可能です。

 

民法104条
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。 

 

 

Aが、B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。)についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aが、買主Dから虚偽の事実を告げられて売買契約をした場合でも、Bがその事情を知りつつAに対してDとの契約を指図したものであるときには、BからDに対する詐欺による取消はできない。

 

 

(正)

意思表示における瑕疵の有無は代理人を基準に決定されます。

しかし、本人が自ら知っていた事情について、代理人が知らなかったことを主張することはできません。

本肢では依頼主Bが詐欺の事実を知っていたのですから、代理人Aの意思表示が詐欺によるものであることを主張することは許されず、Dとの売買契約の取消はできません(民法101条3項)。

 

民法101条3項
特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。

本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

 

 

AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、A自らが買主となって売買契約を締結したときは、Aは甲土地の所有権を当然に取得する。

 

 

(誤)

 代理人が自ら買主となるように、本人と代理人の利益が相反する行為が行われた場合、無権代理行為とみなされます(民法108条2項)。

よって、所有権を当然に取得するわけではなく、Bの事前許諾の有無、Bの追認により判断されます。

 

民法108条2項
前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。

ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

下記の記述が、民法の規定及び判例並びに下記判決文において正しいか否かを答えよ。

 (判決文)
本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。

けだし、無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず(民法113条1項)、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。

 

本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認して有効な行為とすることはできない。

 

(正)

 本問の判決文には、「本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず」とあります。よって、本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認して有効な行為とすることはできません。

 

AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を令和3年7月1日に授与した場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Bが、Aから代理権を授与されていないA所有の乙土地の売却につき、Aの代理人としてFと売買契約を締結した場合、AがFに対して追認の意思表示をすれば、Bの代理行為は追認の時からAに対して効力を生ずる。

 

(誤)

 追認をすると契約時に遡って効力を生じます(民法116条)

本肢は「追認の時から」としているので誤りです。


代理人が代理権の範囲外の行為をしたときは、相手方が善意無過失、かつ、その代理人に代理権があると信じる正当な理由がある場合に限り、表見代理が成立し、代理行為の効果が本人に帰属します(民法110条)

また、表見代理が成立しない場合でも、本人は追認により有権代理と同じようにすることができます。つまり、本肢のケースでは表見代理が成立するしないにかかわらず、契約時に遡って効力を生じることになります。

 

民法116条
前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

 

民法110条
追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

 

 Aが、B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。)についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aが、買主を探索中、台風によって破損した建物の一部を、Bに無断で第三者に修繕させた場合、Bには、修繕代金を負担する義務はない。

 

(誤)

本問では建物売却とそれに伴う保存行為が代理権の内容となっています。建物の一部を修繕する行為は保存行為であり、Aが行った行為は代理権の範囲内ですから、その法律効果はBに帰属します(民法99条1項)。

よって、Bは修繕代金を負担しなければなりません。 

 

民法99条1項
代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

 

 Aが、Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Bが未成年者であるとき、Bは、Aの代理人になることができない。

 

(誤)

未成年者等の制限行為能力者であっても代理人になることはできます。民法102条では、制限行為能力者の代理行為は取り消すことができないこととし、制限行為能力者代理人となれることを暗に示しています(民法102条)。


※旧民法102条では「代理人は、行為能力者であることを要しない。」と明文化されていました。この規定は上記の条文として引き継がれています。 

 

民法102条
制限行為能力者代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者法定代理人としてした行為については、この限りでない。

 

AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を令和3年7月1日に授与した場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Bが自己又は第三者の利益を図る目的で、Aの代理人として甲土地をDに売却した場合、Dがその目的を知り、又は知ることができたときは、Bの代理行為は無権代理とみなされる。 

 

(正)

 代理人が、自己または第三者の利益を図る目的でした代理行為は、相手方がその目的を知り、または知ることができたときは、無権代理行為とみなされます(民法107条)。

よって、Bの代理行為は無権代理とみなされます。
なお、相手方が悪意であるときに限定されているのは、善意の相手方と代理権を濫用するような人を代理人にした(落ち度のある)本人の比較では、取引の安全性の観点から相手方を保護する必要が勝るためです。

悪意の相手方との比較では、本人の保護が勝ると判断されます。

 

 民法107条

代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

 

 AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Aが無権代理人であってEとの間で売買契約を締結した後に、Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合、Eは甲土地の所有権を当然に取得する。

 

(誤)

無権代理人の死亡により、本人が単独で無権代理人を相続した場合、本人は無権代理行為を拒絶することができます(最判昭37.4.20)。

Aを単独で相続したBは無権代理行為を拒絶できるため、Bが追認をしない限り、Eは甲土地の所有権を取得することはできません。

 

最判昭37.4.20
本人が無権代理人の家督を相続した場合、被相続人無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではない。

 

 

A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合における次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。なお、表見代理は成立しないものとする。

Aの死亡により、BがDとともにAを相続した場合、DがBの無権代理行為を追認しない限り、Bの相続分に相当する部分においても、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。

 

(正)

 本人が死亡し、無権代理人が共同相続したときは、共同相続人全員が追認した場合に限り、無権代理人の相続分についても有効となります(最判平5.1.21)。

 

最判平5.1.21
無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。 

 

 設問が、民法の規定及び判例並びに下記判決文において、正しいか否かを答えよ。

(判決文)
本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。けだし、無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず(民法113条1項)、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。

本人が無権代理人を相続した場合、当該無権代理行為は、その相続により当然には有効とならない。

 

(正)

本人が無権代理人を相続した場合、当該無権代理行為は、その相続により当然には有効とはなりません(最判昭37.4.20)

 

最判昭37.4.20
本人が無権代理人の家督を相続した場合、被相続人無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではない。

 

 Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Bが売買代金を着服する意図で本件契約を締結し、Cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合であっても、本件契約の効果はAに帰属する。

 

(誤)

 代理権の相手方が代理人の意図を知り、または知ることができた場合、心裡留保により本件契約は無効となり、効果がAに帰属することもありません(民法93条最判昭42.4.20)

 

 民法93条
意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

 

最判昭42.4.20
代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知りまたは知りうべきであつた場合にかぎり、民法第九三条但書の規定を類推適用して、本人はその行為についての責に任じないと解するのが相当である。

 

AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bが自らを「売主Aの代理人B」ではなく、「売主B」と表示して、買主Cとの間で売買契約を締結した場合には、Bは売主Aの代理人として契約しているとCが知っていても、売買契約はBC間に成立する。 

 

(誤)

代理行為が成立するためには、代理人が本人のためにすることを示す必要があります。

代理人が本人のためにすることを示さないで意思表示をした場合は、代理人自身のためにしたものとなります。

ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、この限りではありません(民法100条)
したがって、買主Cが、Bが売主Aの代理人と知っていた場合には有効な代理行為となり、売買契約はAC間で成立します。

 

民法100条
代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第一項の規定を準用する。

 

AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述が、民法の規定において正しいか否かを答えよ。

Bは、Aに損失が発生しないのであれば、Aの意向にかかわらず、買主Fの代理人にもなって、売買契約を締結することができる。

 

(誤)

 本人の許諾がある場合と債務の履行をする場合を除き、損失の発生に関係なく、原則として双方代理はできません(民法108条1項)。
本肢は「Aの意向にかかわらず」としているため誤りです。

 

 民法108条1項
同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

 

Aが、Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

Bは、Aが死亡した後でも、Aの代理人としてこの土地を売却できる。

 

(誤)

 代理権は、①本人の死亡、②代理人の死亡・破産・後見開始によって消滅します(民法101条1項)

Aの死亡時より代理権は消滅するため、Bはその後Aの代理人として土地を売却することはできません。

 

民法101条1項
代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。

 

 設問が、民法の規定及び判例並びに下記判決文において、正しいか否かを答えよ。

(判決文)
本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。けだし、無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず(民法113条1項)、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。

本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。

 

(誤)

本人が追認拒絶をした時点で本人に効力が及ばないことが確定するので、その後に無権代理人が本人を相続しても、その無権代理行為は無効となります。

一方、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合、無権代理人が追認拒絶をすることは信義則上許されず、当然に有効となります最判昭40.6.18)。

 

 最判昭40.6.18
無権代理人が本人を相続し、本人と代理人との資格が同一人に帰するにいたつた場合には、本人がみずから法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当である。

 

 Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

AがBに代理権を授与するより前にBが補助開始の審判を受けていた場合、Bは有効に代理権を取得することができない。

 

(誤)

 制限行為能力者であっても代理人になることは可能です(民法102条)。
よって、Bが被補助人であっても、Bは有効に代理権を取得することができます。

 民法102条
制限行為能力者代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者法定代理人としてした行為については、この限りでない。

 

A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合における次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。なお、表見代理は成立しないものとする。

Bの死亡により、AがBの唯一の相続人として相続した場合、AがBの無権代理行為の追認を拒絶しても信義則には反せず、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。 

 

(正)

 本人が無権代理人を相続した場合には、本人が本来有していた追認拒絶権を行使することは可能です。

Aが追認拒絶を行使し得ることから、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではありません(民法113条最判昭37.4.20)。

 

民法113条
代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。

 

最判昭37.4.20
本人が無権代理人の家督を相続した場合、被相続人無権代理行為は、右相続により当然には有効となるものではない。

 

 B所有の土地をAがBの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合に関する次の記述が、民法の規定及び判例において正しいか否かを答えよ。

AとBとが夫婦であり契約に関して何ら取り決めのない場合には、不動産売買はAB夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内にないとCが考えていた場合も、本件売買契約は有効である。

 

(誤)

 夫婦の日常の家事に関する範囲内で第三者と法律行為をした場合、夫婦双方がその債務の責任を負うこととされています(民法761条)

この規定は「日常家事連帯責任」と呼ばれ、判例では夫婦が相互に日常の家事に関する法律行為につき代理権を有するものとしています。

しかし、本代理権の範囲を超えた法律行為があった場合においては、直ちに表見代理の適用を行うのではなく、法律行為の相手方が、その行為が日常の家事の範囲と認識していたという正当な理由があるときに限り、表見代理を類推適用すべきであるとしています(最判昭44.12.18)。
本肢の場合、不動産売買は通常夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内とは言えず、またCもこれを認識していたので、売買契約は無効となります。

 

民法761条
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

 

最判昭44.12.18
夫婦の一方が民法七六一条所定の日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権を基礎として一般的に同法一一〇条所定の表見代理の成立を肯定すべきではなく、その越権行為の相手方である第三者においてその行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、同条の趣旨を類推して第三者の保護をはかるべきである。 

 

A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合における次の記述が、民法の規定及び判例において、正しいか否かを答えよ。なお、表見代理は成立しないものとする。

Bの無権代理行為をAが追認した場合には、AC間の売買契約は有効となる。

 

 

(正)

無権代理行為が追認された場合、原則として契約時に遡ってその効力を生じます

よって、AC間の売買契約は有効となります(民法116条)。 

 

 民法116条
追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。