民法等1−2 制限行為能力者制度
【制限行為能力者制度とは】
○能力
1 権利能力
権利や義務の主体となり得る資格
人は誰でも出生すれば権利能力を取得し、死亡によってその能力を失う
2 意思能力
自分の行為の結果を認識することができる能力
・意思無能力者→意思能力が無い者のこと
※お酒や薬物などを摂取した状態で結んだ契約は無効とされている
3 行為能力
単独で完全に有効な法律行為をすることができる能力
※自分一人で契約などをすることができる能力
○制限行為能力者制度
行為能力が不十分な人を守るために設けられている仕組み
制限行為能力者4つ
・未成年者(未成年者制度)
・被補助人(成年後見制度)
【未成年者制度】
○未成年者
20歳未満の人のこと
・婚姻による成年擬制(例外)
男性18歳、女性16歳で結婚が可能
(父母の同意が必要、片方の同意だけでも足りる)
未成年者が結婚した場合は大人、成年者として扱われる
※結婚した後、自宅を購入したりマンションを借りたりするのに親の同意が必要だということになれば、夫婦の独立性が害されてしまうから
○未成年者の保護者
・親権者(法定代理人)
未成年の子を養育監護し、その財産を管理し、子を代理して法律行為をする権利・義務を持つ人のこと
未成年者に対して親権を行う者がないとき
または、親権を行う者が管理権(財産に関する権限)を有しないときに
法定代理人となる人のこと
・法定代理人の権限は2パターンに分かれている
1 親権を行う者とほぼ同一の権利義務を有する者(親権を行う者がいない時)
2 管理権(財産に関する権限)のみを有する者(親権を行う者が管理権を有しない時)
法律に基づいて本人の意思によらないで決まる代理人
・未成年後見人は→ 複数人あるいは法人を選任することが可能
改正法施行により2012年4月1日から選任することが可能となった
※児童虐待の防止等を図るため
・未成年後見人の決定方法 2つ
1 親権者が指定する(民法839条)
2 未成年被後見人又はその親族その他利害関係人の請求により家庭裁判所により選任される
○未成年者の法律行為の効果
1 未成年者が単独で契約等を行なった場合
→原則として取り消すことができる
※その契約は未成年者にとって不利なものになるかもしれないから
※結んだ契約は一応有効だが、それを「なかったことにできる」
2 未成年者が単独で行なっても取り消すことができない行為
①単に権利を得る、または義務を免れる行為(タダで何かをもらう)
②法定代理人が処分を許した財産の処分行為(お小遣いでお菓子を買う)
③許可された営業に関する行為
(親が未成年者に営業の許可を与えた場合、その営業に関してだけ成年者と同一の行為能力を有することになる)
※どの行為も、未成年者が損をしないので取り消しできない
○未成年者の保護者の権限
・同意権 ○
未成年者本人の意思や行為に対して賛成の意思を示すこと
・代理権 ○
未成年者本人に代わって契約などの法律行為を行う権限のこと
・取消権 ○
取り消しをできる人は→未成年者本人、保護者(親権者/未成年後見人)、成年者となった本人
契約した当時に遡って、その契約をなかったことにできる
・追認権 ○
取り消すことができる行為を、もう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすること
【成年後見制度】
判断能力が低い人を保護する為の制度
※民法ではこういった人々を保護しながら、本人の意思の尊重との調和を図っている
・判断能力の程度→かなり低い
・自己決定はどの程度尊重できるか→尊重できない
※障害の程度が一番重い人
成年後見人とは、、、
①精神上の障害によって事理を弁識する能力を欠く状況にある
②家庭裁判所により後見開始の審判を受けている
この2つの要件を満たした人のこと(重度の認知症など)
※何かを判断できる状況にない、判断する能力を欠く人なので、十分に保護しないといけない
その為、本人への制限は範囲が広く、ほとんどのことに成年後見人の保護が必要
○成年後見人の権限
・同意権 ❌
成年被後見人本人の行為に対して賛成の意思を示すこと
※成年被後見人は同意してもらうような提案をできる状況に無い為、そもそも同意権は不要という考えで同意権は与えられていない
※成年被後見人の考えに成年後見人が同意をしたとしても、その同意に従った行為を行うとも考えられない為、同意見は与えられていない
・代理権 ○
成年被後見人本人に代わって契約などの法律行為を行う権限のこと
※成年後見人は代理権を持っているが、成年被後見人の居住の用に供する建物またはその敷地について、売却/賃貸/賃貸借の解除/抵当権の設定、その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない
成年被後見人本人が住んできた場所はとても大事だから、ちゃんとした理由もなく処分されないように、法律で守っているよ
・取消権 ○
契約した当時に遡って、その契約をなかったことにできる
・成年被後見人自身が単独で契約の締結などの法律行為をすることはできない
・もし成年被後見人がその行為をしたときは、取り消すことができる
※保護者である成年後見人にはそもそも同意権は認められていないので、もし保護者が同意して成年被後見人自身が契約をしたとしても、その契約は取り消すことができる
※本人の意思を尊重する為、一人でもできるような日常生活に関する行為(日用品の購入など)は取り消しできない
・追認権 ○
取り消すことができる行為を、もう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすること
○被保佐人
・判断能力の程度→低い
・自己決定はどの程度尊重できるか→重要なことについてはあまり尊重できない
※障害の程度は真ん中
被保佐人とは、、、
①精神上の障害によって事理を弁識する能力が著しく不十分な者
②家庭裁判所により保佐開始の審判を受けている
この2つの要件を満たした人のこと
保佐開始の審判の申立は、、、
※原則→全ての取引を1人ですることができるし、この取引は取り消しできない
※例外→下記の8つの重要な取引だけ、必ず法定代理人の同意が必要
同意なしにした場合、その取引は取り消しできる
○保佐人の同意が必要な重要な財産上の行為
- 利息、賃料などを生ずる財産の返還を受け、またはさらに元本として貸与等をすること
- 借財または保証をすること
- 不動産(土地・建物)やその他の重要な財産(自動車)などの売買
- 相続を承認(資産と負債をそのまま引き継ぐ)し、もしくは放棄すること、または遺産の分割をすること
- 贈与の申し込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申し込みを承諾し、または負担付遺贈を承認すること
- 新築・改築・増築・大修繕の契約をすること
- 土地(山林は含まない)の5年を超える賃貸借、 建物の3年を超える賃貸借をすること※土地は5年以内、建物は3年以内であれば同意は不要
- 1から7の行為等を、他の制限行為能力者の法定代理人としてすること
※被保佐人がこれらの契約を保佐人の同意なしにした場合
→その契約は契約した当初に遡って取り消しできる
(無効ではないことに注意)
→取り消しは被保佐人本人だけでも出来る 保佐人の同意がなくてもいい
○保佐人の権限
・同意権 🔺
被保佐人本人の行為に対して賛成の意思を示すこと
被保佐人が、行為能力を制限された法律行為を行うときに、同意を与える権限を持つ
※被保佐人の利益が害される恐れがないのに、保佐人がそれに同意をしないとき
→被保佐人は家庭裁判所に請求して、家庭裁判所から保佐人の同意に代わる許可をもらえる
→同意に代わる許可を得た行為については、被保佐人は単独で有効にそれを行うことができる
不当な不同意から被保佐人を守っているよ
保佐人が被保佐人の希望を邪魔するような時は、家庭裁判所が代わりに許可してくれるから、被保佐人は1人でもやりたいことができるよ
・代理権 ❌
被保佐人本人に代わって契約などの法律行為を行う権限のこと
※代理権は原則として与えられていない
※特定の法律行為について当事者が望むならば、審判によって保佐人に代理権が与えられる
※保佐人が土地や建物について代理権を与えられた場合でも、被保佐人の居住の用に供する建物またはその敷地について、売却/賃貸/賃貸借の解除/抵当権の設定、その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない
被保佐人本人が住んできた場所はとても大事だから、ちゃんとした理由もなく処分されないように、法律で守っているよ
・取消権 ○
取り消しをできる人は→被保佐人本人、保佐人
契約した当時に遡って、その契約をなかったことにできる
※被保佐人自身が単独で重要な財産上の法律行為(上記の1から8)をすることはできない
※保佐人の同意を要する重要な財産上の行為を同意なしにしたら→取り消しできる
※本人の意思を尊重する為、一人でもできるような日常生活に関する行為(日用品の購入など)は取り消しできない
・追認権 ○
取り消すことができる行為を、もう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすること
○被補助人
・判断能力の程度→高い
・自己決定はどの程度尊重できるか→尊重できる
※障害の程度が最も軽い人
被補助人とは、、、
①精神上の障害によって事理を弁識する能力が不十分な者
②家庭裁判所により補助開始の審判を受けている
この2つの要件を満たした人のこと(軽度の認知症など)
※被補助人は、精神上の障害の程度が軽微なので、重要な法律行為を1人で行うことは可能だが、適切に行えない可能性があるため、他人の援助を受けたほうが安心
※家庭裁判所が必要と判断した場合には、特定の重要な法律行為について、補助人の同意が必要とされたり、補助人が法律行為を代理する場合がある
※どのような法律行為について「同意」や「代理」を必要とするかは、本人、配偶者、親族などの請求によって家庭裁判所が審判する
○被補助人の権利
1 1人では高額なものの取引をするのが不安だという場合に、
補助をして欲しいと望めば審判によって補助してもらえる
2 どういう形で補助してもらうかは自分の希望で選択できる
・どの場合でも家庭裁判所の審判は必要
・不動産の売却や購入など、補助の範囲を決める
・どのように補助してもらうのかを決める
①同意が必要として補助してもらう
②代理して契約してもらう
③同意と代理の両方をしてもらう
これらの内容を自分で選んで補助を受けられる
※被補助人が法律行為を行うのに、常に補助人の同意が必要な訳ではない
※①か③の場合、その内容が補助人の同意が必要な行為なのに、被補助人が補助人からの同意なしにその行為を行なった場合は、契約を取り消すことができる
補助開始の審判は、、、
本人、配偶者、4親等内の親族、後見人(未成年後見人・成年後見人)、後見監督人(未成年後見監督人・成年後見監督人)、補助人、補助監督人または検察官が行う(11条本文)
※この申し立てには"本人の同意"が必要
※被補助人の事理弁識能力が回復した場合、一定の者の請求によって家庭裁判所は補助開始の審判を取り消さなければいけない
○補助人の権限
補助人→補助人の保護者(法定代理人)
全ての権限に、家庭裁判所の審判が必要
※被補助人の意見を尊重している
・同意権 → 同意権付与の審判がなされた部分のみ
他人の行為に対して賛成の意思を示すこと
※補助人の同意権は次の項目の中から審判で定める
(これ以外の同意権を定めることはできない)
- 他人にお金を貸すこと
- 預貯金の払い戻しを受けること
- 借金をすること
- 他人の借金の保証人になること
- 不動産の購入、売却、一定期間以上の賃貸借
- クレジット契約
- 相続の承認または放棄、遺産分割
- 建物の新築、増改築
- 裁判の提起
- 贈与
※被補助人の利益が害される恐れがないのに、補助人がそれに同意をしないとき
→被補助人は家庭裁判所に請求して、家庭裁判所から補助人の同意に代わる許可をもらえる
不当な不同意から補助人を守っているよ
・代理権 → 代理権付与の審判がなされた部分のみ
本人に代わって契約などの法律行為を行う権限のこと
一定の者からの請求と本人の同意によって、家庭裁判所が特定の法律行為について補助人に付与する
※代理権の場合には、同意権のような制限はないので、上記以外の行為も代理して行うことができる
・取消権 → 同意権付与の審判がなされた行為を被補助人が同意なしでした場合のみ
契約した当時に遡って、その契約をなかったことにできる
※同意が必要な「特定の法律行為」を、被補助人が補助人の同意なしにした場合、取り消しができる
※取消権の効果があるのは、同意権で決めた「特定の法律行為」の範囲だけ
※日用品の購入などは同意の必要がないので、取消権も無い
・追認権 → 同意権で定めた部分のみ
取り消すことができる行為を、もう取り消さないものとして、契約を確定的に有効なものとすること
【制限行為能力者の取り消しとその制度】
(例)
未成年者のAが法定代理人の同意を得ずに、A所有の土地をBに売却した
Bは、事情を知らないCにその土地を転売し、移転登記も完了した
その後、Aは自分が未成年であることを理由にBとの契約を取り消した
このとき、AはCから土地を返してもらえるか?
(結論)
・返してもらえる=善意の第三者にも対抗できる
・制限行為能力者を守ってあげる必要性が高いから
【大事な用語】
第三者→当事者以外の人
善意→知らなかった、信じていた
悪意→知っていた、信じていなかった
故意→知った上で、わざと
過失→落ち度
無過失→落ち度がないこと
無過失の第三者→ 落ち度のない、当事者以外の人
有過失→落ち度があること
有過失の第三者→落ち度のある、当事者以外の人
善意の第三者→ 特定の内容を知らない、当事者以外の人
善意無過失の第三者→ 特定の内容を知らず、落ち度のない、当事者以外の人
善意有過失の第三者
→特定の内容を知らないが、 注意さえしていればその内容を知ることができた当事者以外の人
悪意の第三者→ 特定の内容を知っていた、当事者以外の人
【取引の相手方の保護及び法律関係安定のための制度】
未成年者Aが法定代理人の同意を得ずに、A所有の土地についてBと売買契約を締結した
この場合、Bはいつ契約を取り消されるかわからず、立場が不安定になる
⬇︎これを解消するための4つの仕組み⬇︎
①相手方の催告権
・催告権
BはAの法定代理人に対して「取消するか追認するか、どちらにするか決めて」と催促できる
この権利が催告権
返答までの期間は最低1ヶ月(1ヶ月以上の期間を定めて、相手型に催告をする)
・催告を受けた者が催告を放置した場合
期間内に取り消しするか追認するかの返事をしなかったら、、、
催告した相手方 → 結果 (理由)
未成年者本人→ 追認したとみなす(そもそも未成年者に対しては催告できないため)
未成年者から行為能力者となった本人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
未成年者の法定代理人(親権者/未成年後見人)→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
成年被後見人→ 追認したとみなす(そもそも成年被後見人に対しては催告できないため)
成年後見人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
被保佐人→ 取り消したものとみなす(判断能力が著しく不十分なため)
被保佐人から行為能力者となった本人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
保佐人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
被補助人→ 取り消したものとみなす(判断能力が不十分なため)
被補助人から行為能力者となった本人→ 追認したとみなす
補助人→ 追認したとみなす(判断能力があるため)
※判断能力が不足している人が催告を無視した場合は、取り消したとみなす
※判断能力がある人が催告を無視した場合は、追認したとみなす
②詐術を用いた場合
制限行為能力者が書類を偽造して、相手に対して、自分が行為能力者であると見せかけた
詐術(騙す手段)を用いて、相手方もそれを信じた
この場合
→制限行為能力者であることを理由に、その行為を取り消すことはできない
※嘘やずるいことをした人を法律で守る必要はないから
③取消権の期間の制限
○取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する
「追認することができる時」とは
→取消しの原因となっていた状況が消滅した時
・制限行為能力者の場合
→ 行為能力者となった時から5年間行使しないときは、取消権は時効によって消滅する
・成年被後見人の場合
→ 行為能力者となった時から5年間行使しないときは、取消権は時効によって消滅する
成年被後見人だった時にした行為が、取消得る行為であると知った時から5年間
行使しないときは、取消権は時効によって消滅する
・詐欺/脅迫を受けていた場合
→詐欺/脅迫を脱してから5年間行使しないときは、取消権は時効によって消滅する
○取消権は、行為のあった時から20年経過したときは、時効によって消滅する
※5年か20年のどちらか早く訪れた期限で判断される
④法廷追認
法定追認とは、、、
実際に追認をしたわけではないが
契約の完全有効を前提にしたような行為をしたときは
追認と同じ効果が生じる
という仕組み
法定追認と認められるのは、、、
追認することができる時から、意義をとどめずに(異議があることを相手に伝えずに)
1 債務の一部または全部の履行をした場合
2 相手方に履行を請求した場合
3 取得した権利の一部または全部の譲渡をした場合
※上記3つとも、元となる契約が取消になると成立しない行為
履行や履行の請求、権利の譲渡をしたということは、元の契約は問題なく成立していると法的に判断される
民法等1−1 契約の種類と契約の成立要件
【契約の全体像】
○契約とは
大事な「約束」のこと
○契約の成立
契約は「申込」の意思表示と「承諾」の意思表示が一致すると成立する
・「この土地を1000万円で売ります」という売主がいて、
買主が「その土地を1000万円で買います」と、売主に伝えると契約が成立する
・ 契約は書面で契約するのが一般的
・ 口約束も契約になる
ex.
1月10日に口約束で土地の売買契約
1月20日に契約書に双方が記名押印をした場合
1月10日が契約成立日になる
○契約の効果
契約が成立すると契約した当事者(上記の場合、売主と買主)に「権利」と「義務」が生じる
・売主の義務→ 土地を引き渡す義務
・売主の権利→ 代金を受け取る権利
・買主の義務→ 代金を支払う義務
・買主の権利→ 土地を受け取る権利
「代金を受け取る権利」と「代金を支払う義務」はセット
「土地を受け取る権利」と「土地を引渡す義務」はセット
契約の内容は、原則、当事者の意思で自由に決めることができる→「契約自由の原則」
○契約の分類
・諾成契約
当事者の合意だけで成立する(売買契約・賃貸借契約)
・要物契約
合意の他に物の引き渡しがないと成立しない契約
・有償契約
対価等の支払いのある契約(売買契約・賃貸借契約)
・無償契約
対価等の支払いのない契約(贈与・使用貸借契約)
・双務契約
契約当事者双方が、それぞれ対価的な意義を有する債務を負担しあう契約のこと
※お互いが義務と権利を持っている
・片務契約
贈与や使用賃借のように、一方当事者のみが債務を負う契約
※片方だけに義務や権利がある
【贈与】
ある人が相手方に無償で財産権を与える意思表示をし、相手方がこれを受諾することによって成立する契約
549条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる
贈与契約は、片務・諾成・無償契約
※片方だけに義務があり、当事者の合意だけで成立し、対価等の支払いがない契約
「自己の財産を」(549条)となっているが、他人の財産であっても贈与契約は有効に成立すると解されている
○贈与の撤回
550条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない
・贈与契約の成立には書面は不要
・書面によらない贈与はいつでも撤回することができる(550条本文)
・ただし、履行の終わった部分については撤回できない(550条ただし書)
※不動産が贈与された場合、引渡しか登記がなされていれば、履行が終わったと解されている
※贈与の意思を明確にさせることと、贈与者に再考の機会を与えることで軽率な贈与がなされることを防止するために、贈与の撤回が認められている
○贈与者の義務
・財産権移転義務
贈与者は、受贈者に財産権を移転する義務を負う
不動産であれば、引渡や登記などをすることが義務
・担保責任
551条1項 贈与者は、贈与の目的である物または権利の瑕疵または不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵または不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
・贈与は無償で行われることから、贈与者は原則として贈与の目的である物や権利の瑕疵または不存在について責任を負わない(551条1項本文)
・ただし、贈与者がその瑕疵または不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、担保責任を負う(551条1項ただし書)
○特殊な贈与
・定期贈与
552条 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者または受贈者の死亡によって、その効力を失う。
定期贈与とは、一定の時期ごとに一定の給付をする贈与契約(親から子供への仕送り等)
このような契約は、当事者間の密接な人間関係を前提に締結されることが多いため、
当事者の一方または双方が死亡したときは、贈与契約自体の効力が失われる(552条)
○負担付贈与
551条2項 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
負担付贈与とは、受贈者に一定の負担を負わせる贈与契約のこと
(土地を贈与する代わりに贈与者の老後の面倒をみるようにするといった場合)
負担付贈与においては、当事者は実質的には負担の限度で対価関係に立つので、
贈与者はその負担の限度で担保責任を負わなければならない(551条2項)
負担付贈与については、双務契約に関する規定が準用されている(553条)
○死因贈与
・死因贈与とは
→贈与者の死亡によって効力が生ずる贈与契約のこと
(AB間において、Aが死んだら、この土地をBに贈与するといった場合)
※死因贈与によく似たものとして、遺贈(964条、985条以下)がある
・遺贈とは
→遺言によって遺産の全部または一部を無償または負担付で他人に与える行為
・遺贈は単独行為
・死因贈与は契約
※この2つは似ているけど違うもの
【使用貸借契約】
○使用貸借とは
→借主が無償で物を借りること
タダで借りているため借主の立場は弱くなる
○使用貸借の対抗要件
貸主が目的物を第三者に譲渡した場合、借主は第三者に対して使用貸借を対抗することができない
・賃貸借との比較
賃貸人(貸してる人)が目的物を第三者に譲渡した場合、賃借人(借りてる人)が賃借権の登記をしていれば賃借人(借りてる人)は第三者に賃借権を対抗することができる
(借りて住んでるから、出て行きません!!と言える)
※賃料を支払っていたり、対価を支払っているので立場が強い 権利を主張できる
○使用貸借の解除
借主が無断転貸した場合は、事情に関わらず、貸主は契約を解除することができる
(借主が第三者に土地を転貸した場合は、貸主は契約を解除することができる)
・賃貸借との比較
賃借人(借りてる人)が無断転貸をした場合、背信的行為があると認めるに足らない特段の事情があれば、賃貸人(貸してる人)は解除することができない
※背信的行為があると認められる可能性が高い例
→賃借人が自分の恋人や友人に転貸(又貸し)し、その恋人や友人が賃料を支払っていた
※背信的行為があると認めるに足らない例
→もともと賃借人と同居していた親族に対して転貸(又貸し)していた
○使用貸借の必要費
借主(借りてる人)が通常の必要費を支出したら
→貸主(貸した人)に対して費用の償還請求をすることができない
※通常の必要費は、借主が自分で払うお金なので、かかった費用を貸主からもらうことはできない
借主(借りてる人)が通常の必要費以外の支出をしたら
→貸主(貸した人)に対して費用の償還請求をすることができる
※通常の必要費以外は、 借主が支払う必要のないお金なので、貸主からもらうことができる
・賃貸借との比較
賃借人(借りてる人)が支出した必要費は、直ちに賃貸人(貸してる人)に償還請求をすることができる
※必要費も必要費以外も、借りてる人は払わなくていいお金、貸してる人が払うよ
○使用貸借の貸主が死亡した場合
借主(借りてる人)が死亡した場合
→使用貸借契約は終了
※この場合、相続人への権利の承継は認められない
なぜか?→使用貸借はタダで使わせてあげる約束
貸主と借主の人間関係があって、初めて成立する
借りてる人が死んでしまったら、そこで2人の約束はおしまい
貸主(貸してる人)が死亡した場合
→使用貸借は終了しない 継続して使用可能
※急に契約終了になると、借りてる人が困るから
・賃貸借との比較
賃借人(借りてる人)が死亡した場合、賃借権は相続人に承継される
○使用貸借の期間 契約の終了
使用貸借が終了する事由5つ
1 設定された期限が来たら終了
2 目的に従った使用・収益が終了した時
3 使用・収益に足りる期間(相当期間)が過ぎたら終了
4 解約申入があったら終了
5 借主(借りてる人)が死亡したら終了
※上記5つのうち、時期が明確でない3.4.について注意
3.使用・収益に足りる期間(相当期間)に関して
→貸主(貸した人)が相当期間が経過したと判断し、解約申入をすれば契約は終了する
だいぶ長いこと貸してたな〜そろそろ返してください→契約終了
4.解約申入に関して
→使用貸借の目的を定めていない場合は貸主はいつでも契約を解除することができる
いつまで貸すよって決めてないから、貸してる人は返して欲しいときに、返してって言えるよ
借主側からはいつでも解約の申入をすることができる
借りた人はいつでも好きなときに契約を終了させられる 期限より早く返してもいいよ
○使用貸借に関する疑問
・使用貸借自体に登記があっても第三者に対抗できないのか?
→できない
使用貸借は貸主と借主の当事者間でのみ効力をもつ契約
登記があっても契約書があっても、第三者には対抗できない
【契約の有効・無効・取り消し】
・有効→効果があること
・無効→効果がないこと
※賭博や愛人契約などの公序良俗違反の契約→無効
※上記のような社会的な妥当性のない契約は無効であり、その無効は誰に対しても主張できる
社会的に良くないことをしている人は、法律で守ってあげる必要がないよ
・取り消し
→一応は有効だが「取り消します」と言うことによって無効にすること
※取り消されない限りは有効
【契約の効力発生の要件】
○民法での「条件」とは
→将来発生するかどうかが不確実な事実によって
法律行為の効力が発生・消滅するかどうかを決める特約
○民法での条件の規定
ある出来事が起こることを「条件の成就」
条件成就によって法律効果を発生させるものを「停止条件」
法律効果を消滅させるものを「解除条件」
○条件たる出来事とは
①将来のものであること
②不確実なものであること
二つの要件を満たしているものが条件として認められる
「昨日、札幌の天気が雨だったら~」という約束
→仮に当事者が知らなかったとしても、一般的には既に発生した事実であることから、解除条件あるいは停止条件としてはふさわしくない
これは「既成条件」として別の取扱をすることになる(民法131条)
「私が死んだら~」という約束
その時期こそ不明であれ、将来必ず発生する事実であるので条件としては認められない
この約束は「期限(不確定期限)」として扱われる
【停止条件】
○停止条件とは
→とりあえず契約を締結するが、ある一定の事実が発生するまでその効力を生じさせないこと
→その条件発生まで法律効果を停止しておくこと
「独学で宅建に合格したら家をあげます」→これが停止条件付きの贈与契約
独学で宅建に合格することが→「停止条件」
家をあげることが→「贈与契約」
※宅建に合格するまでの間、家をあげるという効力を停止させるということ
○停止条件のポイント
1 条件付き契約の各当事者は条件の成否未定の間は
条件の成就によってその契約から生じる相手方の利益を害してはならない
2 条件の成否未定の間の当事者の権利義務の扱いは
普通の権利と同じく、処分・相続・保存することができる
そのために担保を供することができる
※ある物を債権の担保として提供することができる
3 条件の成就によって不利益を受ける当事者が、故意に条件の成就を妨げた場合
相手方はその条件を成就したものとみなすことができる
※条件が成就したと扱うかどうかは、相手方の選択次第
わざと悪いことをした方が損をするよ
4 条件の成就によって利益を受ける当事者が、不正にその条件を成就させた場合
相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる
※条件が成就しなかったと扱うかどうかは、相手方の選択次第
わざと悪いことをした方が損をするよ
5 正当な理由がなければ解除できない
停止条件も正式な契約であり、契約の効力が発生していなくても解除することはできない
6 停止条件付契約した契約者(当事者)が死亡した場合
その地位も相続の対象になる
・重要なポイント
宅建業法の8種規制の中の「自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限」
※8種規制とは
売主が宅建業者で買主が宅建業者以外の場合に適用される、買主保護を目的とする制限のこと
(宅建業者はプロ、買主は一般人の素人、素人に不利益がないようにするための決まり)
「自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限」とは
例えば、 宅建業者が停止条件付契約で契約した土地があるとする
停止条件付きの土地は、その条件が成就するかわからないため、買主にその土地を引き渡せるかどうかわからない
そんな不確定な土地を目的物として取引に供してはいけない
→宅建業法で停止条件付き契約した目的物を、自ら売主として契約を締結することは禁止されている
独学で宅建とってみよ٩( ᐛ )و
自分のノートがわりに、ブログに記録することにしました
宅建のテキスト買って読んでみたものの、、、
日本語やし、ちゃんと読めるのに、意味はわからんという恐ろしい事態に( ・∇・)笑
テキストでは用語とか意味とか理由とか、詳しく書いてないこともあるので、その辺を自分が理解できるように、細かく埋めながら書いてます
まぁテキストに詳しく書いてないってことは、試験では大事じゃないってことなんやけど٩( ᐛ )و笑
もしくは、このぐらいわかるやろってことやと思うんやけど٩( ᐛ )و笑
アホをバカにするなよ!!
思ってるよりわかってないぞ!!
まぁわからないものは仕方ないので
ちょこちょこ頑張ります:)